次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■創魔の疾風 =A girl creates the world= Act.04
2010/02/01 Mon創魔の疾風
「正直、驚いてるわ」
「それは私もですよ」


 海鳴にある海鳴大学病院の前で2人の人物が立っていた。
 1人は白衣を纏った黒髪の女性。1人は茶髪の少女であった。石田とはやてであった。
 互いの表情は穏やかな笑顔であった。ふと、石田が手をはやてへと差し出して。


「退院おめでとう。はやてちゃん」
「いえいえ。私の方こそお世話になりました」


 差し出された手を握り、はやては石田に極上の笑みを浮かべるのであった。
 その笑顔の理由は、今までどんな治療を施しても直らなかった八神はやての足の回復。
 そして病院側が診察した結果、健康そのものと判断し今回の退院という結果になったのである。
 惜しむように病院を後にし、海鳴の街を駆けるはやて。
 その両足で強く地面を蹴り、街の中を駆け抜けていく。目指す先は海鳴市にある図書館。


「ふぅ、やっぱり車椅子よりは早いわ」


 疲れた様子を見せずにはやては図書館の中へと入っていく。その足の動きに淀みは無い。ごく自然にその足は動いていた。
 あの日。そう、はやてが偶然行った「気」と思わしき物の操作によって得た結果は日を追うごとに奇跡的な変化を産み出していった。
 最初は指が動くだけであった。その変化だけでも病院側からすれば非常に驚きであった。
 何せこの数年間、まるで回復の兆しを見せなかったはやての足が唐突に回復を始めたのだから。
 それから少しずつはやてのリハビリは始まっていった。あの奇跡の日より半年ほどの時が経つ頃にははやての足は完璧に回復し、歩く事に支障は無くなっていた。
 あまり激しい運動でなければ走る事も可能になった。そして病院の退院。八神はやての生活は激変していった。


「…しかし、これからどうするかなぁ?」


 本を集めながら、はやては考え込んでいた。足が治ったならば、やりたい事は色々ある。
 だが特といって決まらないので、今はこうしていつもと同じ日常の日々を送っている。
 集め、学び、残し、考え、理解し、己の物とする。
 変わらない日常。だが、変わった物もある。時刻は5時、はやてはのんびりと歩きながら家へと帰宅した。


「ただいまー」


 誰もいない家に挨拶をしてから、キッチンに入り、夕食の準備をする。
 それが終われば盛りつけ食べる。食べ終われば片付けをやり、やるべき事を先に終わらせてしまう。
 それはいつもと変わらぬ日常。だがこれからがはやての新たな日常である。


「さて、始めるか」


 それは気づいた一つの真実。自分には人には無い何か「特殊な力」がある事だ。
 キッカケはやはりあの「気」を身体に巡らせたあの日からだ。意識をすれば感覚が切り替わる。深く、沈んでいく感覚に身を任せる。
 闇の中に溶けていく感覚。その感覚の中に己の鼓動を感じる。解け合った中に確かに己の存在を感じている。
 そしてその存在の中心から己という物をなぞるように象っていく。心臓から、頭へ、腕へ、そして足へ。全身を駆けめぐる「何か」が己を満たしていく感覚。


「ふぅぅ…」


 静かに息を吐き出し、それを繰り返す。身体を巡る「何か」が己の身体の奥から力を引き出してくる。
 まるで熱のように満たしていく高揚感。はやてはその感覚を維持したまま、そっと目を開く。


「さて、と」


 いつもより軽い身体を動かしながらはやては家の戸締まりを確認した後、家を出て鍵を閉める。
 鍵が閉まっている事を確認すればはやては家を飛び出した。最初はゆっくりと、そして彼女は人気の無い方向へと駆け出す。
 そして完全に人気が無くなったのを確認した頃には海鳴市にある森の中へとやってきていた。
 そこではやては短く息を吐き出す。瞬間、はやては消えた。
 いや、それは違う。消えたのではなく、「跳んだ」。森の上、木の枝を蹴りながら高く空に舞う。
 クルッ、と宙で一回転し、再び枝を蹴る。しなる枝の反発力を利用、更に「強化」された己の脚力を使い「跳躍」。
 木の葉が揺れ、音を立てる中、森の上にまで跳ぶ。そこから放物線を描くように落ちる浮遊感に思わず笑みを浮かべる。
 僅かな恐怖と興奮。それが身体を満たし更に力を与える。これが、はやてが気づいた特殊な「力」。
 身体強化。森を人ではあり得ぬ跳躍力で駆け抜ける。しばらく移動し、はやてはある地点で枝を蹴るのを止めた。
 地面へと向かい、手と足を地面に付き、土煙を上げながら森の奥へとやってきた。
 なだらかな丘。周りは森が囲み、本来は立ち入りが禁止されている場所である。


「よぉし、いつも通りやってみるかな」


 その場ははやての秘密基地。はやての「力」の訓練場所でもある。
 森の広場、と言えば良いのだろうか。そこはとにかく広い開けた場所であった。
 その中心ではやては格闘技の構えのような構えを取り、呼吸を深く続けていた。


(巡る「何か」。仮称を「気」とする。気を巡らせ、一点に)


 空気が変わる。はやてはスッ、と右腕を引き、身体を半身にする。
 「気」と仮称したそのはやての中を巡る「力」は身体の中を駆けめぐっている。
 その駆けめぐる力を、一点に、右腕へと集中させていく。あり得ぬ程の熱、火傷をしてしまいそうな程の熱い熱が右腕に籠もる。だが、それは力が凝縮されている証。


「破ァッ!!!」


 力を込めた咆哮。同時に突き出される右腕。目の前には一本の木がある。
 だが、はやてはそれに触れない。距離がある。本来ならば何も起きない筈。
 が、変化は、起きた。
 鈍い音を立てて、木の一部が凹み、ミシッ、と音を立てた。もう一度言う。はやては木には「触れて」いない。ただ右腕を木に向けて振るっただけである。


「…はぁっ、外に向けて放つのは大分慣れて来たな」


 ドッ、と吹き出した汗を拭いながらはやては溜息を吐いて、その場に腰を下ろした。
 はやての中に巡る「気」と仮称された物にはいくつかの能力がある。
 まずは最も楽に発動し、己が足が動くようになった要因である「身体強化」。はやてが感覚を切り替え、身体にそれを通すだけで、身体強化はなる。
 これが、はやてがこの森奥深くまで「跳躍」させてた力である。
 次に「気」を「外」に向けて放つ能力。簡単に言えば格闘ゲームの波動拳など、それに分類される物である。
 だがこれが並大抵に楽ではない。内側に流れている物を無理矢理外へと解き放つのにははやても非常に苦労していた。
 これを放てるようになったキッカケがまたとんでもない。何度やっても上手く行かず、ムキになって暴発させたのだ。限界まで一点に集中させて、爆発させた。
 その所為で手が麻痺し、一週間地獄の筋肉痛のような物に襲われた。下手をすれば手事態が吹っ飛んでいたかも知れない、とはやては自己分析している。
 とまぁ、そんな自爆の経験があったお陰で、はやては一つの方法を見つけた。イメージとしては、己の身体が砲身であり、気が弾丸である。放つ部位が照準を定め、そこに集中させて、動作と共に解き放つ。
 当初はやる度に筋肉痛が襲い、涙目の日々を送っていたが、それも段々と慣れてきた。


「んー、もっと良い方法が無い物かなぁ?」


 やはり己の身体を砲身にするのは、正直言って疲れるのだ。
 かといってどうする? ぼんやりと空を見ながら考えてみる。


「…ん?」


 そういえば、とはやては身体を起き上がらせて手に「気」を集中させ始めた。
 瞳を閉じ、闇の中に沈む。闇の中に己という存在を知覚した後、その力を手に集中させ始める。手首、手のひら、指、爪、その全てを把握し気を凝縮させていく。
 そしてそれを「放つ」直前で停止させる。そのまま外に漏れだした気を手を包み込むように、薄く、鋭く、鋭利に、イメージは刃だ。
 そして、それを、思いっきり振り抜くッ!!!
 空気を裂き、何かが飛翔し、木の枝を切り落とし、地へと叩き落とした。その音を聞いてから、はやてはゆっくりと目を開けた。


「…ふむ、放つ直前で形状を変えれば良いんやな?」


 今まで己が放っていたのは、形無きただの「力」である。ただ方向性しか無い。それだけの物、だが今放った物は「形」を与えて飛ばした。
 つまりは、形があれば良い。その形を想像出来る物が在ればよい。今は手刀であった、だが、もしそれが木刀などで出来たら?
逆に、放つ前に留めておく事が出来れば無論刃としても使える? つまりは延長線上の物、それさえあれば己の肉体を媒体にしなくても良いわけだ。
 思考、結果想定、実行、成功、保存。
 試し、学び、作り、残し、何度も続けて、はやてはそれを力と成していく。これがはやての日常の日々。


「ッ!? いっっつぅっーーーッッッ!!!」


 急に痛みだした右手を押さえながら、森の中ではやてはうめき声を上げた。
 この痛みの日々も、また、はやての日常の日々なのである……。





+++++





「ねぇ、やっぱりあれって」
「…間違いないわね」


 闇の中に、二つの影が浮かんでいた。その影の声には、驚愕と、焦りの声が混じっていた。


「目覚めてるわ。何がどうなってそうなったのかわからないけど、それだけは確実」
「どうする? このまま「アレ」の覚醒が早まったらあの子何し出すかわからないよ?」


 ガリッ、とその影が何かを噛む音がする。噛んだのはどうやら爪のようだ。
 苛々、とした雰囲気がその場に形成される。影が睨む先には手首を押さえて唸るはやての姿があった。


「今はまだ原始的にしか使えてない。だけど成長スピードが早すぎる」
「教えも何もないのに感覚的に使えてるのね…「魔法」を」
「……忘れてもらうしか、無いわね」
「でもっ! 今介入したら色々まずいんじゃ」
「でもこのままじゃ「書」の覚醒が早まるだけかもしれない。やるなら今しか無いわ」


 闇の中で影達ははやてを睨む。その瞳には、焦りと、恐れと、そして憎悪を込めて。


「明日にでもあの子の記憶を消去する」
「「魔法」の記憶を、奪うんだね?」
「そう。そして……父様の願いの為に」


 静かに、静かに、物語は動き出している。
 一人の少女の覚醒が世に変革の時をもたらしかけている事を、少女自身は、まだ知らない……。
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