次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第20話 Bpart
2010/02/28 SunOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第20話「弔いの叫び -Bpart-」



 すみれが放ったスターライトブレイカーは全てを飲み込み、大地に小規模な一文字を描いた。最早「アネモネ」であった物は存在しない。完全消滅させたのだ。
 「アネモネ」の消滅を確認し、すみれはフラフラと地に下りてきた。地に足が付けば、ハルバードを地面に突き刺しその場に蹲った。


「すみれッ!?」


 それを結局呆然と見入る事しか出来なかったティアナが彼女の名を叫んだ。ティアナが叫ぶのと同時にフェイトがバルディッシュを支えにして立ち上がり、すみれの方へと歩み始めた。
 歩み出すフェイトに気づいたティアナは、彼女を支えるように肩を貸して、すみれの下へと歩いていく。


「うぁぁあああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」


 その最中、すみれが天を見上げて吠えた。喉が裂けるのではないか、と言う程にまで吠える。瞳からは、ただ涙が流れ続けていた。すみれはただ泣き喚いていた。その胸にある悲しみが彼女に泣き叫ばせる。その感情を少しでも吐き出そうとして。
 だがいくら吐き出そうとしても、吐き出しきれない悲しみは止まらない。何度も、何度も声を挙げ続ける。放っておいたら喉が裂けるまで叫び続けているのではないか、と思う程の叫びだ。
 その叫びにフェイトとティアナは顔を歪めた。すみれにとってアネモネという存在は自分達が思っているより大きかったのだろう。その彼女をすみれは、自らの手で消滅させた。フェイトとティアナはわかったのだ。アネモネはすみれをユニゾンから解除する為に自身を消滅させたという事を。
 故にプログラムが暴走し、あのような「化け物」が生まれた。更にあれはすみれの言葉が正しいのなら「アネモネの負の心」の象徴とも言えるのだろう。


「…すみれ」
「…フェイトォ…」


 なんとかティアナの肩を借りながらもフェイトはすみれの下へと辿り着いた。すみれはフェイトに気づいて吠えるのを止めた。だが、それは一瞬だ。すぐに表情が悲しみに歪み、フェイトに縋るように抱きついて、また吠える。
 吠え続けるすみれをフェイトは唇を噛み締めながら抱きしめた。どれだけ辛いのか、最早想像も付かない。ただせめて悲しみが少しでも癒える事を願いながら抱きしめるしか出来なかった。
 すみれとフェイトにティアナは視線を直視させる事が出来なかった。視線を逸らした時…ティアナは気づいた。
 それは転送の光。何かが転送してくる、とティアナは警戒の視線を向けてクロスミラージュを構えた。転送の光が消えた時、そこにいたのは、ジーク・インプレッサだった。
 思わずティアナが呆気取られた瞬間だった。ジークがいきなり大声で笑い出した。


「素晴らしいッ!! 素晴らしいよ君は!! No.207…いや、すみれ!! 君はなんて素晴らしいんだ!!」
「…は…?」


 ティアナは目を見開いてジークを見た。何を言っているのか理解が出来ない。いや、したくないのだ。コイツは何を言っている。今、目の前で何を見て、その言葉を吐いている。その言葉に反応したのか、すみれが吠えるのを止めてジークを見た。


「最高じゃないか! その力!! まさか、まさかだっ!! まさかそのような素晴らしい力に目覚めてくれるとは、君は最高だよ!! まさに私の理想だっ!!!!」


 狂ったように拍手までし出したジークにティアナは殺意が湧いた。人の心を何とも思っていないこの男に本気で吐き気がする。それはフェイトも同じようだ。まるで射殺さんばかりの視線でジークを睨み付け、歯軋りの音を強く鳴らせた。だがそれ以上に怒りを放つ者がいた。それは…すみれ本人だった。


「ぁ…ぁぁぁ…ぁぁああああああああああああああああああっっっ!!!!」


 涙を流しながら憤怒の顔を浮かべ、すみれはフェイトの腕から抜け出しジークへと走り出した。それにフェイトは思わず、彼女の名を呼んで制止の声を挙げる。ティアナも止めようとしたが、彼女は一直線にジークへと向かって走っていき。


「お前がぁっ! お前がぁぁっ!!」
「ぐふっ!?」


 すみれの右拳がジークの左頬を殴りつける。殴られるとは思っていなかったのか、笑ったままジークは殴り飛ばされ地面に転がる。転がったジークに飛びかかり、再び拳を振るう。再びジークの顔面が殴り飛ばされ、歯が折れて地面に転がっていく。それでも、尚ジークは笑い続ける。


「何を怒っているんだい!? 素晴らしい力だろう!? 喜び給えっ!? 君は勝者になったんだよっ!? 誰にも屈しない力を…」


 もはやそれ以上の言葉は無かった。ジークにとっても、すみれにとっても。すみれはジークの言葉を遮るように殴る。ただひたすら殴り続ける。まるで悪鬼のような表情でジークをすみれは殴りつけていく。
 すみれの拳を受けてジークの顔が腫れて歪んでいく。唇の端を切ったのか血も飛び交う。思わず呆然と見ていたティアナとフェイトだがすぐに止めに入る。いくら犯罪者とはいえこれは不味い。最悪、すみれにまで罪がかかってしまう。


「止めなさい! すみれッ!!」
「ッ!? 離して、離してぇっ!?」


 ティアナが無理矢理羽交い締めにしてすみれを押さえ込むが、涙を零しながらすみれは叫ぶように訴える。ティアナは歯を食いしばってそれを堪える。ここで離す訳にはいかない、と。
 すみれは、ジークを殴り続けるだろう。最悪、殺すつもりだ。…いや、きっと殺すつもりだったのだろう。だがそれだけはさせる訳にはいかない。故に、ティアナは叫んだ。


「アンタ、アネモネに生かして貰った命を無駄にするつもり!? そいつを殺したら、その命を無駄にするって事なのよっ!?」
「っ!?」
「だから、落ち着きなさいっ!! こんな奴…殴る価値すら無いわ!!」


 それだけ叫ぶように言い切れば、ティアナは荒い息を吐いたまま、すみれを抑え付ける。ふと、急にすみれの力が抜け、すみれが俯き、涙を零したまま呻き声を上げ始めた。
 …悔しいのだろう。だが、ティアナは先ほど言ったようにすみれがジークを殴る価値は無いと思っている。それは誰もがそう思うだろう。


「…アネモネの為にも…コイツには、法廷に立たせて、裁かせる。裁くのは…アンタの仕事じゃないわ」
「…ぅっ…ぐぅっ…うぁっ…ぁぁっ…」


 呻き声は、泣き声に変わっていた。ジークはぴくり、とも動かない。どうやら気絶しているようだ。それにフェイトが何かを堪えるような表情をしながらしゃがみ込んだ。
 その時、3人の眼前に空中モニターが表示され、そこには焦った表情のクロノがいて。


『3人とも、大丈夫か!?』
『ようやくモニター回復しましたよーっ!? ご無事ですか!?』


 クロノに続いて、シャーリーのモニターも追加され、2人が心配そうに声をかけてくる。どうやらすみれとアネモネの衝突からモニターが使えない状況にあったようだ。
 その間にも何かが起きているというのはわかっていたが、詳細がわからなかった為、こうして焦れったさを堪えながら、ようやく通信が繋がったと言った所なのだろう。クロノの顔を見て、フェイトは疲れたように溜息を吐いて。


「…アネモネは…消滅。…ジーク・インプレッサは、今、確保したよ」


 フェイトの告げた事実にすみれが身を震わせた。アネモネの名が出たからだろう。落ち着かせるようにティアナが後ろからすみれを抱きしめて、何度も頭を撫でてやる。
 その様子にクロノは何かあったのだろう、と事情を察知して、そうか、とただそれだけ短く返すだけに留めて、瞳を閉じた後、フェイト達に指示を下した。


『…わかった。今、回収する。暫くそこで待機していてくれ』


 クロノがそれだけ告げるとクロノのモニターが消える。シャーリーも、空気を読んだのか、暗い表情のまま、労いの言葉を告げてモニターを閉じた。
 残された3人。その3人の頬を撫でるように荒野の風が寂しく吹いていった。





 + + + + +





 この後の顛末をお話しよう…。
 クラウディアに帰艦したすみれ、フェイト、ティアナは、すぐさまミッドチルダの病院に入院させられる事になった。軽傷の順から名前を挙げていくならば、すみれ、ティアナ、フェイトだ。
 フェイトは肋骨を骨折。内臓にもダメージが与えられたのか、全治2ヶ月程と診察の結果が出された。ティアナの方も左腕骨折。更に過労で、暫くは休みを取った方がよい、と医師に診断された。
 そして…すみれなのだが、肉体的には誰よりも軽傷ではあったが…精神的に深く傷付き、食事を喉に通さなくなった。時折、声を出すだけで、涙を零すなどと精神的にかなり不安定な状況にあり、暫く入院させられる事になった。
 ジーク・インプレッサは、クロノが収容所へと送り、裁判の準備を行っているという。投獄されたジークは、どこか虚ろな状態で、質問にも答えず、時折暴れ出すという奇怪な行動を取り、精神鑑定も行われているという話だ。
 すみれがジーク・インプレッサを殴ったという話は、ジークの証言も無く、クロノによって怪我の理由をでっち上げにより、自然と消滅していったので、結果的にすみれのお咎めは無しという流れになった。
 この後に…フェイトはこの事件の事をこう語る。


「…記憶に残るような…虚しい事件だったよ。きっと…今までの事件で、一番ぐらいに、ね」


 こうして…ジーク・インプレッサによって引き起こされた事件はようやく、幕を下ろそうとしていたのであった。
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