次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第12話 Apart
2010/02/25 ThuOnly One Flowers
「ティアナッ! ヴィヴィオをお願いッ!!」


 無念の咆哮を上げるヴィータに代わり、空に上がるのは、フェイトだ。
 フェイトはヴィヴィオを地上へと残し、ティアナに一言告げてから、バルディッシュを握りしめ、地を蹴り、空へと舞い上がる。向かう先は一直線。無論、アネモネへと。
 そして、アネモネへと接近し、バルディッシュを横薙ぎに払おうとした際に、そのバルディッシュと斬り合うようにアクゼリュスを振るアネモネが、口の端を吊り上げた笑みを浮かべて。
 そして、バルディッシュとアクゼリュスが噛み合い、押し合いが始まる中、アネモネが口を開いた。


「良いの? …私が…「タダ」であの子を帰すと思ってる?」
「な、に!?」
「どうする? 爆弾なんかつけられたらさぁ? ドンッ、て一気にバラバラ?」


 フェイトは、アネモネの言葉に息を呑んだ。
 はったりか、それとも真実か。フェイトは一瞬の逡巡する。だが、それは斬り合いの際において、明らかに致命的な隙となる。
 一瞬、思考に気を取られたフェイトのバルディッシュをいなし、アネモネが距離を取る。しまった、とフェイトが思う時には、既に遅い。


「ハハハッ!! 嘘かな? ホントかな? それじゃ、私は帰らせて貰うよ」
「っ! 待てッ!!」
「爆破されたいの?」


 フェイトは、その一言に縛られ、動く事が出来なかった。
 目の前で憎たらしいまでに厭らしい笑みを浮かべるアネモネ。その笑顔のまま告げる言葉は明らかにこちらを見下し、愉悦に浸っている物だ。
 その間にも転送魔法が行使される。フェイトはそれを見ている事しか出来ない。万が一、本当にヴィヴィオに爆弾を仕掛けれていたら…。
 唇を噛み締める。噛み締めた際に傷付けた唇から血が零れた。口の端を伝って落ちる鮮血を拭う事無く、憤怒の表情でアネモネを睨み付ける。
 そして展開が終わる転送魔法。その光に包まれながらアネモネは見下したようにフェイトを見て。


「あぁ、ちなみに…ぜーんぶ嘘だったり?」
「ッ!? お前…ッ!!!」
「怖い怖いッ!! それじゃあねっ!! お馬鹿さんッ!!!」


 その一言を最後に高笑いを上げながらアネモネの姿が消えていく。
 消えていく彼女の姿にフェイトは拳を握りしめ屈辱に震えるのであった…。
 何も残らない虚しい終わりだけが…ただそこにあった。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第12話「決意 -Apart-」




 アネモネを取り逃がし、失意の中、フェイト達はすぐさまはやてを病院へと搬送する為にミッドチルダへの帰還を急いでいた。はやてが預けられたのはなのはも入院しているあの病院だ。
 はやてはすぐさま治療を施された。命事態に別状は無い。リンカーコアも後遺症は残らないそうだ。途中で中断された事が幸運だったらしい。
 だがそれでも回復には時間がかかると言われ、ヴォルケンリッター達は必然的に魔力がほぼ使用不可能な状態になった。
それにヴォルケンリッター達は口を揃えて「はやてが無事ならそれで良い」と苦々しく零した。


 ティアナは病院の廊下を歩きながら重い溜息を吐き出した。
 何も出来なかった、と無力感が襲い、自身の心を重くさせていく。
 ヴィヴィオはフェイトが検査の為に連れて行かれた。特に問題が無ければすぐにでもなのはに会わせるのだろう。
 これでなのはも少し安心してくれれば良い。そう思い、悪い事ばかりではなく少しは心が軽くなった。
 何か飲み物を買おうか、と思った時だ。ふと、上げた視線の先。そこに…一人の少女が目に入った。こちらに向かって走り、ティアナの姿を見つけて足を止める。
 肩で息をしながらこちらを見上げてくるその少女は…すみれだった。


「…アンタ、何で…」


 どうしてここにいるのか? そんな疑問をティアナが思った瞬間だった。
 すみれは小さく頭を下げるとティアナの横をすり抜けようと走り出す。それにティアナは驚きの表情を浮かべてすみれに手を伸ばす。


「こらっ!?」


 ティアナの怒声が響く。だがそれにすみれは止まらない。深く身体を沈み込ませ加速。沈ませた身体は手が床に付く程低い。ティアナの手をかわし、そのまま地を蹴り、地を這うようにしながらも飛ぶように疾走を始める。
 ティアナは舌打ち1つする。またトラブルなど起こされては堪った物ではない。その為、彼女の行動を諫めようとするが、既にすみれは小さな影となろうとしていた。


「一体何なのよっ!?」


 ふと気がついたら病室を抜け出して、今、彼女は逃げ出している。どこかに向かいながらも。
 だがその何処か、とは一体何処だ。それ以前に彼女の目的は一体何だ?
 そこで重要な事を思い出した。すみれとアネモネの「繋がり」の事に関してだ。
 また「繋がった」のだとしたら…すみれは、はやてが「蒐集」され、倒れた事を知った? だとしたら、彼女の行く先なんて1つしか無い。はやての所だ。


「でもあの子、場所わかるのかしら…?」


 病院内の構造をすみれが把握しているとは思えない。すみれがはやての下へと向かっているのだとしてもたどり着ける可能性は低い場合がある。
 まったく面倒な事ばかり起こしてくれる、と思いながらもティアナはすみれの後を追い始めるのであった。



 + + + + +


 走る。足が地を踏みしめ、前へ、前へと力を込めて駆け抜ける。
 道中、怒鳴る声や、咎める声、看護師を呼ぶ声などが聞こえるがそれでもすみれは止まれなかった。
 階段はもどかしくて、何段も飛ばし上へと向かっていく。
 「繋がった」映像を思い出す。脳裏を焼き尽くし、刻み込むような痛みを与えながら見せられた映像。
 向かってくる鉄槌を構えた白いドレスを纏う少女。焔の翼を広げ、剣を掲げ向かってくる女性。蒼の毛並みの狼。そして、爆ぜる光。
 高速機動の魔法を使用し、緑色の衣装を纏った金髪の女性を吹き飛ばし、茶髪の女性の「リンカーコア」を「蒐集」する光景を。
 そしてフェイトの姿が見えた。フェイトが「彼女」から吐かれた言葉に悔しげに動きを止める光景を。
 愉悦に満ちていた。だが、それはあまりにも暗い愉悦だ。その暗い愉悦に比例してすみれの心は冷え切っていた。
 ただ確かめたかった。それが、全て現実なのか。
 ずっと、ずっと考えていた。どうして、繋がるのか。どうして、私は生きているのか。
 その答えがもうすぐ出そうだと、すみれは感じていた。きっと、きっとこれが現実かどうか確かめれば理解出来る筈なのだと。
 そして偶然、「焼き付けられた」記憶に見た姿を見つけてすみれは足を止めた。


「…あ?」
「…え?」


 最初に気づいたのはヴィータであった。ヴィータの呟きにシャマルが反応して振り返る。それに吊られるようにしてシグナムとザフィーラ、そしてリインとアギトがヴィータが視線を向ける方へと視線を向けて。
 ヴィータが最初にまず目を見開かせ、それに続くように皆が目を見開かせ驚きの声を漏らした。何故ならそこに立っていたのは、先ほどまで対峙していた少女と瓜二つの少女だったからだ。


「…お前…」


 ヴィータの目が自然と鋭くなる。睨み付けられ、やや身を竦めたようにすみれは一歩下がって。
 その瞳に夢なんかじゃない、という事を改めて思い知らされる。当然だ。アネモネと自分はほとんど同じ顔をしているのだから。大きな違いと言えば髪の長さくらいだ。
 ほぼ同じ容姿の者が目の前に現れれば疑惑を向けるのは当然の事だろう…。


「…っ…」


 それにすみれの歯の根が合わず、何度も歯同士がぶつかり不快な音が鳴る。ふと見れば手が震えているのに気づいた。それは、ヴィータに対する恐怖もあったのだろう。
 だが…それ以上にすみれは思ったのだ。私とアネモネは少しのすれ違いで…入れ替わっていたかもしれないのだ。声があれば、私が、「アネモネ」だったかもしれない。
 目の前の彼等を傷付けていたのは…自分だったかもしれなかったのだ。それが、ただひたすらに怖かった。
 彼等だけではない。なのはも、フェイトも、ティアナも、スバルも、皆、皆、この手で傷付けていたかもしれない。それが怖かった。


「お前は…」
「ヴィータさん! ちょっと待ってください!!」


 ヴィータが何か問おうとした時に、その間に割って入ったのはティアナだ。ヴィータを含め、そこにいた皆はティアナの乱入に驚き、ティアナに視線を注ぐ。
 それを気にしつつも、ティアナは震えるすみれの手を取り、すみれと視線を合わせるように膝を付いてからすみれと顔を合わせる。
 ティアナが見たのは恐怖に歪むすみれの顔。それにティアナは、自分の予想が合っていた事を理解し、舌打ちをしたくなる衝動に駆られたが、これ以上すみれを不安にさせたくなかった為押さえた。


「…見たのね?」


 ティアナの静かな声の問いかけ。ティアナの質問の意味を理解したすみれは、震えながらも小さく頷いて。


「…何が、怖いの?」


 震えているその手を包み込むように握り、撫でながらティアナは問う。彼女はどう思っているのか知りたかった。この子は「アネモネ」を見て何をどう思っているのか。
 すみれは、震え、瞳を固く瞑り、ティアナの胸に自分の額を押しつけるように体勢を崩した。いきなりの行動にティアナはやや驚きながらもすみれを受け止めて。


「…っ…!」
「ちょ、ちょっとっ?」


 すみれにはティアナの戸惑いも今はどうしようも出来なかった。わかってはいたが、感情が押さえきれない。今、自分を握っている手がその人を自分が傷付けていたら…。
 傷付けていなくて良かった。ここに居れて良かった。想われて、本当に良かった、と。
 ただ、ただ良かったと思う事しか出来なくて、すみれはティアナに縋って震えるしか無かった。あり得たかもしれないIFに怯えながら。すみれの瞳からは、小さな涙が一滴、流れて消えていった。
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