次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■創魔の疾風 =A girl creates the world= Act.06
2010/02/01 Mon創魔の疾風
 季節は夏。爛々と光り輝く日光が照らし、蝉の合唱が奏でられるこの季節。
 そんな季節。とある島国の、とある森の中。ここから…これからの物語は始まる…。





 森は深い。一度奧に行けば帰って来れなくなり、行方不明になってしまう事もある。
 森林浴に来る人だっているかもしれない。だけど、森には人以外の動物が住むし、いつ、何が脅威になるかわからない。
 何が言いたいか、というと深い森となると必然と奧の方では人は立ち入らない。その筈なのだが…。
 どこかにある深い森。近くには山もあり、深く森林が続いている。人が立ち入った形跡は無い。
 だが、ここにはある物があった。それは、焚き火をした後だ。獣は火を使わない。火を使える動物は人間ぐらいの物だ。
 もう一度言おう。ここは深い森の中であり、人がなかなか立ち入らぬ場であり、このように焚き火をした後があるのはおかしい。
 それが、普通の人間の考えならば、だ。
 さて、森の中にたくさんの生き物が生息している。その森の中、群れを成す鹿の姿があった。
 草を食べ、群れで行動している。そんないつもの風景。普通の人は映像などでしか見る事が無いかもしれないこの光景を肉眼で確認する者がいた。
 それは人であった。それもまだ幼い少女のようだ。木の枝の上に乗り、静かに息を殺している。
 少し乱雑に切りそろえられた茶髪の髪。後ろでギュッ、と紐で結び邪魔にならないように上げている。蒼の瞳が鹿の群れを捕らえている。


「式、解凍」


 ぽつりと、少女が呟く。するとその掌に「六芒星を囲んだ円形」を象った光が浮かぶ。
 それは、人が見たのならばこういうのであろう。「魔法陣」だと。
 そして、魔法陣はクルクルと回転し出す。よく見れば、陣を構成している線には小さな文字がびっしりと刻まれている。それは、まるで一つの計算式のようでもある。
 いや、あながち間違いではない。これは「魔法」を扱うための「魔法式」なのだから。


(魔力装填完了。「自己領域」より検索、該当。解凍開始。術式の正常起動を確認)


 脳内で自らの声が響く。森の中にいる事を知覚している「自分」。そして、もう一人は「自己領域」と呼ぶ闇の空間に浮かぶ「自分」。
 二人の自分がそれぞれ自分が成すべき事をしている。一度に同時に複数の事を行う。
 少女の掌に先ほどまで輝いていた魔法陣と同じ色の光が現れる。それは次第に一つの形を成していく。
 それはまるで矢のようである。そしてその矢を包み込むように環状の魔法陣が形成される。
 同時に「自己領域」の己がトリガーを引くイメージが術式に送信される。術式、起動。 魔法式が送信されたイメージに呼応するかのようにその刻まれた効力を発生させる。
 「魔法」。この世ではただ幻想と言われた架空の物である。だが、この少女はそれを扱う事が出来る者だ。人はそれを「魔法使い」と呼ぶ。
 放たれた光の矢は鹿の一匹を撃ち貫いた。音を立てながら崩れ落ちる一匹の鹿。そして周りの鹿達が慌てたように逃げ出していく。それを木の上で見つめる少女。
 静かに手を胸元に当ててから。祈るように瞳を閉じる。


「ごめんな」


 呟きが漏れる。それは、己が奪った命への祈り。せめて安らかに。祈る資格は無くともどうか祈らせて欲しい。
 祈りを終えれば木の上に乗っていた少女は絶命した鹿に歩み寄り、手を合わせて最後の祈りを終える。それから懐から肉を切る用のナイフを取り出し丁重にはぎ取っていく。
 はぎ取りが終わり、それを清潔そうな袋にしまい込む。それから少女は土を掘り、丁重に鹿の骨を埋めた後、手を合わせてからその場を後にする。


「んー、暑くなって来たなぁ」


 降り注ぐ日光を目をやる。光を遮るようにして空に浮かぶ太陽を見つめる。
 もう夏か。そう思考する少女は、ふっと笑みを浮かべた。


「海鳴を出て、もう大分経ったんやなぁ」


 呟く少女の名前は「八神はやて」。この世に在らざる「魔法使い」であり、そして、約1年前からこのような生活を続けるようになった者であった。
 深い森の中。人が立ち入る事がなさそうなその場所で簡単な家のような物があった。はやてが作った簡単な家のような物だ。
 その簡易な家にはやては帰宅する。先ほど手に入れた鹿の肉を燻製にする作業をしていた。燻製肉は保存性が利くので大抵はやては肉は燻製にしている。
 燻製肉を作りながら、集めた木の実をすり潰し、クッキーのようにして焼く。火は「魔法」の応用で着火ししばらく焼く。
 勿論森の中なので火事にならないように細心の注意を払ってだ。今回はクッキーであるが、肉も混ぜてハンバーグ状にすることもある。


「まぁ、知識はあって損は無し、って言葉が本当わかるなぁ」


 今後も過去の人類が残した文明を大事にしていこう。と思いながらもはやては調理を進めていく。
 これも実は本からの情報であり、心底感謝している。よくやった過去の自分。
 しばらくしてから、焼いていたクッキーが出来上がり、それを頬張る。
 約1年前ほど。己の特殊能力が「魔法」であると知った時、はやては海鳴市から逃げ出す事にした。
 同じ場所に留まっているのは危険だと判断したからだ。それからは人気の無い場所を目指し、こうして山中奥深くで生活する事にしたのだ。
 ふと、はやては近くに置いてあったペットボトルに目をやる。実はこれ、はやてが山に潜る前に捨ててあった物を何本か洗ってから持ち出してきたのだ。捨てる事はしない。これは水を貯蓄する為にとっても必要な物なのだから。
 そのペットボトルの中に入っている水の量が大分減っている。そういえば夏だしなぁ、水呑む量も自然と増えてたのかもしれない、と思いペットボトルを手に取る。


「川行こう」


 近くには川もある。少し奧に行けば木の実もある。肉は時々足りなくなったら取る程度で基本的には木の実が主食だ。
 なんてヘルシー。そんな事をはやてが思ったかどうかは知らない。大きめのペットボトル。良くお父さんなどが呑んでいるだろう焼酎とかの取手が付いた形のペットボトルを手に持つ。


「あ、ついでに洗濯しておこう」


 そう呟きを漏らし、家の中の一角に積み上げられた衣服を手に取る。ほとんど色気も何も感じさせない運動性を考慮した服しか無い。
 家から持ち出した風呂桶に入れて、更に自作した洗濯板を入れて準備完了。ペットボトル、洗濯物、桶、洗濯板、全部あるのをもう一度確認してから走り出した。
 ふと空を見上げる。今日は天気がよい。今日は夜空が綺麗に見れそうやな、と思いながらはやては水の流れる音の方向へと走り出した。





+++++





 夕焼けに染まりつつある森の中。風がひらり、とはやてが自分で洗濯した洗濯物を揺らす。
 その付近ではやては息を吐き出しながら、座禅を組んでいた。瞳を閉じ、意識を全て「自己領域」の己へと切り替えている。
 現在使用可能な「魔法」の確認。それによる考察を深め、発展、試行、構築。
 破棄と記憶を繰り返すこの生活はもはや習慣となりつつある。暇があればすぐにこうした考えに浸る事が多々ある。
 ゆっくりと瞳を開く。「自己領域」に沈めていた意識を現実へと呼び戻し立ち上がる。


「よし。訓練でもしようかな」


 訓練。それはあの日。2人組の女性に襲われたから感じた己の無力。そして己の持つ力が危険な物と知り、それを完璧にコントロールするための訓練だ。
 己の身を守るために。はやては毎日この訓練を欠かさない。


「さて、と」


 ゆっくりと身体を伸ばしながら、はやては準備運動をする。急な運動は身体に負担をかける事も多い。しっかりと身体を解し終えれば呼吸と同時に「現実領域」と「自己領域」の自分を同時に思考させる。
 「自己領域」で意識が切り替わるのを確認。身体強化を確認。それから自分の身体を動かしていく。調子を確かめ終わってから、一連の動作を繰り返す。
 脳内で作り出した仮想敵が目に前にいると想定。ありとあらゆる、はやてが想像しうる攻撃を繰り出してくる。それをひたすらに避ける。時には反撃しようともするが、脳内のイメージはあの女性の2人組だ。そうそうに反撃に転じる機会は無い。
 端から見れば1人でただ踊っているようにも思えるが、その顔は常に緊迫し、呼吸も荒く、大量の汗も流れていく。
 しばらく、動き続けてイメージの敵が己の顎を捕らえた。脳内イメージが「戦闘不能」と出す。いくらイメージとはいえ自分がやられるのは気分が良い物ではない。


「…はぁ。なんか、もっとこう、劇的に強くなれれば良いんやけどな」


 こればっかりは地道にやっていくしかないなぁ、と思いながらも呼吸を整える。
 次は「魔法」の訓練だ。適当な木に手を触れて上を見上げる。はやてが見ているのは木についている葉っぱだ。
 それを確認してから構える。身体強化、発動。


「破ァッ!!」


 木の幹に掌を押し当てるかのように当てる。勢い良くぶつけられた掌は衝撃音を上げ、木の幹を揺らす。
 すぐさま、はやては後ろへと跳躍。跳躍しながらも上を向く。衝撃によってヒラヒラと落ちてくる木の葉。それを確認すれば「自己領域」の己に魔法の構築を告げる。


(魔力装填完了。「自己領域」より検索、該当。解凍開始。術式の正常起動を確認)


 「自己領域」にて選択した魔法を発動。はやての周りに鹿を撃ち抜いた時と同じ魔力で形成された「矢」を展開する。だが、それは1つでは無かった。
 10本の光の矢。ふっ、と短く息を吐き出し「自己領域」の己の思考を更に分割させる。


(全弾制御下。目標全設定確認。1番から10番までの撃墜物設定)


落ちてくる葉の数は、視認出来る限り30程。その全てをはやては知覚し、己が制御している光の矢にターゲットを選定させる。
 それが終われば脳内でトリガーを引くイメージを送信。送信されたイメージが術式を起動させる。
 放たれる矢。それは一直線に、または複雑な直角軌道、またはなめらかな流線軌道を描きながら設定されたターゲット、葉を撃ち落としていく。
 1、2、3、4、5…etc。
 わずか数秒。はやてが叩き落とした葉は全て光の槍によって撃ち落とされていた。
 光の槍を操作し、己の周りを飛翔させる。腕を上げ、指を弾き、パチンッ、と音を鳴らす。
 指の音と共に光りの槍達は同時に動きを止め、結合していた魔力が解除され消えていく光の矢。


「まぁ、こんな物かな」


 色々魔法な物を試しては見たが、己と相性が良いのはこういった「遠隔操作」のタイプの物だ。魔力を固定し、それをコントロールし目的を撃ち落とす。
 あとは得意と言えるのかどうかはわからないが、暴発にも近き魔力を拡散発射するのも出来るが、そちらは被害が大きい上に自爆の可能性もあるので滅多にやらない。
 今の己の持ち札は身体強化による格闘戦。更に魔力弾の遠隔操作による撃墜攻撃。そして奥の手とも言える捨て身覚悟の魔力を暴発させた一撃必殺。
 大まかに分けてこんな物か、とはやては確認してからグッ、と背筋を伸ばしてゆっくりと息を吐いた。
 こうして、はやての日常は今も流れている。だがその日常もまた、いずれは変化の時が来てしまう。
 その時をただ待ち続ける物がある。…それは、今はただ、覚醒の時を待つだけ。
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