次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■リリカル・クロニクル =世界の終わりに悪魔と竜は戯れる= 序章 01
2010/03/08 Monリリカル・クロニクル
 1つ話をしよう。今私達が住み、生きているこの当たり前の世界。
 そう。当たり前の世界だ。だが、もしも。そう、もしもだ。その当たり前が「当たり前」じゃない世界があるとするならば?
 そしてそれは実在していた。そう…していた、だ。もう今は無い。つまりはそういう事だ。
 とある世界がある。それは私達が住む世界「地球」だ。だが、その地球にはもう1つの名前がある。

 かつて実在していた世界を知る者はこう呼ぶ。その世界を「Low-G」と。

 Low-Gを含めた1stから10thの番号を冠するG(世界)。全11世界。だが、現存として残るのはLow-Gのみである。何故か? 何故Low-Gだけが存在しているのか? 他の世界はどうなったのか? 何があったのか?

 今、それを語る物語を綴る1つの記録がある。それは、年代記である。
 これから語られるのは年代記である。終わりへの年代記。何に対しての終わりなのかは、それはこれから語ろう。

 さて。だが、これから語られるのは本来ありし物とは若干ながら差異がある。
 何故か? それは本来関わる筈の無いある一人の少女が関わった為だ。そして、その少女が共に生きる事により、時もまた変化し、この年代記もまた変化するだろう。


 それは、十なる竜を統べる者達と、悪魔と称された少女が綴る、幻ごとき想いを綴る年代記。称すならば「幻想年代記」…。









リリカル・クロニクル =世界の終わりに悪魔と竜は戯れる=

 序章「喪失の道標」










 風が吹いていた。撫でるような優しい風だ。風は揺らす。丘の緑を。森の枝を。青なる海を。人作くりし建物を。風はただ吹いている。
 その風をある場所の丘で受ける一人の少女がいた。少女の付近には誰もいない。少女は座っていた。ここはある丘の上。人気の無い、人の手の入らぬ丘。
 少女の身体の各所には包帯が巻かれている。どうやら怪我をしているようだ。少女はただ空を見上げてぼんやりとしていた。少女は何をするわけでもなく。何を思うわけでもなく。何を願うわけでもなく。何かを待つわけでもなく。ただそこにいた。風が少女を揺らす。その瞳に光は映らない。
 胸を抑えるように手を添える。とくん、とくん、と彼女の心臓は生命の音を刻んでいる。その音を聞きながらやはり何を考えるわけでもなく少女はそこにいる。少女の名は「高町なのは」という。何故この少女、なのははここにいるのだろうか? 今それを語ろう。
 事を話す前に皆に教えておこう。それは、世界の事だ。我々が今踏みしめている大地。吸っている空気。見ている景色。その全てが当たり前の世界がある。世界は1つだ。だがそれは実は嘘である。世界は幾多にも存在し、そこでは個々にそれぞれの文明が発展していく。この少女、高町なのははこの異世界との関わりを持っていた。
 時空管理局。
 彼女が異世界に詳しく関わる事となるキッカケとなった次元を平定し、危険な古代遺産を管理する信念を掲げている。時空管理局の発祥世界は「ミッドチルダ」と呼ばれている。ミッドチルダにはある文明があった。それは「魔法文明」であった。
 魔法と聞くと皆は何を思い出すだろうか? 魔女が箒に跨り空を飛ぶ様だろうか? それとも手品師がアッ、と息を吐く間に行う奇術の数々か? ミッドチルダの魔法はそんな物とは違う。言うならば「科学の集大成」と言っても良い。過去のある偉人はこう言ったらしい。「発達した魔法と科学は区別が付かない」のだと。発展した科学は魔法となった。つまりはそういうわけだ。
 高町なのははミッドチルダの世界の人間ではない。高町なのはは本来管理局に管理外世界と呼ばれ、自らの管理するまでの文明に到達していない未発達文明の中で生きている少女であった。だがある日、その少女に転機の時が訪れる。
 それはミッドチルダより来たりし来訪者。そして来訪者が追ってきたある古代遺失物「ジュエルシード」の存在を知ったあの日から高町なのはの運命は決まった。そして彼女は「魔法使い」となった。ジュエルシードを巡り、争った少女を救い、そして「闇の書」と呼ばれる古代遺失物にも立ち向かった。そして彼女は更なる命を救うために、時空管理局の業務に努めた。人は言うだろう。彼女はとても優秀だ、と。
 だが今。彼女にその優秀だと言わしめた姿は無い。何故ならば、彼女は失ったのだ。何を? それは…魔力と身体だ。高町なのはは空戦魔導師と呼ばれ、空に生きる者であった。ただ、簡単な事だ。

 高町なのはは撃墜され、生死の境を彷徨った。つまりはそういう事だ。

 撃墜された原因は何か? それは、高町なのはの重ねた小さな無茶の事である。彼女の扱う武器。魔導師の杖。インテリジェントデバイス「レイジングハート」の最終形態「エクセリオンモード」がある。このエクセリオンモードは術者である高町なのはの力に劣る事なくその性能を発揮し続けた。
 だが…それは皮肉にも、高町なのはの身体に負担を強い続けてきた。そしてそれが蓄積し、爆発した。
 命は救われた。だが…その代償として失われた物がある。それは、両足の麻痺。そして、魔法を使う為に必要とする器官「リンカーコア」の機能不全。足の方は回復の見込みはあり、現在は歩ける程にまで回復した。だが…リンカーコアの機能に回復を見ない。足の方に比べれば変化は無しと言える。
 事実上、高町なのはの魔導師としての将来を絶たれたと言っても良いだろう。回復の見込みは無い。
 高町なのははその事実を知っている。知っているからこそ、ここにいる。誰もいない。だが、それが高町なのはが望んでいる事だ。誰にも関わりたくない。誰にも触れて欲しくない。誰にも、誰にも。一人になりたい。そう望むからこそ、親にも何も言わず。友人にも何も言わず。
 力無い瞳はぼんやりと空を見上げる。自らの未来は絶たれた。これから、どうすれば良いのだと想う。高町なのはは考える。高町なのははまだ年を10超えたばかりの少女だ。小学生の少女だ。だが彼女には力があった。だからこそ彼女は願った。自らの力で誰かを救いたい、と。だからこそ救えなくなった今、高町なのはは迷う。何も無い。誰も救えない。今もどこかで助けて欲しい人がいるのかもしれないのに。もう自分は空を飛べない…。
 高町なのはは沈黙している。何を思うわけでもなく。何を願うわけでもなく。何を成すわけでも…ない。ただ、そこにいる。





    ● 





 空。そこは人が科学の力を持ち要らねば手の届かぬ領域だ。空には翼を持つ機械の箱が飛ぶ。それは人を、または人が求める物を運ぶ為に飛んでいく。それは思いを乗せて。それは人の願いを込めて…。
 例えそれがドス黒く。絶望を祈る災厄だとしても、それは運ぶ。それはある命を受けていた。それはある目的を持っていた。それは故に飛んでいた。それは向かう。目的を叶える為に。
 目的は脳内にインプットされた一人の少女。それを捕らえよと。眼下。それは確認された。丘に蹲るように座る一人の少女の姿を。それこそ目的の少女である。口元を笑みに歪める。ようやくと。
 音が響く。それは鋼鉄が軋む音だ。そしてそれに混じり、風が吹き荒ぶ音が響き渡る。鋼鉄の中に区切られた空間に光が最込み、風が入り込み自らが纏う衣服を揺らす。
 侍女。そう呼ぶべきだろう風貌をしたその女性は笑う。見惚れるようなその笑みだ。あぁ、その笑みが氷のごとく冷たく機械的な笑みで無ければ…。
 それは飛んだ。同時にこの世界を作り変える準備を行う。この船の中にだけ展開していたそれを更に広げていく。目的遂行の為に。主の願いを叶える為に。


「行きましょう」


 呟き。同時にそれは展開された。


・―金属は生きている。


 満足げに頷いてから女性は風が吹く開いたハッチから顔を出す。自らの運ぶ船は見つかる事なく空を旋回し続けるだろう。見つかる事は無い。何故か? それは「そうである」とされた物だからだ。それは「見つからない」という意味を与えられたに等しい。
 故に見つかる事は無い。理論も何もない。それは「見つからない」のだとされたのだ。故に見つからない。見つかるとするならばそれはこれを「見つからない」と同じく出来る者達にしかわからないだろう。
 出てくるだろうか? 思考するがそれは優先順位が低い物であった。今はただ目的を遂行し、主の願いを叶えれば良い。そのために行こう。用意は整ったのだから。





     ●





 ぼんやりと空を見上げながらなのはは何をするわけでもなく、何を思うわけでもなく、何を願うわけでもなく、何を為すわけでもなく、ただそこにいる。彼女は考える事を放棄している。考えたくない。何もしたくない。所謂、無気力状態。ただなのはは膝を抱えて蹲るのみだ。
 そんな時だ。それは確かになのはの耳に届き聞こえた。


・―金属は生きている。


 それはとても不思議な声。男性か、女性か、どっちつかずの機械音声のようなその声になのはは思わず辺りを見渡す。声の発生源は見あたらない。それに引っ掛かる。今の声はまるでデバイスが発した音声のようであったからだ。
 何かおかしいと感じる。声を聞いてから感じる違和感。その感覚は知っていた。自らが知るものではないが、それと良く似た感覚。世界が「切り替わる」感覚。一体何故? と思う。何故ここで結界が展開されているのだと。
 止まっていた思考が回り出す。身体は治ってきているとはいえ、まだ完治では無い。そして何よりリンカーコアの損失。自らに成す術は無い。
 ふとなのはは空を見上げた。目を見開く。そこには女性がいた。メイド服と呼ばれた衣装を纏う女性だ。髪は黒、瞳は蒼。肌は雪のような白さ。なのはは一見呆気取られる。なんでメイドが宙に浮いているのかと。
 身構えるように膝立ちの状態となるなのは。それを見てメイド服を纏う女性は地に足をつけてから、静かに頭を下げる。


「高町なのは様でございますね?」
「…何で、私の名前を?」
「質問の返答を私は許可されておりません。ただ1つ」


 上げた顔にはただ冷たい機械的な笑みしか浮かんでいなかった。思わず息を呑むなのは。そして女性は一歩踏み出す。


「捕らわれてくださいませ」


 女性が地を蹴った。なのはは同時に地を蹴る。女性から逃げる為だ。一体何の冗談だとこの状況に向けて叫びたい。だがそれは叶わない。恐れてしまったからだ、あの機械的な笑みを。
 彼女は言った。返答を許可されてはいない。つまり何を問うた所で返って来るとは思わない。だがそれでもこの状況への疑問の念は止まらない。駆ける。全速力で。足が速いわけではない。むしろ運動音痴の方だ。今それが悔やまれる。振り返れば侍女はメイド服の裾を翻しながらこちらに向かって走ってきた。自分の速度より明らかに早い。


「一体何なんですか!? 貴方は!?」
「先ほども申し上げた通り、質問への返答を私は許可されておりません。ただ1つ」


 女性が強く地を蹴る。一気に女性は加速し、なのはとの距離を詰める。なのはは反射的に身体を低く倒し、地面に倒れ込む。侍女が自らの上を通り過ぎる。だがすぐに地を踏みしめ向かってくる。


「捕らわれてくださいませ」


 冗談じゃない。そう叫びたい気持ちを抑えながらなのはは起き上がる。下は坂だ。ならば行くしかあるまい。身体は軋む。痛みが身体を支配しようとする。それを必死に押さえ込む。うるさいぐらいに鳴る心臓の音なんて無視だ。
 起き上がり反転。侍女へと背を向けてなのはは坂の下へと走っていく。途中躓きそうになりながらも坂を落ちるように駆けていく。その後ろに侍女が困ったような顔をしながら追いかけてくる。


「逃げられては主がお怒りになります。それは私の望む所ではありません」


 なのでと前置きをし、侍女は微笑む。


「捕らわれてくださいませ」


 こうして唐突に追いかけっこは始まった。丘から少女は走る。もはや止まれない。足が勝手に動く。もはや全ては地面と運任せだ。見るからに踏んだら危ないという物があるが、無視。強く踏みつける。邪魔なら、踏みつぶせ。
 足が地を叩く度に身体が軋みを上げる。だが止まる事は出来ない。この理解不能な状況で流されてはいけない。捕らわれてくださいませ、と言う相手。一体何が目的で自らの身柄を狙うのかはわからないが禄な雰囲気ではなさそうだった。故に逃げる。ただ逃げる。


「なのは様。お時間がございません。お手をわずわらせないでくださいませ」


 返答をしている暇など無い。ただ前へと走る。このまま真っ直ぐ行けば人が住む所まで行ける筈だ。そう、思っていた。だがそこでなのはは足を止めた。いや、止めざるを得なかった。
 目の前に壁があったからだ。目に見えない壁。だがそこには確かに壁は存在していた。思いっきり身体をぶつける。そのまま見えない壁から滑り落ちるように地面に倒れる。
 そこで思う。なんて迂闊なのだと。ここは既に切り離された空間なのだ。この空間を覆っているだろう「結界」をどうにかしない事には…逃げる事すらも許されなかったのだと。
 絶望が心を満たしていく。終わりなのかと。一体何が起きているのかすらわからず、捕らわれてしまうのだろうか? 理由もわからずこのまま…流されるしか無いのだろうか?


(あ、は、ははは……私…無力だなぁ…)


 なのはは諦めたように笑った。魔力が無いこの身ではもはや抗う事など出来ない。痛みは耐えられる。だが…もう動けない。一歩も歩み出す事が出来ない。身体より先に心が諦めたのだ。もう限界なんだと。一瞬、脳裏に様々な人の顔が浮かぶ。両親、兄、姉。そして…大事な友達の顔。


(…ごめん。皆。私なんかもう、駄目みたい)


 せめて謝りたかったなぁ、と思う。その諦めた思考の中で視界に侍女の顔が見えた。自らを見下ろし、ただ機械的に笑っている。寒気するその笑みを見る。なのはは何を言うわけでもなく抵抗するわけでもなく、ただ見る事しか出来なかった。
 侍女が手を伸ばす。あぁ、もう終わりだな。そう、諦めた時だった。


 ――やれやれ。まったく無粋な輩がいる者だね。


 驚愕。同時になのはと侍女の顔がその表情へと切り替わる。そして声の先。木々より落ちた枝葉を踏みしめながらその声の主は歩いて来た。
 纏う服はスーツだ。髪は黒髪のオールバック。左右に白髪の髪が二房あるのが特徴的に見えた。無表情に思えるその顔。だが眉だけはしっかりと寄っていた。そう、とても不快そうに。


「今日は新庄君との丘でウッフフアッハッハハンな気分でデートを楽しもうと思っていた所なのだよ? わかるかね? これがどれだけ素晴らしく、そしてそれを邪魔をすると言う事がどれだけ無粋な事かわかるかね?」


 一瞬にして思考が真っ白になった。なのはは思う。今、目の前のこの人は何を言ったのだろう? なんか、もう、と言ったようになのはの思考は目の前の人物の台詞が理解出来なかった。正直いきなり現れた時よりインパクトが強すぎた。
 その瞬間。そのオールバックの少年の後ろから何かが飛来してくる。長い黒髪を揺らした人影だ。どうやら少女のようだ。少女はそのまま少年の腰に飛び蹴りをかました。少年がその衝撃を受けてよろめく。しかし、すぐさま体勢を立て直し、自らに蹴りを入れた少女を見る。


「一体何をするのかね? 新庄君。この無粋な輩共に私が高尚な説法をしているというのに」
「はいはいはい。頭がどうにかなってるんじゃないかと疑われる事間違いなしの発言は後回しにしてシリアスに行こうね!? この状況でそんな事言ってる場合じゃないだろう!?」
「いや、新庄君。私にとっては重大な問題だ。なんせ新庄君とのデートを邪魔されたのだ。いいかね? それはこの佐山御言に対する宣戦布告と取っても良い物なのだよ」
「そんな佐山理論を展開されても困るよ!! だーかーらーっ!! 今そんな事してる暇無いでしょっ!?  ほら前を見るっ!!」


 新庄と呼ばれた少女が無理矢理佐山と呼んだ少年の首をこちらの方に向かせる。
 …あれ? 何だろう? 微妙に納得いかないこの空気。なのはは思いっきり口の端を引きつらせた。いわゆるそれは苦笑と呼ばれる物であった。
 斯くして出会いは訪れる。少女は出会う。竜を統べる者達と。歯車が回り出す。彼女の、終末への歯車が…。
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