次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Over Wold Flower =人の夢は儚き幻= 第2章「運命を撃ち抜く者」 01
2010/03/03 WedOver World Flower
「――シッ!!」


 風を裂きながら迫る木刀。それを片手に持った木刀で防ぐ。普通の木刀に比べれば長さは少し短く、言うならば「小太刀」の長さを模した木刀だ。
 それを振るうのは私と、そして私の兄である高町恭也だ。私は木刀を打ち付け合いながら兄の身体に一撃を入れる機会を伺う。だが対峙してわかるのだが、兄はなかなかに人間離れしている。
 達人の動き、と言うのだろう。私も父さんに歩み寄り、家族との仲が深まった頃から兄達が修練を積んでいる「御神流」を自分も習う事を決めた。
 もちろん、それは将来の為。後に発生するだろう「P・T事件」と「闇の書事件」。その事件で私が「高町なのは」になってしまった事が影響して何か起きてしまう可能性も考えて強くなりたい、と思ったからだ。
 最初、父さんは渋り、兄と姉は戸惑っていたが、それでもなんとか無理矢理押し切り、こうして稽古を一緒にやるようになっている。
 まぁ、それで稽古を一緒になるようになってわかったのは、魔法が無いと本当にこの兄には勝てる気がしない、という事だ。私はお世辞にもセンスがあるとは言い難い。
 恐らく、兄や姉のように剣士としては大成する事は出来ないと思っている。それは兄や姉、父さんも感じているのだろう。それとなく剣術から興味を反らそうとしている行動が見られる。
 それはわかっている。だが、私は未来を知っている。だからこそ申し訳なく思うが今は剣術の稽古がしたい。剣士として大成は出来ずとも、この戦闘経験は後々生きてくるだろう。


「ぅくっ!」
「ハァッ!!」


 私の握っていた木刀が、兄の木刀に打ち払われて宙を舞う。これで勝負あり。今回は…2分か。そこそこ保った方か。


「なのは、大丈夫?」
「大丈夫だよ、姉さん」


 心配そうに声をかけてくるのは私の姉、高町美由希。心配してくれる姉に大丈夫だ、と知らせるように手を振りながら告げる。兄と私の実力差は圧倒的だ。御神流の稽古を始めて1、2年でどうにかなるような相手じゃないのは私がよくわかっている。
 兄も声をかけてくる。姉に比べればやや口調が固いが、それもこの人らしさだ。別に心配してないとか、情が薄いとかそういう訳じゃない。どちらかと言えば感情が表に出にくいだけなのだろう。
 姉から差し出されるタオル。それを私は受け取って汗を拭う。たった2分の事とはいえ、兄を相手にすればかなりの集中力を使う。ふぅ、と汗を拭った後に小さく息を漏らし、身体の中に籠もった熱を逃がす。
 私はタオルで汗を拭いながら道場の隅に移動する。そう、ここは道場。高町家にある道場なのだ。正直、凄いと思う。だからこそ父が剣術家なんだな、と改めて思ってしまう程だ。
 私が隅に移動すれば、今度は兄と姉の模擬試合が始まる。私はそれを観察する。御神流の剣士としては凡才である私だが、決してゼロじゃない。だからこそ兄と姉の動きを少しでも眼に焼き付けようと真っ直ぐに兄と姉の模擬試合に眼を向けた。





 + + + +





「はい、なのは、お弁当よ」
「ありがとう。母さん」


 朝、朝食を食べ終わった私は母に作ってもらった弁当を鞄に入れ、家を後にする。
 家を出る時は姉と一緒だ。登校時間が近いからだ。母親に声に見送られて私は姉と一緒に通学路へと向かう。私の通っている小学校「私立聖祥大付属小学校」への登校は途中で登校バスに乗る場合と、歩いて通う時の二通りがある。
 姉と一緒に出る時は歩いていく時だ。私がバスに乗るか乗らないかを決めるのはアリサとすずかの都合に合わせる事が多い。あの二人は所謂「お嬢様」という奴で、送迎の車が出る時がある。それが出る時は私は歩きで、あの二人がバスに乗る時は私もバスに乗る。
 アリサかすずかがどちらかが都合が悪くなれば、まぁ、基本的に三人でバスに乗る訳だが。それは余談だし、置いておく事にしよう。


「なのは~、そういえばあの小説、読んだ?」
「うん? あぁ、姉さんが前に貸してくれた小説? うん、面白かったよ。読み終わったから今度返すよ」
「そう? だったら続きもあるから読む?」
「うん、ありがとう」


 姉との何気ない会話。少し前までは私は中身が「アネモネ」である事から日本語を不得手としていた。だが、それでもアリサに負けない為にも国語の教科書を熟読する事が多かった。
 実は姉はそれを気にしていたらしいのだ。以前は姉との関係も疎遠だった為、姉がこちらに話しかけてくる事は無かったのだが、私が歩み寄った事によって私と姉の距離は縮まり、姉が本を貸そうか? と提案してきた事が全ての始まり。
 私は当時、別に本が好きだった訳じゃない。ただ勉強をしていただけだったのだ。だが教科書とよく睨めっこをしていた私を姉は「本が好き」または「物語が好き」と解釈したのか、自分の本を貸すように提案してきたのだ。
 私は本が好きじゃなかった。だが、断るのも気が引けて、とりあえず借りる事にする。だがなかなか内容を読む気にはなれず、放置しようと思ったのだが、それでは本を貸してくれた姉に申し訳ない、と思ったので読んでみる事にしたのだ。
 正直に言おう。嵌ったのだ。読書に。
 姉から借りたのは、まだ子供向けの小説。姉が昔に読んでいた小説なのだと言う。それを眺めているうちに物語に引き込まれていき、そして最後のページを読み終わった後のあの読了感。溜まらなかった。
 続きがあると言われ、その続きも借り、前巻の感動も噛み締めつつ、そこから続く物語。人々の心の動き、一種の憧れや共感を感じさせる登場人物の言葉。なまじ、自分が物語りのような人生を歩んでいた為か、なかなかに共感出来る事が多く、思わず胸を震わせてくれる。
 そこからは姉との本の交流を切欠に仲が良くなった。今ではたまに一緒に風呂に入る事もある。姉の髪は長く、洗うのは大変そうなので手伝ったところ、自分も髪を洗って貰い、髪の洗い方など、気をつける事を丁重に説明してもらった。
 あまり気にしていなかったのだが、姉と触れ合い、まぁ、少しお洒落に気を使ってみようかな、と思うようにもなったのはきっと良い事なのだろう。まぁ、そのお洒落がよくわからず、自分で良いな、と思って選んだ服を家族に見せてみたのだが…。
 兄は悪くないんじゃないか、と言っていたんだが、他の父、母、姉からは非難囂々の嵐だった。何でも「黒一色って、どこの恭ちゃんだよっ!?」と姉は怒っていた。そして酷く将来を心配されてしまった。同時に兄がなんだか凹んでいた。…強く生きよう、兄さん。
 まぁ、そんな事もありながら私と姉の関係は良好だ。互いに本の話で盛り上がりながらそれぞれの学校へと向かい、別れる。手を振ってる姉に手を振って返し、教室を目指して歩き出すのであった。





 + + + + +





「将来の夢ってある?」


 昼休み。私はいつものようにアリサとすずかの三人で昼食を取っている頃、ふとアリサが振ってきた話題がそれだった。
 将来、と言われると嫌でも脳裏を過ぎるのは「P・T事件」と「闇の書事件」、そして「J・S」事件。どの事件も「高町なのは」が関与し、大きく関わった事件。「J・S事件」については詳しい事はほとんど覚えていないが、P・T事件、そして闇の書事件に関しては「アネモネ」との関連からそれなりに覚えている。
 覚えているといっても本当におおまかな事だ。ジュエルシードの事、その奪取に現れるだろうフェイト・テスタロッサの出生の秘密。闇の書は改変された夜天の魔導書だと言うこと。その主が八神はやてだと言うこと。
 それに関わらない、という考えも一度はあった。だが今は違う。この世界は管理外世界。自分以外にこの街をロストロギアの驚異から守れるのは私ぐらいだろう。
 八神はやてがどこに居るかさえわかれば助力を請う事も出来るかもしれないが、確か闇の書事件の際にはヴォルケンリッターは管理局と敵対していた。下手に関わると後々厄介な事になりかねない。
 学校にいないのを見ると別の小学校にいるのだろうか、と思ったこともあるが、下手に探ってデバイスも無い時期に主語騎士達と接触し、ボロを出した日には口止めに殺される可能性だってある。
 高町なのはは「P・T事件」の際に「レイジングハート」を手にしたという。ならばせめてその時期まではなるべくならば八神はやてには接触はしたくない。


「――ちょっと! 聞いてるの? なのは」
「ん? あぁ、悪いアリサ。ちょっとぼぅっ、としてた」
「もうっ! だから、アンタ将来の夢とかあるの?」
「…将来か…正直、想像出来ない」
「何かなりたいものとか無いの?」
「…まだ具体的には、ないかな。だけどまだこれからさ。ゆっくり探すよ」


 アリサとすずかに笑ってそう返し、私は小さく二人に気づかれないように溜息を吐いた。「高町なのは」がこの二人と知り合ったのか私は知らない。家族とどういう仲であったのかは知らない。
 だが、この人達は私にとって掛け替えのない大事な人達だ。絶対に傷つけさせやしない、その為だったら未来の知識だろうが何だろうが使ってでも守ってみせる。そう、それが私の目標、私が将来に成すべき事なのだから。


「あ、予鈴鳴った」
「えっ? やばっ」
「ほら、なのは急ぎなさいよー!」
「もぐっ…っ、わかってるっ!」


 お弁当をかき込んだら少し苦しかった。お茶で無理矢理流し込み、私は弁当箱をすぐに片付けて本令が鳴る前に教室へと駆け込むのであった。




 + + + + +





 たまに夢を見る。
 朝、眼を覚ますと隣に寝ている少女がいる。それは私と同じ顔を持つ、私と、アネモネと同じく「高町なのは」のクローン、すみれがいる。
 すみれは寝ぼけ目を擦って私におはよう、と言って私に声をかけてくれる。私もおはよう、と返してすみれと一緒にリビングへと向かうのだ。
 リビングには、私達のオリジナルである高町なのはが笑って出迎えてくれる。その横には高町なのはの娘であるヴィヴィオがいる。ヴィヴィオが元気よく私達に向けて挨拶をし、私とすみれも挨拶を返す。
 奧の方から母さんが呼ぶ声がする。既にテーブルには父さん、兄さん、姉さんが席に座っていて、私も三人に向けておはよう、と言う。
 わかっている。これは夢だ。もう「高町なのは」は私で、私の知る高町なのはは居ないのだ。そしてすみれも居ない。ヴィヴィオもいない。だからこの光景はあり得ないのだと。
 だが、思わず思ってしまう。もしもあの時…私がもっと早くに過ちに気付いていればこんな光景があったのかもしれないという事を。
 だが、今はもう望んでも手は伸ばせない。もう叶う事は無い。
 だから、せめて今は手放さないようにしよう。父がいて、母がいて、兄がいて、姉がいて、アリサがいる。すずかがいる。その他にも多くの知り合いがいる。彼等が生きているこの世界を…。
 だからこそ、そう、だからこそ――――。





『――誰か』


 ――私は…。


『――誰か……僕の声を聞いて……力を貸して……魔法の……力を……』


 ――絶対に、負けない。





 + + + + +





 私は夢を見た。一人の少年の夢だ。少年は何か化け物のような黒い影に向かって立ち向かうのだ。
 左手からは血が溢れている。だが少年はそれを気にした風もせずに、ポーチから赤い宝石を掲げる。手から溢れる翡翠色の光。それは魔法の光。
 刻まれる魔法陣。ミッドチルダ式。次元世界「ミッドチルダ」発祥の魔法。詠唱と共に封印魔法が起動し、化け物を封印する。
 が、魔法式が不完全だったのか、少年の力が足りなかったのか、化け物はその体に傷を負いながらもどこかへと逃げていく。
 それに少年が力尽きたように倒れる。そして、あの声が聞こえた。念話。魔力を持つ者同士が行える声を出さない意思疎通の魔法。
 私は朝のランニングに出る。兄と姉の後ろを付いていくのだが、私はあの少年―恐らくユーノ・スクライア―が倒れた場所を特定していた。
 確か、あれは通学路の途中に、と兄と姉のランニングコースを考えてその場所へとどう向かうかを考える。
 あれは公園の森の中だろう。都合の良い事にそこは私達のランニングコースだ。兄と姉に、少し体調が悪いと誤魔化し、先に行って貰う。兄と姉は背負っていこうか? と執拗に聞いてきたのだが、丁重に断っておいた。…少々胸は痛んだが。
 兄と姉に心の中で頭を下げながら私は公園の森の中へと入っていった。夢に見た光景、恐らく念話によって伝わった彼の意志、その強烈さが恐らく夢というイメージで再現されたのだと私は思う。すみれとのリンクを繋いでいた事がある私は多分そうなのだろう、と予測を立てていた。
 そして…彼はそこにいた。目を細め、私はゆっくりと歩み寄っていく。


「…ユーノ・スクライア…」


 そこに倒れているのはイタチのような動物。確か、フェレットだったか、と記憶を引き摺りだしながらそっと歩み寄っていく。
 どうやら意識が無いようでぐったりとしている。首には…やはり「レイジングハート」がかかっていた。何とも言えないような感情が私の心から溢れ出した。
 あぁ、やはり私は「高町なのは」になってしまったのだと、もうケリをつけた感情がぶり返してくる。不安、恐れ、それが私の体を震わせる。


「…だが、決めたんだ。護ると」


 そう。だから、絶対に私は負けない、と。
 携帯を取り出し、兄と姉にメールを送る。「動物が倒れている。どうしたら良い?」と。
 結果は分かり切っている。この後、動物病院に運べば良い。いくら人間だと言っても今の彼はフェレットでしかない。そこで治療を受ければ体力も回復するだろう。
 彼の目が覚めたら…始めよう。全てを護るために。もう一度、この力を振るおう。
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