次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第19話 Bpart
2010/02/28 SunOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第19話「アネモネ -Bpart-」




 すみれとアネモネがいた黒の空間は…次第にその姿を変えていく。やがて現れたのは研究所のような場所であった。2人にはよくわからない機械類が散乱し、データを取った書類が無造作にばらまかれたりしている。


「…これは…?」


 すみれが呆然と呟くと、その部屋に1つの音が生まれた。足音だ。その足音の主は白衣を纏った男だ。それを見てアネモネが思わず、目を丸くさせた。


『…パパ』
「…父さん」


 アネモネの呟きに、すみれが小さく呟き返す。2人は魅入られるようにその光景を見つめ続けていた。ジークは手に持った書類を眺めてから、小さく溜息を吐いて。


「ふむ…同時期に製造を開始したが…No.207の方が発育が良いな…No.208もなかなかだが…No.207の方が優秀か」


 ジークの呟きにアネモネが目を見開いた。明らかに動揺したアネモネの様子にすみれがアネモネの顔を困惑気味に見つめた。アネモネの身体は小刻みに震え、ただその光景を見入っている。明らかに異常なアネモネの様子に、すみれは彼女の肩を揺さぶって。


「アネモネ?」
『…そうだ…そうだったんだ…私…』


 アネモネはすみれを気に止めないまま、小さく呟いた。そのまま視点が映るかのようにジークから別の方向へと視線が向けられた。そこには…ポットに入り、水中の中を浮かぶ少女の姿がある。
 それにすみれはアネモネの顔を見た。何故なら、そこにいたのは…アネモネで…。


『違う…あれは…すみれだよ』
「…え?」
『…思い出した…私だ…全部、本当に私が悪かったんだ』


 アネモネは自嘲するかように笑った。アネモネの念話にすみれは怪訝そうな顔をするしかない。アネモネは、自らの消えゆく手でそっと喉を撫でた。それからどこか虚ろな笑みを浮かべて。


『覚えてない…? まだ、意識がハッキリする前の事…。「お前がいるから」「お前さえいなければ」「死にたくない」「消えたくない」「お前が消えろ」「消えて」』
「……っ!?」


 アネモネの言葉の1つ1つがすみれの記憶を刺激した。その記憶は淡い夢の中の出来事のようで、詳しくは覚えてはいない。だが、記憶を刺激する何かがあり、思わず、すみれは頭を押さえた。
 その様子に、アネモネは続けていく。そっとすみれの頬に手を伸ばし、その頬を撫でながら…。


『…その次の日…貴方は…捨てられた』
「……ぁ…!?」
『私が…呪ったのかな? 貴方は…次の日から、声を失ったの。それは…私が貴方から奪ったの。私が生きたかったから。だって繋がってるんだもん。きっと、そうなんだ…』
「それはっ…!」


 違う、とすみれは叫びたかった。それはアネモネの呪いでも何でもない。そうなるべきだったのだ。だから、アネモネに責任は無い。そう言いたかった。
 自分の声を失った原因など、本当にそうなのかどうかなどわからないのだから。だが…アネモネの瞳が、思いを告げる事を許さなかった。透き通った水面のように、深く、沈んでいきそうな瞳。それと目が合った時、すみれには何かを言う力は無かった。


『…嫌だよ…。消えたくないよ…。生きたいよ…死にたくない…怖い…』
「…アネモネ…」
『でも…でも、すみれが悲しむのは嫌だ。もう…怖いのは…嫌なんだ…悲しいのも…嫌だ…怒りたくもない…憎みたくない…』


 すみれに縋るように抱きつきながら、アネモネは念話で伝えてくる。自身が消えなければいけないという恐怖。アネモネが、最も恐れた物だ。だが、彼女は自らそれを選択した。その心に引き裂かれるような痛みを負いながら。
 その痛みに耐えようとした。だけど…無理だった。それは、自分には耐えきれない物だった。


「アネモネ! だったらっ…!」
『でも、駄目』


 震えた身体。何度も、歯を恐怖に鳴らせながら、瞳に涙を溜めながらアネモネはすみれを見つめた。そこには…揺るぎない決意を持ったアネモネがいた。


『すみれからいっぱい奪って、いっぱい悪いことして…もう、駄目だよ。…だから、これで最後にさせて? これが終われば…私は、もう、悲しいとか、何も感じずに済むから』
「そんなの…悲しいだけだよっ!!」


 アネモネの念話にすみれは声を震わせて叫んだ。もっと幸せになって良い筈なのに、とすみれは思いを乗せて叫ぶ。そんなすみれの唇を、そっとアネモネは指で押さえて。
 そして…心の底からの微笑みを浮かべた。すみれが思わずキレイだと思うような笑みを浮かべて。


『…これが本当の最後の我が儘だから…許してね?』
「…アネ…モネ」
『わかってる。自分勝手だって…。馬鹿だって…。でも…でも、これから、歩いていけないよ…。否定ばっかりで…私には重すぎるよ』


 だから、とアネモネは小さく零して。


『貴方は、生きて』
「…っ…アネ…モネ…」


 彼女の身体が消えていく。透けていく。どんなに抱き寄せても、どれだけ強く、強く抱いても彼女の身体が消えるのは止められない。繋ぎ止めるように力を込めるのに、零れ落ちていくように感じられなくなっていく。


『…すみれ…。私の分、生きて。私の分、背負って。我が儘だって…わかってる。でも……幸せになって…欲しいんだ。諦めないで欲しいんだ』
「アネモネ…ッ!!」
『私を…忘れないで。私はずっと…貴方の力になるから。貴方と生きてるから…だから…悲しまないで…』
「アネモネッ!!」


 何度、彼女の名前を呼んでも繋ぎ止められない。ここにいて欲しいのに、消えてしまう。逝ってしまう。いなくなってしまう…。
 嫌なのに、止まって欲しいのに、止まらない。彼女がいなくなってしまう。アネモネが、私の、もう一人の私が、私の「姉妹」がこの世から消えてしまう。


『…幸せになってね…すみれ』


 そして…最後に、アネモネは涙で濡らした顔に満面の笑みを浮かべた。その笑顔が消えていく。手が、足が、身体が、その全てがまるで幻だったかのように光となって消えていく。
 嫌だ。待って、待ってよ。光に手を伸ばして、行かないでと、だけど掴む者は、掴みたかった者はもう、居ない。


「アネモネェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!」





 + + + + +





 荒野では未だにフェイトとティアナ、そしてすみれとアネモネがユニゾンした少女の戦闘が続いていた。
 フェイとへと急接近した少女の拳がフェイトの鳩尾へと叩き込まれる。その重みにフェイトの意識が朦朧しかける。そのまま、衝撃でフェイトの身体が吹き飛び、地面に投げ出される。
 すぐに起き上がろうとするも、朦朧とした意識が立ち上がる事を許してはくれない。身体に力もいれても、上手く入らない。もう、駄目なのか、とフェイトの心に絶望が下りようとする。


「フェイトさんっ! 逃げてぇっ!!」


 誘導弾を放ちながらフェイとへと駆け寄ろうとするティアナの叫びに、フェイトはなんとか上半身を起こして少女を見た。
 そこにはフェイトに向けて砲撃を放つ為のチャージを行っている少女がいた。ティアナが誘導弾で阻止しようとしているが、粒子状の魔力結晶がそれを阻み、妨害を許さない。


(…すみれ…)


 恐らく最後になるだろうその瞬間においても、フェイトはただ目の前で取り込まれ、自らに牙を向けている少女の名を呼んだ。
 助けられなくてごめん。救えなくてごめん。申し訳なさが膨れあがり、瞳を閉じ、最後の瞬間を受け入れようとした時だった。
 いつまで経っても、来る筈の衝撃が来ない。思わず目を開いた。そこにあった光景は…光。


「…あっ…!」


 少女がいた場所が光り輝き、その光の中から、吐き出されるようにして何かが飛び出した。それは少女。大地を滑るようにしながら足をつけ、しっかりとその二の足で立ち上がったのは…すみれだった。


「すみれっ!」


 無事だった、とフェイトが思った矢先。すみれが飛び出した光が人型を作っていく。それは…アネモネの姿だ。だが先ほどまで見ていたアネモネとは根本的に異なる。まるで意志がない人形のようだ。それは、ぼんやりと空を見上げて。


『…管制人格消滅』
『エラー。エラー。エラー』
『…バックアップ起動』
『バックアップ破損』
『エラー。エラー。エラー』
『制御…不能』


 無機質な機械音が不吉な言葉を連続して放つ。そして音が止んだと思えば、今度はアネモネの身体を取り巻くように黒い靄が溢れていった。次第にアネモネを中心にして何かの形を象っていく。明らかに人とは違う、巨大な何かが形成されていく。その風貌を見てフェイトは思わず呟いた。


「…防衛…プログラム」


 それは闇の書の闇と呼ばれた物と良く似た獣。それが眼前に現れたのだ。ゆっくりと獣は口を開き、大きな咆哮の声を上げた。
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