次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
■■■スポンサーサイト
--/--/-- --スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第18話 Apart
2010/02/28 SunOnly One Flowers
 感情とは人の行動の原動力である。この場合で言うならば…それは怒りだろう。
 怒りとは自らのコントロールするのも大儀な感情だ。だが、そこから得られる力は非常に強い物がある。そう、故に。怒りは時に全てを凌駕する…。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第18話「星屑 -Apart-」




 すみれは自我をしっかりと認識して以来、怒りという感情を覚えた事はない。苛立ちや悲しみは覚えた事はある。だが、それは決して怒りに繋がる程では無かった。
 だが現在の彼女は完璧に激怒している。陳腐な言葉ではあるが「キレた」と称するべきであろうか。その怒りの向けられた対象はアネモネだ。アネモネは怪訝そうな顔をしながらもすみれを見る。だが、暫し見れば見下したかのように冷徹な視線を向けて。


「…気に入らない…その目、その姿、その態度、何もかもが気に入らない!!」


 アネモネにとって忌々しい限りだ。すみれの存在というのは。故にに消し去ってしまおう。そうだ。そうしてしまおう。だが、彼女の持つスキルには興味がある。故に奪い取ろう。リンカーコアをむしり取って自らの力にしてやろう。
 宙に浮き、先ほどよりも速度を上げて向かってくるすみれにアネモネは真っ向から突撃した。彼女が選んだ魔法は、シュヴァルツェ・ヴィルクング。先ほどと同じように地へと叩き伏せてやろうとした時だった。
 すみれの周囲の光が集束を始めた。それはアネモネのシュヴァルツェ・ヴィルクングと同じように彼女の掌へと集まり光を纏う。それはシュヴァルツェ・ヴィルクングと相殺し、互いの魔力を削り合う。


「なっ!?」


 魔法とは本来発動の為のワンアクションが存在する。起動時間、チャージ、構成構などだ。だがこの魔法は異質過ぎる。ただ「集めて固めた」だけだ。
 すみれの周囲にある粒子状の魔力結晶。それはすみれの意のままに動く。すみれ自身の魔力や周囲に霧散した魔力をを吸い上げ、更にその濃度を上げ、維持しながら漂う結晶達はすみれの意志に従い、すみれを守る盾となる。
 これだけの結晶を構築出来るのは皮肉な事だが、すみれとアネモネの放出した魔力がある為だ。そして怒りによって集中力が異常なまでに増したすみれだからこそ出来る芸当。アネモネに知る由も無いが全ては彼女の行動が起こした皮肉なのである。


「…ッ!!」
「チィッ!!」


 すみれはシュヴァルツェ・ヴィルクングを弾き、やや距離を取ってから再加速。その勢いに任せてハルバードを躊躇も無く振り下ろした。アネモネはそれを急遽出現させたアクゼリュスハートで受け止める。が、すみれの力が強すぎるのか押されるように後ろへと下がる。
 すみれのその一撃には最早、殺意すらも篭もっているようだ。それにアネモネは困惑する。先ほどまで無かった「何か」が彼女には篭もっている。先ほどまですみれはさほど戦うという事に対して積極的な感情を持っていなかったのだ。ただ、止めたいという消極的な願いだけだ。
 だが今のすみれは、先ほどまでのすみれとは決定的に何かが違う。それにアネモネが困惑を覚えた時だ。すみれの操る粒子結晶の魔力はすみれの意志を汲み取り、アネモネの身体へと固まりとなって突撃する。固まりはアネモネの鳩尾へと叩き込まれ、アネモネは一瞬意識を飛ばす。


「くっ…!? こ、こいつっ…!?」


 アネモネがよろめいた瞬間、すみれは身体全体でタックル。それにアネモネが抵抗しようとするもすみれの勢いは収まらず、そのまま地へと叩き付けられる。その際にアクゼリュスハートを手放し見失ってしまった。
 地に叩き付けられた事により、肺の空気が一気に唾と共に大きな息が吐き出される。なんとか肺に空気を送り込もうとした時、マウントポジションを取ったすみれが容赦ない拳をアネモネの顔面へと叩き込んだ。


「がっ!? く…っ…!? こっ…!?」


 連打。連打。連打。連打。狂ったようにすみれはアネモネの顔面を殴りつける。途中、アネモネが腕のガードを入れたが、それでもすみれは殴り続ける。手を保護していたグローブが破け、血が噴き出す。だがそれでも殴り続ける。
 それにアネモネは恐怖を感じた。得体の知れない物を見るような目つきですみれを睨み、叫び声を上げながら無理矢理足を割り込ませ、すみれを蹴り飛ばし引き剥がす。
 すみれは蹴り飛ばされる際、傍に刺しておいたハルバードを引き抜きながら後方へと跳び、何度かよろめきながらも地にしっかりと立つ。互いに息は荒い。アネモネは、殴られた際に唇の端を切ったのか、口元から血が流れる。それを手の甲で拭う。
 一方、すみれは荒い呼吸をしたままハルバードを握り直した。ハルバードに光が集束し、結晶の刃が形成されていく。


「…何なの…お前は…何っ!? 失敗作の分際で、そんな技能を持って! 私を脅かして!! 何でぇっ!? 私が成功作なのにっ!!」


 堪えきれない、と言わんばかりにアネモネは叫んだ。こんな現実、認められない。認める訳にはいかないのだ。自分が成功作で、アイツが失敗作で。だから自分が優秀でなければならないのに。
 なのにすみれはアネモネと互角に戦い、更には、アネモネには無い技能にすら目覚めている。アネモネの言葉にすみれは一瞬、身体の動きを止める。


『…ざけ…るな…』


 最初は、まるで虫が鳴くような小さなノイズが走った念話だった。感情によって念話が安定していない為だ。


『巫山戯ないで…巫山戯ないでよっ!!!』


 次の念話は、まるで獣の咆哮のように放たれた。周囲に目標も無く流された彼女の意志だ。脳内に響くその声には明らかな「怒り」の感情が篭もっていた。
 大地を強く、踏み砕かんばかりに踏みしめながらすみれは念話で叫んだ。怒りの感情を叩き付けるかのような憤怒の表情で。


『自分をデバイスにしてまで…愛して欲しいの? 居場所が欲しいの? そんな事をしなくても手に入るのに、貴方は捨てて、それで…? 嬉しいの? 人間じゃなくなっても貴方は嬉しいって言えるの!?』
「…なっ…」
『ずるいよアネモネは…私が、私が欲しかった物を持ってるのに!! 声を持ってるのに!! どんなに叫んでも出ない声を貴方は持っているのに!! なのに、何で捨てたの!? どうして自分の身体を捨てて、奪われて、喜んでるの!? わからないよっ!!』


 泣いていた。怒り故に収まりきらない感情がすみれの涙を零させていた。すみれは叫びたかった。だが、どれだけ叫ぼうとしても声が響く事は無かった。そう、正直に言えばアネモネが羨ましかったのだ。
 完成していればアネモネには自分がなっていたのかもしれない。だが、そういった「あったかもしれない」未来じゃなくて…そこにある現実が羨ましかった。笑いたくても笑えない。伝えたくても伝えられない。羨ましかった。本当に、ただ羨ましかった。


「…それは、お前が私の存在価値を脅かすから!!」
『戦う力なんていらなかった!! 私は普通が良かった!! クローンでも良い!! でも、声が欲しかった!!』


 それはすみれが切望した物だ。戦う力など、幾らでも捨ててやろう。それで声が手に入るというのなら喜んで捨ててやろうじゃないか。
 どれだけ切望しても手に入れられない物をアネモネは捨てたのだ。ただ、兵器として完成する為に。それを許しておけるのか? 当然の如く、その答えは否、だ。


『戦う為にだなんてくだらない。くだらないよアネモネ…!』
「…お前ぇっ…! 私達が何のために生まれたか! それを忘れられるお前だからそれは言える事だ!! 私は強くならなきゃいけないんだ!! 強くなって…パパに認めて貰わなきゃいけないんだ!!」
『寂しいから? 怖いから? でもアネモネ、全部失った私がどうしてここに立っているか…君は本当にわかってる?』


 すみれの念話にアネモネはハッとする。すみれの後ろにはフェイトやティアナがいる。
 それはすみれが守りたいと言った者達だ。彼等だけではない。アネモネが傷付け、自分が傷付けてしまったかもしれない人達。彼等を守りたいと願ったから。
 自分に希望をくれた人達をすみれは守りたいと思ったからこそここにいる。



『…生きてさえいればどんな苦しい事だって乗り越えられるかもしれない』
「…ぅ…ぁ…」


 すみれが一歩前に進む。それにアネモネが後ずさりをする。


『生きていれば…全部失ってもいつか、それ以上の物が手に入るかもしれない』
「くる…な…」


 すみれが二歩前に進む。それにアネモネが後ずさりの速度を上げる。


『それを捨てた君を…私は…許さない』
「…う…っ…」
『生きる希望をくれた人達を傷付ける君を…許さないっ!!』
「うぁぁあああああああああああああああっっっ!!!!」


 すみれの言葉に耐えきれなくなったアネモネが宙へと上がる。それを、睨み付けるようにすみれはアネモネを見つめる。アネモネは息を荒くしながら術式を起動させる。濃桃色の魔力が溢れ出し、周囲の魔力を集束させていく。
 それは彼女の最強魔法。彼女のオリジナルから受け継いだ集束砲「スターライトブレイカー」。


「…消えろ…お前は消えろ!! 消えて、私の目の前から……消えてぇぇえええええええええっっ!!!!」


 星が集うかのように魔力が集っていく。それをすみれはただ見つめる。ハルバードを構える。ハルバードを包み込むかのように結晶が集束していく。それはアネモネが魔力をかき集める光景に良く似ている。
 そう。所詮2人のしている事など同じなのだ。周囲の魔力を集束させ、吸収し、自らの力とする。ただ、それだけの事。


「スターライトォッ!!」


 アネモネの眼前に広がる巨大な魔力の固まり。それは、太陽と称するべきだろうか。それだけ巨大な魔力の固まりが、今か、今かと発動の時を待ちながら周囲の魔力を吸収して肥大していく。まるで留まる事を知らぬかのように。
 そして限界まで膨れあがった魔力の固まりを、アネモネは泣き叫ぶ子供のような声を挙げながら解き放った。


「ブレイカァァアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!」


 濃桃色の魔力の星は主の命を受け、目標を消滅させんが為に直進していく。呑まれれば跡形もなく消え去れる。そんな確信をすみれは抱いた。
 だが不思議と恐怖は湧かない。ただあるのは…怒りと悲しみだ。どれだけ望んでも手に入らない物を捨てたアネモネへの怒り。そしてそれを理解していないアネモネへの哀れみ。


(…君の言う通り…私は欠陥品かもしれない)


 すみれは瞳を閉じ、心の中で呟く。


(…だけど。それでも大切な物を見つけたんだ。私は「私」でここにいられるんだ。例え失敗作と罵られ、捨てられて、全てを失っても…)


 だから、とすみれは瞳を開き、濃桃色の光を睨み付ける。


(私は……前に進んでいける)


 アネモネのスターライトブレイカーと同じく集束によって紡ぎ出されたこの魔法。大きさはさほどあるわけではない。せいぜい1メートル半ぐらいだろうか。白桃色の結晶剣。それを上段に構える。それを取り巻くように結晶が舞う。すみれはこの魔法をこう称する事にした。
 声は出ない。だが、それでも、叫ぼう。確かな意志を以て。これが、私の意志なのだと。
そしてその名をハルバードは読み取り、受け取り、宣言する。


『Stardust Breaker』



 ただ前を見据え、地を踏みしめる。迫り来る太陽に向けてすみれは星屑の剣を振り下ろした。
スポンサーサイト
トラックバック(0)+ +コメント(0)
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第18話 Bpart ≪ BACK ≪ HOME ≫ NEXT ≫ Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第17話 Bpart

管理者にだけ表示を許可する
HOME
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
ブログ内検索
リンク
カテゴリー
最近のコメント

 
 
 
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。