次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第10話 Apart
2010/02/21 SunOnly One Flowers
 そこは暗闇の中。辺りを照らすのは空中に展開されたディスプレイから漏れた淡い光のみ。
 そのディスプレイを覗き、ジーク・インプレッサは口元を愉快そうに歪め、それを覆い隠すかのように手を当てた。やや篭もった笑い声がそこに漏れて。
 展開されたディスプレイに表示されているのは、どうやら、デバイスのデータらしい。
 1つは、アネモネが用いていた「アクゼリュスハート」のデータ…。
 そして、もう1つは…本型のデバイスであった。ジークが見つめていたのは、この本型のデバイスの方だ。


「やはり…完璧な完成を目指すなら…実際に「稼働」している物のデータが欲しいなぁ…」


 笑う。愉悦を込めて笑う。それを夢見れば、笑いがこみ上げない訳が無い。
 それは、自らの目指した理想。そこに在りし「完成形」は長年求め続けてきた理想なのだから。


「「器」もこちらの手にある…。アネモネに頼もう」


 モニターに表示されたのは、魂の抜けたように虚ろに天井を見上げる姿のヴィヴィオ。
 そして…ある1つの建築物。その建築物の名は…聖王教会中央教堂。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第10話「波紋 -Apart-」




 すみれは自分の病室から空を見上げていた。なのはとフェイトから名を貰った後、彼女は自室の病室へと戻される事となった。未だ、彼女の立場はハッキリとしないのだから。
 故に、自室から出るのは基本的に彼女一人では許されない。フェイトやティアナの同行があれば、外に出る事も可能であると、すみれは説明を受けていた。


「…」


 すみれは空を見上げながら、何かを思うかのように溜息を吐いた。
 それは、未来の事だ。自分がこれからどうなるのか、少しよくわからない。
 どうすれば良いのかも、まだわからない。目を閉じれば、分からない事ばかりが多すぎて、どうしようも無くなってしまう。
 だから、フェイトを待つ事しか出来ない自分に、少し、不安を覚える。
 フェイトを疑っているわけでは無いのだが、彼女の状況は良くなっている訳ではないのだから。
 だけど、少しずつ、少しずつで良い。すみれはそう思う。もう一度、自らの名を口ずさんで、笑みを浮かべた。
 彼女が見つめる先の空。その空は、ただ、穏やかな快晴であった。 





 + + + + +





 どこかに存在する次元世界の1つ。そこで、その声は挙げられた。


「聖王教会?」
「あぁ、そうだよ」


 疑問を含んだ声を挙げたのは、アネモネ。そのアネモネの目の前で、モニターに聖王教会の場所と建物の画像を見せながら笑みを浮かべるジーク・インプレッサの姿がある。
 アネモネはジークに「お使いを頼みたい」という事で、ジークの所までやってきて、そして今、その説明を受けていた、という所だ。
 アネモネは、やや興味深そうに適当な相槌を返しながら、画像に映る建物を見て。


「ここにいる「カリム・グラシア」…だっけ?ソイツにこの手紙出すの?」
「あぁ。適当な人に渡せば良いだろう」
「で…手紙には何て書いてるの?」


 興味津々、と言った様子でアネモネはジークに問いかけた。
 アネモネのその様子に、微笑ましそうにジークは視線を送りながら、手紙を開いた。
 そこに綴った文字。ただパソコンで作った簡素な物。ただ、一文、それは記されていた。


「聖王の器と引き替えに、あるデータを戴きたい、とね」
「…あるデータ?」
「デバイスさ。ただ、ちょっと風変わりなね」
「なんでそんな物が必要なの?」
「君の為さ」


 そう言って、ジークはアネモネの頭を撫でて笑みを浮かべる。彼女の髪を梳かすように、優しい手つきで何度も撫でていく。
 それに、アネモネも頭を撫でられて嬉しそうな顔を浮かべる。それから、やや間を置いてから頷いて。


「わかったよ。じゃ、この手紙、届けて来るよ」
「あぁ。気をつけて行ってらっしゃい」


 あぁ。それは、どこにでもありそうな家族の光景だ。
 親が子にお使いを頼み、そして微笑ましそうに親は子を見送る…。
 ただ、状況と、内容と、そして、狂気を含んだその瞳の色が無ければ…。


「あぁ…もう少しだ。もう少しだよ…」


 恋い焦がれるように、ジークはただ、天を見上げながら呟き続けた。
 求めてきた物。それは、もうすぐ、この手に入る。それを思えば、腹の底からこみ上げてくる笑いは止められない。
 彼の笑い声が、高らかに響き渡っていく…。





+ + + +





 聖王教会中央教堂。その建物の中の一室。そこでカリム・グラシアはシスターのシャッハ・ヌエラと共にのんびりとしたティータイムを取っていた。
 ティーカップを手に取り、口元へと運ぶ。その仕草の1つ1つが、優雅、と評するのが的確か。そのまま、カリムはお茶をゆっくりと味わうように呑み、再びテーブルの上へと置く。


「お代わりは?」
「いらないわ。ありがとう、シャッハ」
「いえ」


 気遣うようなシャッハの提案に、カリムは柔らかい微笑みを浮かべて返す。
 もう長年の付き合いだ。このように柔らいだ空気を生み出せるのも、その付き合い故に。紅茶の味が、執務によって疲労した身体に心地よく浸透していく。
 紅茶の味の余韻を楽しんでいたカリムだが、ふと、部屋のドアをノックする音にそちらへと意識を向けた。


「私が出ます」
「お願い」


 シャッハが席を立ち、来訪者の応対に当たる。それを横目で確認しながら、カリムが再び、お茶を口にする。
 そして、カリムがカップを置こうとしたその時だ。先ほどまで平静であったシャッハの声が響いた。


「カリムッ!!」
「ッ!? シャッハ? どうしたの?」


 それは、先ほどの平静振りに比べて、明らか過ぎる程までに違う慌てた彼女の姿。
 一体何があったのか?そんな思考がカリムの脳裏に過ぎり、目を細め、シャッハの顔を見据えながら問いかける。
 そんなカリムに、シャッハは手に持った物を見せつけるようにカリムの前に出した。
 そこには、簡素な一文が記されていた。それに、カリムの顔が青ざめていく。
 彼女の手の力が失われ、ティーカップが地へと落ち、破砕音を立てた。紅茶と破片をまき散らし、それは床を汚していく。
 だが、それに気を取られてなどいられなかった。カリムは、何度か喘ぐように息をし、絞り出すような声で呟きを漏らした。


「まさか…そん、な…」


 カリムの目には、その一文しか目に入らない。
 記された内容は…こうだ。

『聖王の器と引き替えに、「夜天の魔導書」及び「闇の書」に関連する全データを戴きたい』

 その内容に付け加え、引渡場所や、指定時間などが記されている。
 そして、極めつけにこれだ。


『断られるならば、幼き聖王の器の命は無いと思うように』


 明らかな脅迫だ。そして、「聖王の器」「夜天の魔導書」「闇の書」。その全てにカリムは少なからず関わりがある。
 聖王教会に属している身故に、「聖王の器」が誰なのか知っている。会った事さえもある。その人物の姿を想像して、身が震えた。
 そして「夜天の魔導書」と「闇の書」についても、その「元・所有者」であり「継承者」である者も知っている。少ない友人の一人であり、妹のようにさえ思っている彼女の顔が浮かび、思わず、歯を噛み締めた。


「なんて、事なの…っ!!」


 ただ、嘆くようにカリムは呟く。対応を迫られ、カリムの手が強く握られた。



 + + + + +




 聖王教会中央教堂の前。そこで、深く帽子を被り、目元が見えないようにした少女がスキップを踏みながら歩いていく。
 鼻歌を歌いながら、陽気にその少女は人混みの中へと紛れていく。
 少女は嗤う。頼まれたお使いは終わり、後は帰るだけなのだから。
 さぁ、お使いは済んだのだから帰ろう。そう思いながら、一歩、二歩、ステップを踏みながら彼女は進んでいく。



 静かに…事態は更なる段階へと進んでいく…。
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