次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
■■■スポンサーサイト
--/--/-- --スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第19話 Apart
2010/02/28 SunOnly One Flowers
 暗闇に満ちたその部屋の中。モニターの明かりだけが照らされる部屋で彼は笑っていた。まさに愉快。ただその感情に満たされていた。多くのイレギュラーもあった。だが、全ては「自身の願い」の為に上手く利用し尽くした。


「ククッ、クハッ! クァーハッハッハッハッ!! ハハハハハハハハハッ!!」


 モニターに映るデータを見つめながらジーク・インプレッサは思わず座っていた椅子を倒しながら立ち上がり、狂気に染まった表情で高笑いを上げる。まるで今にも踊り出すような勢いだ。


「最高、最高じゃないか!! ユニゾンデバイスと化した「アネモネ」!! そしてそれ打ち破った「すみれ」!! 互いに私の作品が混じり合い、今ここに最強が誕生する!! あぁ、夢ではない!! 今日は良い日、良い日じゃないかッ!!」


 ただジークは笑い続けた。その瞳から歓喜の涙を流し付ける程に。狂気に表情を染めながら、ただ、ジークは笑う。笑い続ける。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第19話「アネモネ -Apart-」





 フェイトとティアナの目の前ですみれとアネモネを包むかのように放たれた光。その光から1つの人影が浮かび上がる。白衣に、漆黒のラインを入れたBJ。長く伸びた栗色の髪。開いた瞳は…真紅。虚ろな瞳のままその少女は立っていた。


「…すみれ…?」


 フェイトが呆然として呟いた。呼びかけに対して、少女が取った行動は書を取り出す事だった。書が勢いよくページを捲っていく。同時に、魔力が高まり少女の足下に桃色の魔力陣が展開される。


「フェイトさんっ!?」
「くっ!?」


 ティアナの呼びかけにフェイトとティアナがそれぞれ左右に飛んだ。同時に、2人の間を桃色の閃光が突き抜けていく。それは砲撃魔法。地を抉りながら放たれた砲撃にフェイトは冷や汗が流れる。そして、改めて少女を見ればフェイトとティアナを見つめている。ただ、無機質な瞳。感情が籠もっていない人形じみた瞳。


「すみれっ!! 止めてッ!!」


 痛ましい表情でフェイトは叫ぶ。フェイトの呼びかけに少女が振り返るが、それは一瞬の事。すぐさま彼女の背後に魔力弾が生成されていく。ディバインランサーだ。フェイトはその魔法の発動の様子を見て、辛そうに顔を歪める。立ち止まっている暇は無いと、バルディッシュに命じ、自らもプラズマランサーを生成する。
 互いの生成が完了するのと同時に発射。互いにぶつかり合い、ディバインランサーが一方的にフェイトのプラズマランサーを砕いた。相殺する事も叶わず、一瞬フェイトの動きが止まるもすぐに回避行動に移る。その間にもディバインランサーの生成は止まらない。フェイトを狙い、マシンガンのように連続で放たれる。それにフェイトは回避行動を繰り返すしかない。


「すみれぇぇっ!!」


 止まれ、と願いながら、フェイトはただ、少女に向けて叫ぶ事しか出来なかった…。




 + + + + +





 ――…れ……みれ……すみれ…すみれっ!!


 必死に誰かが自分の名を呼ぶ声ですみれは、ゆっくりと意識を取り戻した。


「…気がついた?」


 ゆっくりと開いた瞳。その瞳が捕らえたのはこちらを心配そうに見つめてくるアネモネの姿だ。一瞬、何が起きたのかわからずぼんやりとしているとアネモネが申し訳なさそうな顔で呟く。


「…ごめん。パパに…制御取られたみたいで…すみれを取り込んじゃったみたいだ」
「…ッ!?」


 アネモネの言葉ですみれが身体を起こした。そうだ。あの時、光が満ちてアネモネが自分の中に入ってくるような感覚が起きて…。
 辺りを見渡すとそこは黒い空間だった。それ以外に何もない、ただそれだけの空間。アネモネはただ、すみれの前に座りながら頭を垂れさせていた。小さな音を立てて涙が落ちていく。


「…ごめん…ごめん…私の所為だ…でも…もう、制御が取り返せないんだ…」
「……」
「だから…もう、ユニゾンは解除出来ない…。私達は…どうする事も出来ない」
『…今、どうなってるの?』


 すみれが不安気に念話で問いかける。それに、アネモネが小さく首を振って。


「…外にいた2人が応戦してる…。でも全然歯が立ってない」


 息を呑んだ。すみれの心臓の動悸がどんどんと速くなっていくのを感じる。思わず、拳を強く地に叩き付ける。それから立ち上がって辺りをもう一度見渡す。まだ抗おうとしているのだろう。そんなすみれの姿を見て、アネモネは全てに絶望したような顔付きですみれに向けて叫んだ。


「無駄だよっ! もう制御が取り戻せない! 私達は…ずっとここに…」
『嫌だっ!!』


 アネモネの弱気な言葉をすみれが念話で塗りつぶす。すみれはアネモネの肩を掴んで、涙を浮かばせながらアネモネを真っ直ぐに見つめて。その必死の形相にアネモネは呆然とするしかない。呆然とするアネモネを見つめながら、すみれは歯を震わせて、強く唇を噛み締めた。


『…もうこれ以上、アネモネが戦わされる理由は無いじゃない…なのに、どうして…こんな酷い事を…』
「…すみれ…私なんか…もう」
『私なんか、なんて言わないでっ!! 私が笑えるのに、アネモネが笑えないだなんて間違ってる!!』


 すみれの叫びにアネモネは驚いたように顔を上げた。そこには、ただ真剣にアネモネを見つめるすみれの顔がある。すみれとアネモネ。元々は同じ存在だ。だが、歩んだ道が少し違うだけで、どうしてこうも違う道を歩み続けなければならないのか。
 アネモネは可哀想だ。なのにこれ以上の悲しみをアネモネを押しつけるなど、それは許されない筈だ。すみれと同じように、笑って生きていける筈だった。なのに、こんな事になってしまう。


『諦めたくない…もう、誰かが悲しいのは嫌だ…。フェイトとティアナが死んだら…なのはが…悲しむ…』


 なのは、と聞いてアネモネの顔が辛く歪む。今思えば自分は彼女に何をした。彼女だけではない。もっと多くの人を、生物をアネモネは傷付けていた。ただ妬んでいただけで。ただ怨んでいただけで。何も罪も無い彼等を自身の都合で傷付け続けていた。
 その先に待っていたのがこの結果だ。本当に救おうとしてくれた人の手を…ようやく握れたのにこんな結果しか待っていなかった。全て全て自分が悪いのだ。もっと早く自分の歪みに気づいていれば…こんな事にはならなかったのだ。


 ――自分さえ…いなければ。


 そんな思考が頭を掠めた時だ。アネモネの思考にある1つの仮説が浮かび上がる。その考えに…アネモネは小さく身を震わせた。もしかしたら、という思いは止まらない。だが、それによって、待つ結果は……。


「…すみれ」


 唐突にアネモネに名前を呼ばれて、すみれは戸惑ったように彼女の顔を見た。だが、アネモネは、すみれの胸に顔を埋めるように抱きついてその顔を見せてはくれない。一体どうしたのか、すみれにはわからなくて。


「…ありがとう。私を思ってくれて…ありがとう…私を助けてくれようと思ってくれて…ありがとう。…ありがとうが…言い切れないぐらい…すみれには、ありがとうが言いたい」
『…アネモネ…?』
「…すみれには…返せないぐらい…たくさん、たくさん…思って貰った…だから、ね? 今度は…私の番だ」


 アネモネがすみれにそう言って笑った。どういう事か、と問いかけようとした時、アネモネとすみれの足下にミッド式の魔法陣が展開される。それに驚き、アネモネと見て、すみれは更に驚いた。
 アネモネの腕が、足が、いや、身体全体が透け始めていたのだ。透け始めたアネモネを見て、すみれは目を見開いてアネモネを見た。
 アネモネはゆっくりと顔を起こして、すみれの手を透け始めた腕で小さな力を込めて握りしめた。まるでその感触を確かめるように。


「…ユニゾンを…強制解除する。そのために…ユニゾンシステムの中核の私を………消滅させる」


 アネモネに何を言われたのかすみれは理解が出来なかった。だが、徐々にアネモネの身体は薄くなっていく。
 アネモネの言葉と、アネモネの透けた身体を見て、すみれはようやく彼女が何をしようとしているのかを理解した。思わず、彼女は叫んでしまう。その声など出ない筈なのに――。


「止めてッ!!」


 ――だが、出た。出てしまった。それは始めての肉声だった。その己の声に、思わずすみれは呆然とする。何故、今、声が出たのか。
 わからぬまま自身の喉を撫でながらアネモネを見た。アネモネは本当に嬉しそうに笑みを浮かべて笑う。


『…私は…すみれと1つになって消える…。私の全てを…すみれに溶け合わせる』


 アネモネが念話ですみれに告げる。それの意味をすみれは理解する。既に、アネモネと自分の融合は始まっているのだ。自分がアネモネを取り込むという形で。
 アネモネの肉体は書に丸ごと取り込まれたのだ。ならばその肉体は未だ保存されている。その肉体を、すみれの肉体と解け合わせる。本来ならば出来ない。だが、二人は元より同じ存在。だからこそ可能だった。


「…アネモネッ!! 巫山戯ないでよっ!! 嫌だよこんなのっ!! アネモネを犠牲にしなきゃいけないって事でしょう!? そんなの、嫌だっ!!」
『だったら…後はすみれが死ぬしかないんだけど…それは私が嫌だから…』
「アネモ…ッ!?」


 すみれが反論の声を挙げようとしたその時だ。辺りの黒い空間に光が満ち、世界を塗り替えた――。
スポンサーサイト
トラックバック(0)+ +コメント(0)
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第19話 Bpart ≪ BACK ≪ HOME ≫ NEXT ≫ Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第18話 Bpart

管理者にだけ表示を許可する
HOME
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
ブログ内検索
リンク
カテゴリー
最近のコメント

 
 
 
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。