次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第15話 Bpart
2010/02/25 ThuOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第15話「焦燥 -Bpart-」




 ブリッジでの状況確認が終わり、宛がわれた部屋で休憩する事になったすみれはちりちりと胸が焦げつくような痛みに襲われていた。
 実際に焦げている訳ではない。だがそれでも、ちりちりと胸が悲鳴を上げている。正確に言えば心臓などではなく、心の方が、だ。


(…アネ…モネ…?)


 ちりちり、ちりちりと、胸の痛みは収まらない。それが、まるで自分を呼んでいるのかのように聞こえてさえしまう。
 それは誤解だと思う。だが、それでもこの胸の痛みが自分の物なのか、それともアネモネの物なのか、判別が出来なくなってきている。


(…繋がりが濃くなってる…?)


 まさか、とは思う。だがアネモネと繋がるのは、彼女が最高潮とも言えるだけの感情を覚えた時だけだ。だが、それでも「繋がっている」ならば微弱な感情の動きでも影響を与えてくるのかもしれない。
 だとするならば…アネモネは今、何を思っている? 目を閉じてすみれは意識を集中させる。


(…焦ってる?)


 それは自分の物なのか。アネモネの物なのか。それとも両者なのか。
 わからぬまま、ただすみれは胸の痛みに小さく溜息を吐くしかなかった。




 + + + +




 その頃、すみれが後にしたクラウディアのブリッジには、他のメンバーが全員残っていた。すみれが退出した後、他の面々をクロノが呼び止めたのだ。


「クロノ、どうかしたの?」


 怪訝そうな顔でフェイトが問いかける。それにクロノは腕を組んだまま、瞳を閉じている。何かを考え込んでいるようだ。だが何を考え込んでいるのかがわからない。
 暫しの沈黙の間を置く。そうしてからクロノがゆっくりと口を開いた。


「…彼女は、すみれは本当に危険ではないのか?」
「…どういう意味?」


 クロノの問いかけにフェイトは気分を害したように眉を寄せながらクロノに問いかける。クロノの疑いは最もな疑いだ。元々、彼女はあちら側の人間だ。ただ捨てられ、現状こちらに居るだけだ。
 もしそれが罠だとしたら? そんな懸念も考えられる。だが、それでもフェイトは彼女がそんな物だとは考えないし、考えたくもない。信じているし、信じたいと思っている。


「どういう意味でしょうか? ハラウオン提督?」


 それはティアナも同じだったのか、クロノに眉を寄せた表情で問いかける。クロノはそれに渋い顔をしながら、腕を解き、フェイト達と真っ直ぐ向き合うようにして。


「無論、彼女の態度から…彼女がスパイだというのは、考えにくい上に、考えたくもない。それも懸念だが、それは無いとして話を進める」
「…? じゃあ…ハラウオン提督は何を心配しているんですか?」


 クロノの言葉からすみれがスパイかもしれない、と言う容疑はそこまで重要性を持っていないようだ。では何故、今こうしてすみれの危険性を問われなければならないのか?
 見当も付かないのかシャーリーは少し困惑した様子で、クロノに問いかけて。その問いに答えたのはクロノではなく、クロノの隣に立つヴェロッサであった。ヴェロッサの表情は普段の飄々とした態度とは異なり、真剣な表情で。


「確認するよ? 彼女は、容疑者と思われるアネモネって子とリンクのような物を繋いでいるんだね?」
「…はい」


 ヴェロッサの質問に答えたのはフェイト。フェイトの確認を得たヴェロッサは小さく頷いてから顔をあげて続けて質問する。


「そのリンクで、すみれは彼女の心と感応する事が出来る。これも間違い無いね?」
「…それが、何か?」
「…僕が懸念しているのはそのリンクがすみれに悪影響を及ぼさないか、という事だ」


 ヴェロッサの問いかけの意味がわからなかったのかティアナが問いかける。その問いかけにクロノが目を細めながら呟くように言った。
 クロノの呟きにフェイトとティアナ、シャーリーは首を傾げ、ヴェロッサはクロノと同じ意見のようで頷いて。


「…要は、彼女が容疑者に乗っ取られたり、容疑者によって心を破壊されたりしないか? って事だよ」
「…っ!? そ、それは…」
「出来るかもしれない、という段階の話だ。だが…可能性としては、ゼロではない。そんな彼女を容疑者の矢面に立たせて良いのか? 正直、疎まれているのだろう? 彼女は」


 クロノの言う事は、確かに可能性はゼロではないのだ。すみれはアネモネに感応されて今までの行動を決めていた、と言われてもおかしくないのだ。そんな彼女がアネモネの強すぎる感情に当てられ、心を壊したら…?
 可能性がない無い訳では無い。最悪、それによって操られる可能性だって捨てきれない。そもそも、すみれを失敗作と蔑むアネモネが黙っているとは思えない。


「…正直、戦力になるのか? いくら高いレベルの魔導師と言えど懸念がある戦力を使うには…少々な」


 クロノの言い淀むように告げられた言葉に、誰もが沈黙した。懸念がある。すみれとアネモネ。この2人は…引き合わせてはいけないのだろうか・
 そんな疑問が彼等の中で過ぎる中…ただ1人、フェイトが顔を上げた。


「…私は、すみれを信じるよ」
「フェイト」
「あの子は、アネモネと違う。アネモネとは違うし、きっと…自分を貫ける。壊れもしない。きっと自分の運命と向き合える」


 どんなに逃げても、すみれはいずれこの問題と直面しなければいけないのだ。
 必ずしも人には逃れられない宿命があり、すみれにとってアネモネとの相対はきっとその宿命なのであろう。失敗作と成功作である2人。すみれがアネモネを止めたいと願ったその日から運命は決まっていたのかも知れない。
 すみれは逃げる事を選ばないだろう。彼女はアネモネも、そしてアネモネによって傷付けられる人も救いたいと願ったのだから。
 アネモネを救わなければ彼女はいつまでも苦しみ続ける。だからこそ彼女はアネモネへと向かっていく決意をして、今、この場にいるのだろう。


「懸念もあるけど…それはあっちも同じだよ。クロノ」
「…すみれによって、容疑者の無力化か?」
「うん」
「…そうか。まぁ、それなら良い。出来れば不足の事態は避けたいのだが…そうも言ってはられない状況でもあるしな」


 クロノは艦長の為、艦を離れる事は出来ない。フェイトとティアナだけでは…正直辛い。
 ヴェロッサは戦闘を出来るタイプの魔導師ではないので、すみれを抜く場合、フェイトとティアナで戦うのは正直それも不安だ。
 結局の所、すみれは戦力として数える、とクロノが言おうとした時だ。クラウディアのアラートが突然鳴り響いた。それに誰もが顔を上げる。


「どうした!?」
「艦長! サーチャーに反応かかりました!! 容疑者を発見!!」
「どこだ!?」
「座標を表示します! …モニターに映像、出ます!!」


 オペレーターがコンソールを叩き、ブリッジの正面モニターに映像が展開される。
 それと同時にブリッジの入り口が開き、すみれが飛び込んでくる。皆が驚いてすみれを見る中、すみれは胸元を押さえ息を荒くさせなながらモニターへと視線を移す。
 モニターに映った映像は荒野であった。岩山や、荒れた大地、枯れた樹木など、まさに乾いた世界と言うべき映像が広がっている。
 その荒れた世界を映し出したモニターの中心。そこに、アネモネが立っていた。アネモネの足下には竜にも似た生物が倒れていて、その竜の胸元からは光の球体が浮かんでいた。
 その光はアネモネが持つ書によって吸収されていき、その光を失っていく。


「クロノッ!!」


 その光景を見ていたフェイトが叫ぶ。この光景を止めなければならない、と言う思いを以て。それに追従するようにティアナとすみれもクロノを見つめて。
 その三人の視線を受けてクロノは腕を解き、軽く横に腕を振ってから。


「これより、容疑者の確保に入る!! フェイト・T・ハラウオン執務官とその補佐官と民間協力者はすぐに出撃!!」
「「了解っ!!」」


 クロノの指示に、フェイトとティアナが頷き、艦に設置された転送ポートへと走りだそうとする。それにすみれに一緒に走ろうとした所で。


「すみれちゃん! ハルバードッ!!」


 シャーリーが呼びかけるのと同時にすみれに向けて投げられた赤い宝玉のつけられたタグ。シャーリーが調整で預かっていた彼女のデバイスだ。それを片手で掴み握りしめる。
 受け取ったすみれはシャーリーを見て、笑みを浮かべてから大きく頷いた。それから小さく頭を下げ、礼をするようにしてからフェイト達の後を追って走り始めた。
 先を走るフェイトとティアナを見据えてそのまま速度を上げて2人に追い付く。ティアナがそのすみれの速度に驚いたように視線を向けるが、すぐに気を持ち直して前を見据える。


「すみれ、行ける?」
「……」


 フェイトの問いかけにすみれは小さく頷いて、待機状態のハルバードを強く握りしめた。
 その様子にフェイトは先ほど、クロノと交わした会話を思い出す。彼女に秘められた危険性…。
 もし、それが懸念が現実になった場合、彼女を失う可能性がある。それは避けたい所だが、状況がそうも言わせてくれない。
 様々な思いが過ぎる中、フェイトはすみれの顔を見つめる。彼女は最早、前しか向いていない。その様子に小さく息を吐いてから。


「…信じてるよ」
「…?」


 フェイトは小さく呟くと更に走る速度を上げた。すみれは、フェイトの呟きの意味を捉えかねたのか、やや首を傾げたが、そうしている場合ではない、とフェイトに合わせて加速した。
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