次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Over Wold Flower =人の夢は儚き幻= プロローグ
2010/03/01 MonOver World Flower
 ――時は流転する。輪廻は巡る。人の思いを乗せて。




 + + + +





 とくん、と無くした筈の鼓動の音が聞こえた気がした。
 闇に沈み、消えゆく時を待つ筈だった「私」は疑問を覚えた。
 身を捨て、半身とも言える「彼女」にその身の全てと未来を託し、罪を償う為に消えた筈だった。
 なのにこうして私は「鼓動」の音を耳にしている。感じている。…そう、私は生きている。
 どうして、と思考を続けようとしたものの、暖かい何かに包まれた私は次第に眠りに落ちてゆく。
 あぁ…まだ、…考えていたいのに…。




 どうして…私は生きているの…?




 ねぇ…?




『すみれ』





 + + + +





 ――輪廻の導きは少女に何を見いだす。





 + + + +




 私が何故生きているのか?
 この疑問に私が答えられるようになったのは、およそ「私」が3歳になる頃だったろうか。
 「私」は「転生」した。赤子からその全てをやり直したのだ。生まれ変わったのだ。
 そして同時に驚かざるを得なかった。「私」が転生した先は「高町なのは」。
 …皮肉なものだと「私」は笑った。そう、それは皮肉と言わず、何を皮肉というのか。


 私、高町なのは。転生の前の記憶を持つ少女。その転生前の「私」の名は…「アネモネ」。
 高町なのはがこの先、順調に成長し、同じ歴史を辿るならば生まれる筈の彼女の「クローン」。
 それが転生前の「私」。その私が「オリジナル」として転生したなど、どんな皮肉なのだ、と笑うしか無い。


「…すみれ。私どうすれば良いのかな?」


 思わず口ずさむは、まだ私が「アネモネ」であった頃、私と同じように「高町なのはのクローン」として生まれた私の「姉妹」。
 私の過ちに気付かせ、最後の最後で私に「私らしさ」を与えてくれた子。もうきっと会う事のない、しかし、同じ道を辿らせれば出会う事になるかもしれない。


「…うん、ダメだね」


 そんなのはダメだ、と思う。嫌だし、あの境遇を知っているならなおのこと。
 同じ悲劇は繰り返さない。そのために、今、自分が出来る事は何なのか…?


「…わかんない」


 所詮は3歳児。「アネモネ」として生きた時間もほんの僅か。
 知識レベルは変わらない。ただほんの少し精神年齢が高いだけの知識ゼロの子供。
 ただ魔法という存在を知っていて、自分がその才能があるという事。
 そして、いつしか自分の住む世界にその「魔法」が関わる事件が起きるという事。


「…魔法の訓練をしつつ…後は、色々知っていかなきゃ、かな」


 そこでふと気付く。つまり3歳児の自分には何も出来ないという事を。
 考えても仕様がない、という事に気付けば、溜息をついて横になる。


「…寝よう」


 どうすれば良いのかわからない。なら、今は寝よう。寝て、これが夢ならそれで良い。
 続くなら…また考えよう。そう思いながら眠りに付いた。




 + + + +





 ――時間は誰にでも等しく与えられる。





 + + + +





 時が流れるのは遅いようで、速い。だけど速いようで、やはり遅く…。
 気付けば時は過ぎていく。気付いた時に遅いか、速いかなんてその時それぞれで。
 だけど最近気付いた事がある。1人でいる時間は何もしていないとただ長いだけなのだと。
 私が「高町なのは」になってどれだけの時が過ぎただろうか。
 およそ7年。ちゃんと意識を持ち始めた頃から数えれば4年程。
 私は今、小学校に通っている。高町なのはの出身世界である「第97管理外世界」。その極東地区「日本」。その世界では15歳まで学校に通うという決まりがある。
 その決まりに従って私は学校に通っている。だが、私はやはりというべきか人付き合いが上手くいかなかった。
 引っ込み思案という訳でもない。ただ友達というものに対して価値を見いだせないのだ。
 他人に感心がないからだ。別にどうしたという訳でもないから友達が出来ない。


「…別に良いけどね」


 1人で母親である桃子が作ってくれた弁当を食べる。味はかなりおいしい。
 桃子は母親だが…あまり素直に甘える事が出来ない相手だ。私が「アネモネ」という引け目もあるし、あちらの対応もまるで腫れ物を扱うようなのも慣れない。
 その理由は数年前、父親である士郎が大怪我を負い、私の世話をあまり見てやれなかった事が原因のようだった。
 別に私としてはそちらの方がやりやすいので特に改善する気は無い。あの家族内では1人でいる方が気楽なのだ。


「…ん?」


 弁当を食べ終わり、一息を吐いていると何かの声が聞こえた。
 1つは泣きじゃくる声。1つは何かを挑発するような優越感のある声。
 何だろうと思い、視線を向けてみればそこには金髪の少女がヘアバンドを掲げて笑みを浮かべている。
 その女の子の前で泣きながらヘアバンドへと手を伸ばす黒髪の少女が見えた。


「…虐め?」


 小さく呟いた。確かあれは同年代の子だっただろうか。あまり他人に感心がない為、詳しく覚えていないがそれぐらいは覚えている。
 黒髪の少女は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらヘアバンドを取り替えそうと必死になっている。金髪の少女はそれを見て楽しげに笑みを浮かべている。
 …覚えがある顔だ、と金髪の少女の顔を見ながら思わず思う。あれは昔の私だ。力に溺れて虚勢を張っていた自分。
 思わず顔を顰める。昔の自分もあぁだったのか、と思うと溜息が出る。あれは見ていて楽しいものではない。
 黒髪の少女があまりにも鬱陶しかったのか、金髪の少女が黒髪の少女を思いっきり突き飛ばした。黒髪の少女はバランスを崩して倒れる。
 しゃくりを上げながら涙を零して、小さな声で何度も呟くように言う。返して、返して、と。


「…あぁー…もぅっ」


 思わず頭をくしゃくしゃとかき混ぜてから勢いよく立ち上がった。見ていて気分の良いものじゃない。
 気配を消して金髪の少女の後ろ側に回り込む。まずはヘアバンドを持っている手を掴み、軽く捻った。


「え? っ!? いったっ!?」


 いきなり手を捕まれた事に驚いたのも一瞬、金髪の少女はヘアバンドから手を離し手を押さえた。
 落下するヘアバンドをキャッチすればすぐに金髪の少女の手を離し、今度は黒髪の少女の手を掴んだ。


「逃げるよ」
「え? あっ!?」


 引っ張るようにして黒髪の少女と共に逃げていく。呆然と立っていた金髪の少女がすぐに怒声を上げてこちらを追ってくる。
 やれやれ、と思いながら走る。手を繋いだ黒髪の少女はしっかりと付いてきている。
 金髪の少女はしつこく追ってくる。彼女を撒くために廊下の影に潜んでやり過ごす。
 金髪の少女が向こうへと駆けていくのを見送ってから私は静かに溜息を吐いた。


「…ふぅ、大丈夫?」
「ぇ…? あ、うん」
「はい、これ」


 黒髪の少女にヘアバンドを手渡してからゆっくりと立ち上がる。そろそろ予鈴が鳴る頃だろう。
 教室に戻らなきゃと歩き出す。が、歩きだそうとすると背後から黒髪の少女から呼び声が聞こえた。


「あ、あのっ!」
「…ん?」
「あ、ありがとう…」


 小さな声で告げられたお礼に思わず目を丸くする。別にお礼が欲しくてやった訳じゃなかった。
 ただ放っておけなかっただけだ。だから小さく溜息を吐いて。


「次は取られないようにね」


 ただそれだけ言い残せば、後は振り向かずに歩き出し私は教室へと向かうのであった。






 + + + +





 ――未来を知っているのははたして不幸か。

 ――記憶を持っているのははたして不幸か。


 ――惑う少女。その未来の行く末はどこへ辿り着くのか…?






 Over Wold Flower =人の夢は儚き幻=





 これは、数奇な運命に惑わされた少女が見る夢幻〈ユメマボロシ〉…。
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