次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Over Wold Flower =人の夢は儚き幻= 第1章「私と『私』」 02
2010/03/01 MonOver World Flower
 決して故意では無かった。そんなつもりは無かった。
 だが…傍目から見てそれはどう映るのだろうか?
 例えばだ。普段から仲の悪い2人がいるとする。その2人が張り合ってる際にどちらか一方が一方的に倒れた時…倒した方はどう見られるのだろうか?


「…ぁ…」


 それは…本当に偶然だった。わざとじゃない。ただそうなってしまっただけで、頭の中が真っ白になってしまった。


「…アリサ…?」


 体育館の床にボールが跳ねる音が…やけに遠く聞こえた。
 目の前には苦悶の表情で体育館の床に転がるアリサがいる。
 何故、こうなったのか? 私はほんの少し前までの光景を思い起こした。





 今日の体育の授業はバスケットだった。そして私の試合の番が来ると、アリサが敵チームにいた。
 私とアリサが張り合う立場にいたらどうなるのか? それはもう1つしかない。それはいつもの光景だった。
 試合が始まり、アリサがボールを持っていて敵陣の深くまで攻め込んでくる。流石にそこはアリサ。巧みなドリブルで一気に距離が詰められる。
 ゴール前に私はすぐに駆け抜け、アリサの前に立ち塞がりアリサのシュートを防ぐ。更に私がアリサからボールを奪おうと牽制する。


「くっ! このっ…!!」


 焦れったくなったアリサが無理な体勢でシュートを打とうとしたのだろう。半ば無我夢中だった私はそれを強引に止めた。
 反抗心が原因だったと言えばそうだろう。無理な体勢でシュートを打ったアリサ。それを半ば強引に止めた私。


「――ぁっ…」



 アリサの態勢が崩れる。それに合わせて自分も態勢を崩した。
 倒そうとした訳じゃない。だが…アリサは私に押し倒されるようにして倒れた。
 鈍い、何かが打つ音がした。
 ゆっくりと顔を上げた。そして思わず身体の動きを止めずにはいられなかった。
 アリサは動かなくなっていた。それを私は血の気が引く思いで…ただ、呆然と見つめる事しか出来なかった。
 暫くして先生が担架を持ってきてアリサを救急車に運ぶまで私は動く事が出来なかった。





+ + + +





 その次の日の事だ。
 アリサが入院した。どうも打ち所が悪かったらしい。当然その噂はクラス内に広まる。
 噂が広がったならばどうなるか? 私とアリサの対立は皆も知っている。…だから、こんな噂が流れるのも当たり前だったのかもしれない。



 ―高町の奴、アリサに怪我させようとしてやったって話だぜ。



 誰が、いつ、どこでそんな話をしたのかはわからない。だがそれは皆に限りなく真実に近い噂として広まった。
 私とアリサは立場が違う。アリサは皆を引っ張っていくリーダータイプの人間で好かれていた。
 確かにすずかを虐めていた事もあったがあの一件以来、アリサが誰かを虐めたという話は聞かない。
 対して私は友達が少なく、何を考えているのかわからないと皆に思われている。何をするかわからない奴。それが故意にアリサを怪我させようとしたとしても疑う材料がないのだ。
 ならば自然と天秤が私が悪いように傾いていく。
 わざとじゃない。アリサにそんな事しようだなんて考えなかった。嫌いだったけど、憎い訳じゃない。
 …だけど言っても、信じられない。


「…それに怪我させたの、事実だしね」


 最近はすずかも寄りつけなくさせた。何かとこちらを心配していたがすずかにまで被害が及ぶ可能性もあったからだ。
 すずかには冷たく接している。それですずかが泣きそうになって、やっぱり私は嫌な奴なんだと噂が広まる。
 …仕様がない。だって、私が悪いんだから。溜息を吐いて、私は誰もいなくなった教室を後にしていった。





+ + + +





 更にその後日の事…。


「…ふぅ」


 私は思わず溜息を吐き出した。目の前には病院がある。手にはある病室のメモがある。
 そこはアリサの入院している病室がメモされている。


「…悪い事したら、謝らないとね」


 1日置いてしまったが…正直どんな顔をすれば良いのかわからなかった。
 すみれの時のようにすれば良いのだろうか? ただ言葉だけで足りるのだろうか?
 わからない。人にどう謝れば良いのだろうかわからない。だけど謝らなければならない。


「…行こう」


 迷ったって何も出来やしない。このままじゃ士郎も桃子もすずかも心配したままだ。
 それにアリサの状態も気になる。先生にも促されたのもある。自分で思ったのもある。
 考え込みながら歩いていくと、気付けばアリサの病室の前に立っていた。
 息を吸い込む。手を軽く握り、ノックをする。


「はーい」
「…高町だけど」
「…えっ!?」


 自分の名前を告げながら病室の中に入るとアリサの驚いた顔が見え、驚いた声が耳に届いた。
 まぁ驚くだろうな、と思う。逆の立場なら自分も驚くだろうし、と思いながら。


「…えと」
「…な、なによ…」
「謝りに来た」
「…」
「…ごめん」
「……アンタさ、謝るんだったらもっとこう、謝り方とかあるんじゃないの?」


 アリサが呆れたように溜息を吐きながら言う。


「…謝り方よくわかんないし、回りくどいのも嫌かな、って」
「…ふぅん」
「…大丈夫なの?」
「別に~? パパが大袈裟にしてるだけよ。もう退屈ったらありゃしない」
「そう、良かった」


 本当に良かった。アリサの言葉を聞いて安心した。もう私の所為で誰かが傷付くのは嫌だ。


「…にしても、アンタが見舞いに来るなんてね」
「謝らないと思ってたし」
「…そう。私も、悪かったわね。ムキになりすぎたわ」
「いや、私が悪いし」
「…何よ。私だってムキになったって言ってるでしょ?」
「…いや、私が元々アリサと張り合ってたのがいけないし…」
「はぁ…?」


 アリサの顔が「あんた、馬鹿?」というような顔になった。何故そんな顔をされるのかが本気でわからない。


「…アンタって結構根暗だったのね」
「…そうだね」
「あーっ! 腹立つ! やっぱりアンタ腹立つわっ!! 退院したら覚えてなさいっ!! コテンパンにのしてやるんだから!!」
「…いや、何でそうなる?」
「うるさいっ!! 良いっ!? アンタはねっ! 私がコテンパンに負かすって決めたのよっ!! だから、こんな事ぐらい気にするんじゃないわよっ!!」


 指を指しながら私に向けて宣言するアリサ。正直、アリサがそんなに私に張り合うのかがわからない。
 その理由を聞いてみれば「気にくわないから」としか返さない。あぁ、私も改めて思う。
 私はアリサ・バニングスが嫌いだ。





+++++





〈side:アリサ〉


 …まったく、本当驚かせてくれるわ。いきなり高町が見舞いに来るなんてね。
 でも、アイツなんだかんだ言って心配してくれてたし…月村の時もそうだったけど、やっぱりアイツって…。
 …でも根暗なのよね。あぁもうっ! 思い出したら腹立ってきた! 何よっ! 私が認めてやってるのにあんなウジウジしてるの!? わけわかんない!!
 絶対、あんな奴に負けないんだから! そうよっ!! あーっ! もうっ、早く退院したいーっ!!





++++






〈side:すずか〉





「…はぁ」


 私は思わず溜息を吐く。
 自分の部屋で考えるのは友達の事だ。
 その友達の名前は高町なのは。昔、私のヘアバンドを取られた時に取り返してくれた優しい友達。
 普段は何を考えているのかよくわからない、あまりお喋りをしない女の子。
 だけど彼女のそれはただ不器用なだけというのは私は良く知っている。
 だって、私、月村すずかは高町なのはの友達なのだと胸を張って言えるのだから。
 だけど、私は今、とても沈み込んでいる。その理由はとても簡単な事。


「…はぁ」


 アリサ・バニングス。なのはちゃんといつも張り合っている女の子。
 あの日、彼女はいつものようになのはちゃんと競い合っている時に、不幸な事故で入院してしまった。
 それが原因でなのはちゃんはバニングスさんを傷付けようとわざとやったという話が噂として広がってしまった。
 それはただの噂。だけどなのはちゃんの不器用さがそれを極めて真実だと思わさせてしまった。
 その所為か、なのはちゃんは最近私を遠ざけようとしている。それはなのはちゃんが私も虐められないようにしている為だというのがわかる。実際、他の友達からも止められた。


「…でも」


 それは何か間違っている気がする。だってなのはちゃんは間違った事はしてない。
 悪い事をしようとしてた訳じゃない。皆にそう言えば良かった。いや、そう言わなければいけなかったんだと思う。
 だけど足が竦んでしまった。怖かった。私の言葉なんて誰にも伝わらないんじゃないかって。
 だから私は何も言えなくなってしまった。なのはちゃんも遠ざかってしまった。


「……はぁ……」


 ただ情けない。後悔だけが募る。どうして言い出せなかったのか、と。
 私はやっぱり弱虫だ。そんな自分が、嫌になりそうだった。
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