次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Over Wold Flower =人の夢は儚き幻= 第1章「私と『私』」 01
2010/03/01 MonOver World Flower
 ――彼女は慣れぬ日常の中に埋もれる。





+ + + +





 私は高町なのは、魂の名はアネモネ。
 現在、全力疾走中。何故かというと100m走中だからだ。
 隣には自分と同じく全力疾走をする1人の少女がいる。長い金色の髪を揺らした少女だ。
 彼女の名はアリサ・バニングス。最近、私と張り合う意地っ張りな少女だ。
 そもそもなんでこんなムキになって争っているのか? その理由はとても簡単。
 高町なのは、もといアネモネ…あぁもう面倒。私はこのアリサ・バニングスが嫌いだからだ。


 なんでこうなったのか? それはいつかの虐めていた金髪の少女というのがこのアリサ・バニングスだったからだ。
 あれからアリサ・バニングスに私は「敵」と認識されたようで、何かとアリサは私に突っかかってくる。
 今でも鮮明に思い出される。私がいつものように1人でぼぅっとしていた時だった。
 その時、ふとアリサがこちらに寄って来たのだ。声をかけて来たのには本当に驚いた。
 そんな私を無視するかのようにアリサは私に聞いてきた。「テスト、何点だったの?」と。
 その時間はテストが返却された時間で、私は別に点数などに興味は無かったので気にも留めていなかった。
 アリサがしつこく聞いてくるので答えると、アリサは満面の笑みを浮かべて「あら、私の勝ちね」と勝ち誇った。
 最初はその態度に呆気取られるばかりだったが、優越感に満ち、見下すかのように見られれば誰だって腹が立つと思う。
 だから私はアリサ・バニングスが嫌いで、コイツにだけは負けたくないと思うようになった。テスト、勉強、食事、とにかく何でも張り合うようになった。
 なので現在、全力疾走をしているのである。アリサに負けない為に。
 ゴールにたどり着いたのはほぼ同時。だが私は見た。私のつま先が1cm程、アリサより速くゴールをしていたのを。


「何イチャモンつけてんのよっ!! 私の方が速かったに決まってるでしょっ!?」
「いいやっ!! ここは私の勝ちだねっ!! いい加減な事を言うな!!」
「なんですってぇっ!?」
「何さっ!?」


 ガルルルッ、とまるで犬のように唸り合いながら額をぶつけ合っていると先生に叱られた。
 くそぅ、全部アリサの所為だ、と睨み付けてやると同時に奴も睨んできた。腹が立つ。思いっきり鼻を鳴らして視線を逸らす。
 するとアリサも同じ行動をしたので余計に腹が立つ。まったくもって腹が立つ奴だ。
 その後、つかみ合いの喧嘩になるのはいつもの事。そして先生に説教されるのもいつもの事である。





+ + + +





「で、また喧嘩したの?」
「いたっ、いたっ! すずか、ちょっ、痛いっ!?」
「あ、ごめんごめん」


 昼休み。以前は1人で食べていた昼食も今では一緒に食べる子がいる。
 月村すずか。この子は前にアリサに虐められていた子だ。あれから何かと私に近づいてきて、今ではこうして昼食を摂っている。
 驚いた事にすずかのお姉さんの月村忍は、なんと自分の兄である恭也の恋人だと言うのだから世界は狭いものだと思う。
 すずかはアリサとの喧嘩で付いた傷に触れてくる。痛かったので抗議しておく。するとすずかは軽い謝罪と共に離れていく。
 最初はオドオドとしていたが、芯の方は強いようだ。今では私の方が押されるぐらい、結構強情だ。
 最初と随分と印象が違うので人ってわからないな、と思う。そう言えばすみれもそうだったけ? と思う。どことなくすずかとすみれは似ているのかもしれない。


「本当、2人って仲良いよね?」
「…すずか、目、大丈夫?」
「酷いなぁ。喧嘩する程仲が良いって言うよ?」


 ごめん、私とアリサはそれ例外だから。あれと仲が良いだなんて認めないから。


「意地っ張りだよね。なのはちゃんって」
「それはアリサ」
「なのはちゃんも、だよ」


 クスクスと笑うすずかには勝てない気にさせられる。
 隣に誰かがいる。その事がなんだか私の心を擽る。決して不快ではない。暖かい。だけど戸惑いがある。
 その戸惑いの理由はわからない。ただ人付き合いが苦手なのか、それとも別の理由があるのか。
 …それは、やっぱり私が「アネモネ」だからだろうか。私が「欠陥品」だからだろうか。
 例え、身体がオリジナルであろうともやはり私は……。


「なのはちゃん、予鈴鳴るよ?」
「え、…あ、うん」


 すずかの声に私はすぐにハッ、として食べかけの弁当を口に入れるのであった。
 桃子…お母さんの弁当はおいしい。だけど今日は何だか味気なく感じられた。





+ + + +





 一日の授業を終えて放課後になる。私は真っ直ぐに家に帰る。
 家に帰った後はすぐさま着替えて外に飛び出す。家の戸締まりを確認した後、すぐ向かうのは山の方だ。
 長い階段を上りきり、丘の上の公園へと入る。高台にある為なのか、人はいない。
 ここはいつでもそうだ。だからこそここに来たのだから。人目があってはこの特訓は出来ない。


「よし…今日はどうしようかな?」


 小さく息を吐き出して手をそっと握り込む。
 ここで何をするのか? それは魔法の練習だ。人目の付かない場所でなければ魔法は使えない。
 ここはミッドチルダのような時空管理局が「管理世界」と定めた世界とは違う「管理外世界」だ。
 魔法文明が発達していない世界での魔法は劇薬だ。それにあまりにも事を大きくすれば管理局に目を付けられる可能性もある。
 管理外だから何をしても良いという訳ではない。むしろ管理外だからこそ気をつけなければいけない。
 さて、そろそろ本格的に魔法の練習をしようか。
 私が魔法の練習をしている理由。それは「アネモネ」であった時の私の感覚と「高町なのは」となった私の感覚の摺り合わせの為だ。
 高町なのはの肉体はアネモネであった時の私の肉体から比べれば劣っている。それは子供だからという理由もあるが、アネモネであった時の私の身体は色々と強化されていた。
 だからこそ高町なのはの身体である以上、アネモネであった感覚では動けない。だからこそその摺り合わせを行い、魔法の開発に勤しんでいる訳だ。


「シューター、セット」


 足下に魔法陣が浮かぶ。その色は濃桃色の魔法陣。これは私が「アネモネ」である影響なのだろうか。
 そんな事を思いながら、1つ、2つとシューターを次々と展開していく。
 デバイスの補助を無くして私が制御出来るのは8つまでだ。思考制御などの肉体に左右されない能力は継いでいるが、肉体と魔力がやはり低い。
 身体は成長と共に鍛えていけば良いが、魔力は少々不安材料だ。リンカーコアは繊細なものだ。身体の成長に合わせて成長すると信じたいが、アネモネであった頃の全盛期に届くのだろうか?


「…考えても仕様がないか」


 小さく溜息を吐いて練習へと没頭していく。迫る未来。いずれはこの街に「フェイト・テスタロッサ」がやって来るだろう。
 素人の「高町なのは」でも退けられたのだから、今の自分ならば全盛期には程遠いとはいえ、そう心配する事もないだろう。


「…でも、上手くやれるかな…」


 未来を知っている。それは私を苦しめる鎖となる。
 「高町なのは」が産み出した結果から私は生まれた。高町なのはが「P・T事件」と「闇の書事件」の解決に大きく影響したというのも知っている。
 詳しい経緯は知らないが、単純に能力が高いだけではないだろう。この2つの事件が解決されたのは。
 それはきっと「高町なのは」だからこそ産み出せた結果なのだと思う。
 ならば…自分はどうなのだろうか? 「高町なのは」が産み出した未来よりも良い未来を作る事は出来るのだろうか?


「………別に高町なのはと同じ事がしたい訳じゃない」


 はた、と思う。別に高町なのはと同じ結果が欲しい訳じゃない。
 私の第一目標は私やすみれのような「高町なのは」のクローンが作られる事の阻止だ。
 ならば、逆に目立たないようにしていれば良いのではないだろうか?


「…はぁ」


 何やってるんだろ、と私は思わず溜息を吐いた。
 不安なのだ。私は「高町なのは」になってしまった。私のオリジナルである高町なのはに。
 それは私に不安を与えていく。年を重ねる毎に。私が知れば知る程に。
 私が知る未来が近づいてくる。その時、同じ道をたどれなかった時、私はどうなっているのだろうか?
 わからない。だからこそそれが怖い。知らない未来が怖い。知るが故に怖い。


「…帰ろう」


 最近、悩み事は尽きない。魔法の練習にも身に入らなかった。





+ + + +





 月日は流れていく。最近は魔法の練習はあまりしていない。時折疼くリンカーコアを沈める為にガス抜きはしているが。
 そのため、普段私は主に勉強をしている。アリサに負けない為にだ。
 ちなみに私の苦手科目は国語だ。ミッドチルダの言語なら出来るが、日本語は少し苦手な部類だ。
 いくら幼い頃から使っていたと言っても、私の言語の基本はやはりミッドチルダなのだ。日本語はやはり外国語なのだ。
 しかし負ける訳にはいかない。というか負けたくない。だから暇があれば国語の教科書と睨めっこしている。


「なのはちゃーん? 次、体育だから行こうよー」
「…ん? わかった」


 すずかの呼び声にようやく私は周りに意識を向ける。既に皆は着替えの為に移動を始めているようだった。
 行かなければ、と私も着替えを手に取ってすずかと一緒に教室を出て、更衣室へと向かっていく。


「今日は何だったっけ?」
「えーと、バスケだった筈だよ」


 と、他愛の無い会話をしていると既に着替えたアリサが廊下の向こう側から歩いてきた。
 相変わらずの睨み付けるような視線。私もそれにムッ、とした顔で返してすれ違う。
 すずかが少し困ったように笑いながらこっちを見てくる。何とも言えずに私は更衣室へと急ぐのであった。
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