次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第12話 Bpart
2010/02/25 ThuOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第12話「決意 -Bpart-」




 ティアナは震えながら自分の胸に額を押しつけるようにして泣くすみれに小さく溜息を吐きながらその頭を撫でていた。
 まったくどうしたというのか、というのが心境だろう。
 不安を覚えているのはわかる。だがいまいち、それがどう行き着くのかティアナにはわからない。言葉を多く交わしたわけでもない。
 すみれが自己主張をしたというのは自分自身のルーツを求めた時ぐらいだ。だから今回、彼女がどうして動いたのかは少し理解に苦しむ。
 どうした物か、と思っている時だ。後ろの方から強い視線を感じた。それにやや気怠い溜息を吐きながらティアナは後ろに視線を向ける。
 そこには説明しろ、と言わんばかりに視線を送ってくるヴォルケンリッター達の姿がある。


「あー…えーと」
「…ティアナ。ソイツ何だ?」


 思わず言い淀むティアナにヴィータが目を細めながら問いかけてくる。そのヴィータの声には明らかな疑惑の色がある。視線も鋭く、思わずティアナは怯む。
 ティアナが疲れたように溜息を吐いてから、すみれの頭を撫でながらヴィータへと視線を向けてヴィータの質問に答えるべく言葉を紡いだ。


「…アネモネ、あの子と同じですよ。ただこの子は廃棄された所を保護しただけです」
「…そうか」


 ティアナの説明にヴィータは少し目を見開かせてから瞳を閉じて返答を返した。明らかに気まずそうな顔でヴィータが頬を掻いて。
 それからヴィータがゆっくりと目を開き、ティアナの方へと歩み寄っていく。そしてティアナの胸に額を押しつけていたすみれを見てから、その頭をそっと撫でた。


「…睨んで、悪かったな」


 そして気まずげに謝罪の言葉を向ける。その謝罪の言葉にすみれはゆっくりと顔を上げてヴィータへと視線を向けた。涙の後が残る顔で見られヴィータはやや視線を逸らす。
 しばらくすみれはヴィータの顔を見つめて、それから横に首を振った。その仕草にヴィータは視線をすみれへと戻す。気にするな、と言われているのだろうかと。それにヴィータは小さく鼻を鳴らして顔を横に逸らして。


「…ところですみれ、アンタ病室抜け出しちゃ駄目って言われたでしょ?」


 ティアナが目を細めてすみれに言うとすみれは身を竦めさせて、それからしばらく視線を彷徨わせてからペコペコと頭を下げ出す。それに呆れたようにティアナは溜息を吐き出して軽くすみれの頭を叩いておいた。
 すみれは申し訳なさそうな顔で俯いている。その一連の動きでシャマルが何か気づいたように眉を寄せて、唇にそっと手を当てながらティアナに声をかけた。


「あの…ティアナ? もしかして…その子」
「…どうかしたですか? シャマル?」


 シャマルの様子に不思議そうにリインがシャマルの方に顔を向けて。
 シャマルが何か問おうとしているのだが、言いにくいのか、シャマルが言い淀む中、ザフィーラがシャマルと代わるように問いかける。


「声が出ないのか?」
「え…?」


 疑問の声を挙げたのは誰なのか。やや、沈黙の間を置いてから視線がティアナとすみれに向けられた。ティアナはやや罰悪そうな顔を浮かべてすみれは俯いていた。
 返答は無い。だがその態度が示しているような物であった。そして辺りに重い空気が漂ってくる。
 そこで、ふとすみれは顔を上げて、ティアナの服の裾を引っ張った。突然引っ張られた事に驚きつつもティアナはすみれの方へと顔を向けて。


「何?」


 ティアナが問いかけるとすみれはヴィータ達を気にするように見てから、ゆっくりと唇を動かした。
 まずはあの音。それから、またあの音。次にえの音となり、またあの音。最後にん、で終わらせる。
 あ、あ、え、あ、ん。ティアナは一度唇を動かし直してから…彼女の伝えたい事を探る。
 すみれはその間、しきりにヴォルケンリッター達の方へと視線を向けている。それでティアナはすみれの言いたい事がわかったのかすぐに安心させるように頭を撫でて。


「大丈夫よ。はやてさんは無事だから」


 そのティアナの返答を聞き、すみれはホッ、と安堵したかのように息を吐き出す。
 その2人の様子にヴォルケンリッター達が怪訝そうな顔を浮かべる。何故、今ここで初めて会った筈の者がはやての事を知っているのか、と。
 一番最初に疑問を口にしたのはシグナムであった。シグナムはすみれを見ながらティアナに問いかける。


「ランスター。何故この子は主の事を?」
「この子はアネモネと時折「繋がる」らしいんです。私もよくわからないんですけど…その時に恐らく見たんでしょう。はやてさんが倒される所を。だから心配して飛び出してきた。違う?」


 ティアナの答えにすみれは正解、と言うように頷く。それから恐る恐ると言った表情でヴォルケンリッター達の顔を覗き込んでいる。まるで怒られるのを怖がっている子供のように
 そんなすみれの表情を見てからヴィータは軽く小突くようにすみれの頭を叩いてから安心させるような優しい笑みを浮かべて。


「…ありがとな。はやての事心配してくれて」
「っ…!?」
「お前が気にする事じゃないからそんな顔すんな。はやてを傷つけたのはお前じゃないんだから」


 ヴィータのその言葉にすみれは驚いたような顔をしてから俯いた。小さくその身を震わせた。堪えるように握り拳を作って大きく息を吸った。
 それからゆっくりと顔を上げた。そこにあった顔は…何かを決めたような顔つきでティアナはその顔を見てやや驚いた顔を浮かべた。
 すみれがこんな顔をする時は、アネモネの下へと行くと決めた時に見せた顔だ。つまり彼女は何かを決意したのだろう。だが…今、彼女は何を決めたのか。
 すみれは、ヴォルケンリッターの面々を見回した後、深く深く頭を下げる。それはまるで礼を言うかのように…。
 ヴォルケンリッター達に頭を下げ終わった後、再び顔を上げたすみれはティアナを見た。


「…何?」


 見つめられ、自分に何か用がある事を察したティアナはすみれに問いかける。すみれはティアナの問いかけにゆっくりと唇を動かした。
 彼女は紡ぐ。「話したい」と。揺るがぬ決意をその胸に秘めたような顔でティアナに訴えかけるように。それにティアナは疑問を覚えながら頷くのであった。




 + + + + +



 風が空へと舞い上がっていく。すみれと話す時には恒例となっている広場にティアナとすみれはいる。すみれは先に広場に踏み入り、長いその髪を風に靡かせながら空を見つめている。
 そのすみれに背を追うようにを広場へと踏み入ったティアナ。風に髪を靡かせる彼女の姿を見つめる。どこかやはり雰囲気が違う事を察しながらティアナはすみれの言葉を待つ。


『ティアナ』
「…何よ」
『私は…どうして生まれたのか、って、ずっと考えてた。私は…どうすれば良いのかって、ずっと』


 念話によって伝えられる彼女の意志をティアナは黙って聞いていた。
 そのティアナの沈黙にすみれは瞳を閉じて胸元に手を当てて。風によって靡いていた彼女の髪がゆっくりと風の力を失って落ちていく。


『私は…「アネモネ」だったかもしれなかった。…皆を傷付けていたのは…私かもしれなかった』
「…アンタは、アネモネじゃないわよ。アンタはすみれよ」
『わかってる。大丈夫』


 すみれの伝えた意志に、ティアナは思わず否定の声を挙げる。彼女はそんな事はしない。彼女とは違う存在なのだ。だから、自分を卑下して欲しく無い、必要の無い存在だと思って欲しくなかったが故の言葉だった。
 だがそれにすみれはわかっている、と言わんばかりに柔らかく笑みを浮かべて。そして瞳を開いて振り返る。ティアナの視線と合わせるようにすみれはティアナを見つめて。


『だから…私はアネモネを止めたい』
「…アンタ」
『アネモネはきっと悲しいってわからないんだ。きっと怖いってわからないんだ。だから信じるものしか手に取れない。だけど…きっとそれだけじゃアネモネは駄目だと思う。だからアネモネは…誰かを傷付ける。だから止めたいと思うんだ』


 すみれはそう思うのだ。私が捨てられて、フェイトに救われたように。ティアナに救われたように。なのはに救われたように。
 すみれは心のからそう思う。きっと些細な事でも何かが違っていれば違えば自分だってアネモネのようになっていた可能性があるのだ。だからアネモネを止めたいと思う。あれはもう一人の自分だ。道を違えたもう一人の自分自身だ。
 だからこそ…止めたいと願う。きっと彼女は、傷付けて、たくさん傷付けて、本当に何もかも振り払ってしまう前に。


『これは勝手な考えだけど…アネモネは、私に助けてって言ってるのかもしれない。だから私と彼女は繋がる。だけどアネモネは私と繋がれないのは…私は、アネモネに何も求めてないからかもしれない』
「…すみれ」
『だから…ティアナ。私も一緒に戦いたい。一緒に…戦わせて。アネモネを止める為に』


 ティアナを真っ直ぐに見つめながらすみれは願う。もう誰も傷付けさせない為に。もう誰かが泣くのは嫌だから。フェイトも、ティアナも、なのはも…アネモネも。
 私は失敗作。だからアネモネは消えろと言った。だけど…まだ私は消えれない。消えられない訳がある。だから――。


『何もしないのは…もう、嫌なんだ』


 もう立ち止まれない。だからこそ行くのだ、と。
 風が再び吹き荒ぶ。すみれとティアナの間に沈黙の時間が過ぎり…。


「私の一存じゃ決められないわ…フェイトさんにもちゃんと、話をしてからよ」
『…うんっ!!』


 そのティアナの言葉にすみれは満面の笑みを浮かべて、了解の意をティアナに伝えるのであった。




 風は新たなステージへと吹いていく。
 役者は揃う。動き出すのは彼女等の「運命」。その先の果てに待つ物を知らずに、彼女等は歩み出す。
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