次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第17話 Apart
2010/02/28 SunOnly One Flowers
 どうして、戦わなければいけないんだろう。
 どうして、悲しまなければいけないんだろう。
 どうして、憎み合わなければいけないんだろう。
 どうして、どうして、どうして。
 続くどうしてが終わらない。答えはわからない。
 わかってもどうしたいのかわからない。どうしてが止まらない。


 だけど。


 だけど、願うんだ。
 だけど、叶えたいんだ。
 

 だから。


 だから、行くんだ。
 だから、止めるんだ。
 だから、叫ぶんだ。


 アネモネ。君を…止めなきゃ私はきっと後悔するから。
 だから今、向かい合うよ。君と。その先に何が待っていても。
 ただ……ただ願うなら――。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第17話「闇の再誕 -Apart-」





 ぶつかり合いの戦闘はその姿を変えていた。アネモネが距離を取ろうとし、それを追うのがすみれだ。宙を自在に駆けめぐりながら彼女等は互いの魔力で産み出した魔力弾で牽制しあう。片や、距離を取るために。片や、ただ前へ進むために。
 アネモネはスマッシュシューターやブラッディダガーなど、多種多様の魔力弾を放つが、その全てはすみれのディバインランサーによって迎撃されてしまう。膠着状態と言えるこの戦闘にアネモネは苛立ちを感じていた。自らの欠陥品がここまで戦えるだなんて予想だにしていなかったのだ。
 それによって彼女の自信が崩されていく。高町なのはを越え、完璧という存在になり、最早恐れる者など無い。自分を脅かす者などいない。そう思っていたのに。目の前のコイツは何だ。コイツは一体何なんだ。感情がごちゃ混ぜになりなり凶悪な舌打ちが零れる。
 この膠着を崩さなければならない。故に、アネモネは選択する。


「アクゼリュス…A.C.S!!」


 アクゼリュスから濃桃色の翼が開きその穂先に魔力が集中されていく。それを見たすみれは眉を寄せ、ハルバードを握り直した。知っている。これは自分も知っている、と。
 カードリッジが連続でロードされ、更にリロード。膨れあがった魔力のほとんどを推進力に変えアネモネは必殺の意を込めてすみれを睨む。


「これで…死ねぇぇっ!!!」


 憎悪の咆哮。周囲の空気を震わせる程の音量で叫ばれた怨嗟の叫びはすみれの表情を濁らせた。その表情の意味を理解するものは今ここにはいない。
 濃桃色の槍を展開させ、翼を広げたアクゼリュスは使い手の命を完遂する為に急加速。それに操りながらアネモネはすみれへと向かっていく。
 それに対してすみれはハルバードを逆手に持ち替え、向かってくるアネモネへと翳す。そのすみれの仕草に怪訝そうな顔を浮かべるも、アクゼリュスが展開した槍をすみれの心臓を目掛けて突き刺そうと向ける。


「…なっ…?」


 アネモネの眼が見開かれる。その槍は食い止められた。その槍を食い止めたのはただのシールドだ。高町なのはと戦った時と同じ状態になった訳だ。だが…破れない。届かない。自身の槍は彼女の展開したシールドを貫けない。
 貫こうと力を込めるも一向に動く気配が無い。揺らぐ気配も無い。焦りがアネモネの心を満たしていく。


「そんな…嘘だ…っ!嘘だぁっ!!」


 それは、目の前の現実を信じたく無いが故の叫び。自らの高町なのはを撃ち落とした一撃が通らない。それを信じたくない一心で彼女は必死に魔力を込めた。
 その結果、槍の先がシールドへと突き刺さった。もう少し、とアネモネが思考した時だった。シールドが「結晶化」し、アクゼリュスの穂先の動きを完全に抑制してしまった。


「…ぁ…?」


 何が起きたのか理解が出来ない。ただ呆然と動かなくなった穂先を見つめる事しか出来ない。結晶化したシールドの裏ですみれはハルバードを片手で持ち、空いた片手をで結晶化したシールドを押し退けた。
 押し退けると同時にアネモネのアクゼリュスも除けられ、無防備のアネモネが曝される。それにアネモネが気づくも既に遅い。
 すみれのハルバードがアネモネの首元へと突きつけられる。その刃の冷たさにアネモネが呆然とし、すみれが更にバインドを行使。アネモネを縛り付けてその動きを拘束する。


『…君の…負けだよ。アネモネ』
「……負け…た?」


 信じられないようにアネモネは首元に突きつけられたハルバードを見た。身体もバインドによって縛られている。ストン、とその事実が心に収まった。自分は…負けたのだ、と。
 それにアネモネの瞳から涙が一筋、落ちて行った。その涙を見て、すみれは思わず眉を寄せながら、そっと瞳を閉じるのであった。




 + + + + +




 地上でその戦いを見上げていたフェイトとティアナは安堵と歓喜によって表情が笑みに変わった。思わずフェイトはティアナに身体を預けた程だ。ティアナは一瞬驚くも、そんなフェイトを支えてフェイトに声をかける。


「…勝っちゃいましたね」
「…凄い…」
「これで…後はジーク・インプレッサの確保だけですね、フェイトさん」


 本当に良かった、と思いながらティアナがフェイトの肩を叩く。それにフェイトもまた、嬉しそうに頷いてゆっくりと瞳を閉じた。
 8年前からずっと追い続けてきた事件。それがようやく解決の光明を見たのだ。安堵するな、と言う方がおかしい。
 もう一度、アネモネとの戦いを終わらせたすみれを見つめようとして気づいた。


「…あれ、は…?」
「…え?」
「すみれっ! 駄目だっ!! まだ終わってないッ!!」


 フェイトは思わずティアナから離れ、叫んだ。そのフェイトの叫びに宙に浮いていたすみれは振り返った。
 ティアナも気づいた。すみれのやや離れた後ろの所で、アネモネの所持していた魔導書型のデバイスがページを開いていたのを。
 そして一瞬の間を置き、魔法陣が展開される。すみれが驚きに眼を見開く。それと同時に魔法が解き放たれた。すみれに向けて放たれた一発の光弾。
 その光弾をすみれは避けようとしたが、距離が近すぎる上に…何よりアネモネがいる。その一瞬の迷いによってすみれは回避行動を取る事が出来なかった。
 そして着弾。同時に雷が迸りすみれの意識を弾けさせた。プラズマランサーだ。着弾と同時に魔法に含まれた雷の力が解放されたのだ。雷撃によって一瞬の意識の損失。それはすみれの力を奪い、すみれは宙から墜落する。
 それと同時にアネモネを縛り上げていたバインドが解除され、アネモネが呆然と書型のデバイスを見つめる。


『アネモネ…』
「ぱ…パパッ!!」


 アネモネは書から聞こえた声に思わず涙声でその声の主の名を呼んだ。だが喜色に歪んだ顔はすぐに不安げに揺れ、怯えた表情へと変わる。
 呆れられていないだろうか。失望されていないだろうか。捨てられないだろうか。不安が胸を締め付けていく。次の言葉が怖い。一体どんな言葉を投げかけられるのかわからない。
 そして…書から響く声の主、ジークからの次の言葉は…。


『大丈夫だよ。アネモネ…少し早いが君を完成させよう』
「…え?」
『さぁ…取り込みたまえ。そして、この書は完成されるのだっ!!』


 アネモネにはジークが何を言っているのかわからなかった。それを理解しようとアネモネが思考を巡らしている間に、書がページを捲りながらバインドのようにアネモネを捕らえた。
 アネモネは再び捕らわれた事によって狼狽した。更にその相手が絶対的な信頼を老いていた父なのだ。未知の恐怖に歪んだ顔でアネモネは書の向こうにいるだろう父に問いかけた。


「パ…パパ…な、なに…する、つもり…?」
『…大丈夫。怖がる事は無い。すぐにわかる。だから…私に任せなさい』


 ジークが優しげに声をかける。バインドのような物はアネモネを包み込んでいくかのように更に膜を張っていく。アネモネは恐怖に怯えながらも、ゆっくりと息を吐いて身を委ねるように瞳を閉じた。
 一方、地上に落とされたすみれは、BJの防御力と、ハルバードがオートで展開したフローターフィールドによって難を逃れていた。雷撃によってやや痺れた身体。だがすぐに回復しそうだと判断すれば、顔を上げてアネモネを見た。
 アネモネは何かの膜へと包まれていき、そしてすっぽりと覆い隠されてしまった。その膜はアネモネを包み終われば小さく縮んでいく。
 その光景をすみれはただ、見つめる事しか出来なかった。アネモネは一体どうなったのかなどもはやわからなかった。アネモネを包んで縮んだ膜はまるで珠のようになり、書の中へと吸い込まれて行った。


『…管制人格インストールを確認』


 書より聞こえる機械音声が静かに響き渡る…。


『全機能を解放。システム良好。完全起動します』


 そして書が再びページを開くのと同時に、ミッド式の召喚魔法陣が展開された。そこから浮かび上がるように出てきたのは…一人の少女だ。
 風に揺らめく栗色の短髪。頭の左右からまるで羽根飾りのように広がる小さな黒翼。その身に纏うのは漆黒の衣装。身体には赤いラインのような物が浮き出て行く。
 ラインが浮かび終われば少女はゆっくりと目を開く。開いたその瞳は真紅。完全に見開きった時、背に広がるのは漆黒の翼だ。
 それは姿が多少変われど……アネモネであった。


「あ、は」


 アネモネは、小さく息を零して。


「アハハハハ!! アハハハハハハハハハッッッ!!!!」


 笑った。これを笑わずにして何を笑うのか、という程までに狂ったように笑った。そのアネモネの姿をすみれとティアナは呆然と見上げるしか出来ない。ただ一人だけ、フェイトはアネモネの姿を見て…思わず呟いた。


「…リインフォース…?」


 それはかつて、フェイトが対峙した巨大な敵の名。かくしてここに大いなる悲劇を巻き起こした「闇」の再来が告げられた。
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