次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第10話 Bpart
2010/02/22 MonOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第10話「波紋 -Bpart-」




 ホテルの一室。窓の外に広がる光景はクラナガンの風景。行き交う人と、車。高くそびえ立つビル群や、建物。流れゆく者と、動かぬ物の光景を見ている。
 外を見つめていた視線を外し、ティアナは振り返る。ティアナが振り返った先、そこには、金髪の女性が立つ。
 フェイトだ。フェイトは、ティアナにコーヒーの入ったカップを手渡す。それに、ティアナが小さく礼を言いながら受け取る。
 温かいコーヒーを舌で感じて、その苦味を味わうようにしてから、喉に通して。それから、小さく一息を吐いて。


「そうですか…そんな事があったんですか」
「うん」
「まぁ、何事も無くて良かったですね」


 そう言って、フェイトとティアナに返したのはシャーリーだ。既に彼女もフェイトからコーヒーを受け取っていて、それを呑みつつ、展開したディスプレイに視線を向けている。
 先日、技術部でエリオとキャロのデバイス、ストラーダとケリュケイオンのデータの解析を終えたシャーリーはフェイト達と合流した。
 ティアナは、技術部の方に野暮用がある、とフェイトに告げ、昨日はシャーリーと共に行動していた。故に、ティアナはすみれの騒動の関しては、ここに来てから初めて知る事となったのだ。


「そうだね…なのはにも、大分良い影響を与えたみたいだったし」
「そうですね」


 なのはに関しての話を聞く限り、彼女に自虐などの傾向はあまり見られないそうだ。それを押さえたのも、すみれが許した事が大きいだろう、とフェイトは語っていた。
 ティアナとシャーリーも、それについては同意だ。なのはは良くも悪くも抱え込みやすい人間なのだ。少し、背負う物が軽くなったという事は喜ばしい事だ。


「…ところで、アネモネって言うんですよね。この子」


 話の流れを変えるように、シャーリーが空中に表示されたディスプレイにある一人の少女の画像を表示した。それは、なのはを撃墜したそもそもの原因である少女が映っていた。
 それに、フェイトとティアナも表情を変えて、その少女の画像を見据えて。


「なのはさんに、そう名乗ったらしいですね」
「…なのはさんに…勝ったんですよね」


 そして、三人の間に沈黙が落ちた。その無言を打ち破るように、フェイトは待機状態のバルディッシュを取り出して。


「シャーリー。バルディッシュを経由してレイジングハートの戦闘記録、預かってる。後で解析を頼めるかな?」
「あ…はい」
「…フェイトさん、レイジングハートは?」
「…損傷事態は軽微。だけど…なんだか、気落ちしてた感じだったよ」


 デバイスに感情があるか否か、と問われれば、否と答えたい所だが、長年稼働し続けてきたインテリジェントタイプのデバイスは人間くさくなる事もある。
 故に、レイジングハートは時に、人間と同じ感情の機敏を見せる事もある。今回、レイジングハートは沈み込んでいたと、フェイトは感じていた。
 無理も無い、とフェイトは思った。レイジングハートにとって、トラウマとも言えるべき過去の傷を掘り返され、再び同じ傷を与えられたのだから…。
 それを思うと、その原因となった今回の事件の主犯に怒りが向けられる。その怒りを抑え込むようにフェイトは深く、息を吐いて。


「そういえば、ティアナ。技術部に何の用だったの?」
「いえ、カードリッジの補充を。それから、フレームの調整とか…。今回はデバイスの不具合なんて起こしたら即アウトですからね」


 フェイトの問いかけにティアナは複雑そうな顔を浮かべてそう告げた。
 ティアナの不安はどれだけの物だろうか。目の前で「師」とも言える人が撃墜され、傷付いた。なのはの力を信頼していたティアナにとってそれはショックだった。
 なのはより明らかに力が劣る自分。何が起きても、負ける要素が多すぎる。デバイスの不具合にせよ、カードリッジ切れにせよ、ティアナは懸念事項を潰したかったのだ。この不安を押しとどめる為に。


「…そうだったんだ」


 フェイトは、ティアナにそう返すしかなかった。重くなった空気にやや気怠げな溜息を吐いて。
 手に持ったカップを口元へと運び、カップの中に入っていたコーヒーを含む。苦味が頭を冴えさせてくれる。
 その時だ。フェイトの通信用のデバイスが着信を告げるメロディを奏でた。それにフェイトがデバイスを手に取る。


「…はやて?」


 デバイスに表示された、着信先の相手。それは、彼女の親友である八神はやての物だった。
 八神はやて。フェイトの親友にして、1年前、「J・S事件」を解決に導いた「機動六課」の部隊長とも名を知れ、なのは、フェイトと共に管理局においてその名を知られる人物である。
 一体彼女が何の用だろうか、と思いながらフェイトははやてとの通信を繋いだ。そうすればすぐにはやての声で「もしもし」と言う声が聞こえ、フェイトも「もしもし」と返す。


『フェイトちゃん、急に電話して済まんな』
「うぅん、良いよ。それより、どうしたの?」


 デバイスの向こうから聞こえてくる親友の声にそう返しながら、フェイトは問う。
 それに通信の先のはやての声は、やや間を置いてから重たい声で問うてきた。


『フェイトちゃん、なのはちゃんが撃墜されたって本当か?』
「…はやても聞いたの?」
『あぁ…。それで…ヴィヴィオが誘拐された、ってのも本当か?』
「…うん」
『…フェイトちゃん。さっきな、カリムから連絡があったんや』
「…カリムさんから?」


 はやての質問に答えていたフェイトは、ふと話が変わった事にやや戸惑いつつ問い返す。
 フェイトは「J・S事件」の際、はやてに連れられてカリムとの面識があり、それからたまに顔を合わす事もあったりもする。その彼女の顔を思い出しながら、どうしていきなり彼女の話が出たのか、疑問に思っていると…その答えは、はやての次の言葉で解答となった。


『…「聖王の器」と引き替えに、夜天の魔導書及び闇の書のデータを寄越せ、って脅迫文がカリム宛てに送られて来たんや』


 はやてに告げられた言葉に、フェイトの瞳が驚愕に見開かれた。



 + + + + +





 暗い天井。ただ、それを見つめていた。
 見つめるその瞳に力は無い。赤と碧のその瞳は、ただぼんやりと暗い部屋の天井を見上げているだけ。
 そのオッドアイの持ち主である少女、ヴィヴィオはただ天井を見上げ続ける。


「…なのは、ママ」


 呼ぶ。力無く呼ぶ。
 数日前の事だ。彼女の「母親」が目の前で撃墜されたのは。
 それによってヴィヴィオが受けたショックは計り知れない物だ。こうして希望を全て失う程までに。
 動かぬ母の姿。血を吐き、苦悶の表情を見せた母。そうなってしまったのは全て自分が攫われてしまったからだ。
 無事だろうか。そう思考を動かすも、わからない。分からないが故に不安になる。
 不安に侵された心は希望を砕き、その力を失わせる。ヴィヴィオは無気力状態となってただ、天井を見上げる事しか出来ない。
 そんな暗い部屋に、一筋の灯りが差し込んだ。それは外へと繋がる扉が開かれたという事だ。外を照らす光が暗い部屋を照らしていく。
 その光を背負うように誰かの姿が見えた。それは、薄ら笑いを浮かべたジーク・インプレッサの姿であった。


「やぁ、気分はどうかな?」
「……」


 ジークの問いかけに、ヴィヴィオは答えない。ただ、ジークを見ようともせずに、ただ、沈黙を保つ。それに、ジークは愉快気に肩を竦めさせてから。


「君のママは生きているようだよ?」
「っ!?」


 そこで、ようやくヴィヴィオの表情に動きが見えた。それは、希望。
 母が生きている。それはヴィヴィオの心に光明をもたらし、行動の為の気力となり、ヴィヴィオは視線をジークへと向けた。
 真偽を問うかのような視線をジークへと向けるヴィヴィオ。それに、ジークが愉快気に笑みを浮かべて。


「帰りたいかね?」


 それに、ヴィヴィオは当然と思った。
 帰りたい。なのはママに会いたい。その思いが沸き上がり、帰還の願いを望む。
 その思いを明らかに表情へと出すヴィヴィオ。それを見てから、ジークは1つ、頷く。そして、唇の端と端を吊り上げて笑みを浮かべて。


「返してあげようじゃないか…ただ…条件が1つある、がね」

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