次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■創魔の疾風 =A girl creates the world= Act.07
2010/02/01 Mon創魔の疾風
 静かに鼓動している。それは目覚めの時を待つ。
 時は熟した。もう目覚めの時は間近だ。それは今目覚めを待つ。
 あぁ、今度の覚醒はどのような形で進み、どのように終わり、どのような物語を紡いでいくのだろうか?
 さぁ、もう少しだ。待ち望んでいた、そして待ち望んでいなかった覚醒が始まる…。




+++++





 その日はいつもより寝付きが悪かった。久しぶりに長い時間まで起きる事にはやては違和感を感じていた。
 夜となれば森は寒い。ぱちぱち、と焚き火が木を焼いていく音を耳にしながらぼんやりと空を見ていた。


「もう、1年ぐらいか」


 この生活を始めてそれだけの時が経ったのか。そう思うと脳裏に浮かぶのは、石田医師の顔だった。
 世話になったまま飛び出し、結局そのまま別れてしまった。
 元気にしているだろうか? ふと、そう思い、ギュッ、と自らの身を抱きしめた。


「寒い…もっと、火強くせんと」


 集めた木の枝を焚き火の中に入れて。寒いのは、身体だけではない。心も、だ。
 言葉にしてしまったら、自覚してしまう。一人でずっと、ここにいる。
 どうして。とも思う。だが、それは己が力を持っているからだ。そして、その力は失いたくない。


「…駄目やな。変な事考えたらあかん」


 今は強くなる。そして強くなって調べなきゃいけない事がたくさんあるのだ。魔法使いについて。魔法について。そしてこれからの生き方について。
 だからこそ今はここで強くならなければならない。もっと、もっと強く。


「よし、明日も頑張らないとな」


 ぐっ、と拳を握って自らの身を奮い立たせた。明日も頑張ろう。そう思ったら自然を笑みが零れていた。
 さて、明日に頑張らなければならないなら、そろそろ寝るべきか。そう思ったはやては火を消し、家の中に戻ろうとした時であった。
 時は常に刻まれている。もしもはやてが時計を持っていたのならば気づいたかも知れない。
 時刻は11時59分50秒。カチ、カチ、カチ、と1秒ごとに時は刻まれていく。
 9、8、7、6、5、4、3、2、1……。
 そして時刻は12時00分00秒を告げた。日付が変わる。そして日付は……6月4日を示す。
 それは八神はやてが生誕した日。そして……。 
 強大な魔力が動く反応に思わずはやては振り返った。1年前、襲撃してきた2人組のように感じられる魔力の流れ。
 その発生地点は、家の中からだった。


「な、に?」


 一体何が起きている。そう思ったときに風が吹き荒れた。思わず手で視界を遮り、風に耐える。風ははやてが炊いていた火を消し、家の扉を乱暴に開いた。
 中から? 何故? 一体何が起きてる? はやては必死に状況を確認しようと風に視界を遮られる中、必死に見続けていた。
 月明かりが途切れた。風に流された雲が月明かりを遮ったのだ。代わりに家の中から惹かれが漏れ出る。
 家の中の何かが発光しているようだ。そして、次第にその発光の元となっている「何か」が出てきた。


「…なっ…!?」


 思わず驚愕の声が漏れた。それははやてが良く眼にしていた物であった。
 この山に潜る際に必要な物だけを、と持ってきた物の中で唯一手放せなかった物があった。
 何故、それが手放せなかったのかはわからない。だがそれは己には必要な物だと思ってしまったのだ。だから持ってきた。。
 宙に浮かんでいたのは一冊の古びた書であった。鎖で厳重に封印された本。はやての驚愕の声を無視するかのように、本ははやての目の前を浮遊していく。
 鎖が軋む音が響き、鎖が砕けた。同時に魔力の流れが更に荒れ、風が巻き起こる。はやてはそれに耐えながらも、本を驚愕の視線で見続けていた。


『Ich befreie eine Versiegelung.』


 風が吹き荒ぶ中で機械的な音声が聞こえた気がする。
 一体、どこから?疑問に思うが、この全ての奇怪な現象の全ては本に行き着いていく。
 つまり、これはあの本が全ての現象を発生させているという事だ。一体あれは何なんだ?


『Anfang(起動)』


 はやての疑問に答える事は当然のごとくなく。書は機械音声を発する。同時にはやての眼前に紫色の魔法陣が展開された。思わず、驚愕するはやて。
 そして光が満ち、はやての視界が完全に遮られる。


「くっ…」


 その光にようやく目が慣れた時。目の前には、四つの影があった。
 桃色の髪をポニーテイルにした女性。
 金色の髪をショートにした女性。
 赤色の髪を三つ編みにした少女。
 銀髪の髪に、狼の耳のような耳を生やした男。
 魔法陣の上に膝をつき、はやてに対して頭を垂れている。


「我ら、主に仕える闇の書の騎士、ヴォルケンリッター」
「今、この時から、私達は主の名の元、騎士としての役割を果たします」
「我が身は全て主の為に」
「主、お名前を拝聴してもよろしいでしょうか?」


 次々と向けられる言葉にはやては、一瞬震えた。状況を整理しようと脳を必死に動かす。
 はぁ、と震える息を吐き出してから、四人の影を見つめて。


「…私に質問しているなら。私の名前は、八神はやて」
「八神はやて。それが主の名ですか」
「ならば、主八神はやて、どうかご命令を」


 桃色の髪を持つ女性がはやての名を確認するかのように呼び、金髪の女性が頭を垂れたまま、はやてに言う。
 それを聞いてから、はやてはゆっくりと息を吐き出して。


「…正直、命令とか言われてもなぁ…」


 はやては明らかに困ったように頭を掻いて。はぁ、と溜息を吐いてから。


「とりあえず、貴方達の名前を教えてくれるか?」
「はっ、我が名はシグナムと申します」
「シャマルです」
「ヴィータです」
「ザフィーラです」


 それぞれ上げられた名前を聞いてから、はやてが頷いて。


「シグナムさんにシャマルさんにヴィータちゃんにザフィーラさん、ね。とりあえず……私は状況が把握出来てないんやけど…。闇の書って何? 騎士? 私が主? どういう事やねん」
「さん、は必要ありません。主。シグナム、とお呼びください」
「貴方は闇の書の主として選ばれた者。つまり、闇の書を守護する私達の主となります」
「我等は貴方の矛となりて貴方の敵を打ち払います」
「我等は貴方の盾となりて貴方の身を守り抜きます」


 シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラの順に語られる言葉にはやては溜息を吐いて状況を確認する。
 恐らくだが、これは「魔導書」だと思われる。それに主として選ばれ、その書を守護する騎士、一種の精霊とかそういうのだろうか? それが目の前の彼等、だと。


(……まったく、面倒な事になったなぁ)


 はやてはそう思いながらも、再び深い溜息を零し、シグナム達に向き直った。


「じゃ、シグナムって呼ばせて貰うけど…正直な?」
「はい。なんでしょうか、主」
「困るんやけど。いきなりそんな事言われても」


 本当に困ったかのように言うはやてに、今度はシグナムも困ったような顔をして。


「困る、ですか?」
「あぁ。私は正直人の上に立てる人間やないと思ってる。未熟者やからな。だからな…。主だのなんだの言われたってなぁ……」


 頭を掻きながらはやては考え込む。とりあえず、どうするべきだ? いきなりこんな事になるだなんて予想だにしていなかった。
 ふと、視線を移す。あっちも困ったような顔をしている。


「わかったわかった! まずはお互いゆっくり話して行こう、まずはそれから、な?」
「はい。わかりました」


 シグナムの返答にはやてははぁ、と深い溜息を吐き出すのであった。





+++++





「なるほど、な」


 消えた焚き火をつけ直して、未だなお自らの前に跪くシグナム達に視線を向けるはやて。
説明された闇の書についての事を整理する。
 闇の書は自らを扱える者をランダムに選び、主とする。主とした物には闇の書の力が与えられ、大いなる力を得るという。
 その力を得るために「リンカーコア」。魔力の元である「核」を「蒐集」する事によってその力を高めていく魔導書。全666ページを埋める事によって闇の書は完成する。
 そしてシグナム達はそれをサポートする為の騎士、だという事だ。
 そこではやては考える。闇の書の力。それはどうやら「どんな願いでも」叶えてくれるらしい。それにはやては興味は無かった。
 むしろ興味があったのは別のものだ。シグナム達に視線を向ける。


「シグナム。アンタはヴォルケンリッターの将や、と言うたな」
「はっ」


 シグナムが跪きながら返事を返す。それに、はやては僅かに期待を込めた瞳で。


「なら、アンタがリーダーな訳や。なら、シグナム」
「はい」
「私と、戦え」
「…は?」


 はやての言葉に、シグナムは目を点にして思わず顔をあげた。
 はやては立ち上がり、ぐっ、と身体を伸ばして準備運動をしていた。思わず、他の騎士達も動揺し、はやてに不可解そうな視線を浮かべた。


「私は、自分より弱い者に守られる気は無いんや。ヴォルケンリッター。その力を見せて貰おうやないか、リーダーさん」


 ぐっ、と握り拳を突き出してはやてが言う。ニッ、と笑みを浮かべて挑戦的な笑みを。
 それにシグナムが一瞬、呆気取られたような顔をするが、すぐに立ち上がり。


「わかりました。剣の騎士、シグナム。その申し出、受けさせていただきます」


 そして騎士の了承が得られたことにより、はやての笑みが深まった。
 邂逅はこうしてなる。運命の歯車は静かに回り出した。それが、どのような物語を紡ぎ出していくのだろうか……?
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