次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第9話 Bpart
2010/02/21 SunOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第9話「本物と偽物と -Bpart-」



 病院の廊下をフェイトは走っていた。フェイトはただ、目的地へと向かって走っていった。
 エレベーターなど遅い。病院の階段は2段飛ばしは当たり前。走る、ただ飛ぶように走る。
 そして、目的の病室へ半ば飛び込むように入室。


「なのはっ!!」
「あ、フェイトちゃん…」
「…?」


 フェイトが目にした光景は、上半身をベッドから起こした親友のなのはの姿。そして、そのなのはと手を繋ぎ、ベッドの傍で立っている、なのはとほぼ、同じ容姿を持った少女が座っている。
 なのはは、フェイトを見れば、どこか申し訳なさそうな表情を浮かべる。良く見れば、その表情は泣いた後が遠目から見てもわかる程、残っていた。
 一方、少女の方は焦って入ってきたフェイトの方を見て首を傾げている。
 息を荒くしながらも、フェイトはその場にへたり込んだ。もう、色々と言いたい事があったが、呼吸が荒い所為で何も言えない。
 執務を終えて一休み、と行こうとしたフェイトに届けられた報。それは、あの例の少女がなのはの病室へと入っていったとの事だ。それを見た看護師がすぐさま、その例の少女に関連した事件の担当のフェイトへと連絡を寄越した、という訳だ。
 病院の職員や、一般の局員へと連絡しなかったのは、彼女の保有しているだろう能力を恐れての事だ。彼女自身、誰かを傷付けるような子では無いのは、先日の逃走騒ぎの際にわかっているが、それでも、過剰防衛が過ぎた損害を与える事を恐れた為の措置であった。
 そのため、フェイトも病院の最寄りのホテルで休憩、及び執務を行っていたのだが、報を聞きつけ、すぐさま飛び出して来た、という訳だ。
 あの話をした後だ。何か起きるかもしれない、とは思っていたが、二人の様子を見ると険悪な様子は見られない。だが、どうなったのかも、よくわからない。ようやく息を整え、二人に視線を送って。


「え、えと…その、何かあったわけじゃ、無いんだよね?」
「うん。ごめんね…心配かけて」
「…」


 フェイトの問いかけに、なのはと少女は互いに顔を見合わせてから、申し訳なさそうな顔をしてフェイトに謝る仕草をした。互いに同時に頭を軽く下げるのを見て、フェイトは、思わず安堵の息を零すのであった。
 そんなフェイトに、なのはは視線を向ける。表情を真剣な顔つきの物へと変えて。


「フェイトちゃん。フェイトちゃんが来たって事は…この子を保護したのはフェイトちゃんだね?」
「…うん」
「…教えてくれるかな。この子の事…。それから…私を襲ったあの子の事も、知ってるんでしょう?」


 なのはの問いかけは、有無を言わせない物であった。雰囲気から、教えろ、となのははフェイトに訴える。それに、フェイトはやや、戸惑うような表情をする。
 だが、なのはには知る権利がある。ならば、聞かせよう。自分が知る、全ての事を。
 暫しの間を置いてから、フェイトは語り出すのであった。





 + + + + +





 フェイトの知る全てを、なのはは無言で聞いていた。そんななのはを、少女は心配気に見つめていた。その視線に気づいたように、なのははそっと、その少女の頭を撫でて。


「…そっか」
「…うん」
「…やっぱり…私が原因なんだ」
「な、なのはが悪いわけじゃ…」
「大丈夫…。うん。でも…それでも、やっぱり私が原因なんだよ。フェイトちゃん」


 そう語るなのはの表情は、重く、暗い物であった。やはり、という思いをなのはは隠しきれずに居た。
 全ての原因は8年前の撃墜の日から。そこから、始まった。クローンの大量生産に続き、200人程のクローンの虐殺。そして、自らへと向けられる数多の犠牲の中で生き残った者達から憎悪。目の前にいる声の無い「失敗作」として捨てられた少女。その全てが、8年前のあの日から。


「…私が…もっとしっかりしてれば…」
「そんな事無いよっ!! なのはは一生懸命やってただけなんだから!!」
「…うん…」


 フェイトがなのはの肩を掴んで、励ますように言葉を紡ぐが、なのはの表情は明らかに気落ちしたままだ。わかっていたとはいえ、ショックは大きかった。なのはから、重い溜息が吐き出された。
 そんななのはの手を、少女は強く、強く握りしめた。それになのはは少女の方へと振り返る。振り返ったなのはに向けて、少女は首を振った。
 なのはの言う事を否定するかのように、少女は、何度も首を振った。それに、なのはは、微笑を浮かべて小さく頷いた。


「ごめんね…。うん。大丈夫…大丈夫だから…」


 少女の気遣いに、なのはは心底、嬉しそうに微笑む。そんななのはを見て、フェイトは安堵の息を小さく零し、なのはの手を握る少女の姿を見た。
 彼女がなのはを許してくれなければ、なのはは、そのまま、自分を責め続けていたかもしれない。そんな親友の姿は見たくはない。だから、許してくれた彼女に対して、フェイトは感謝の念を抱くのであった。
落ち着いたかのように、暗い表情から普段の表情へと戻ったなのは。それから、フェイトの方へと顔を向けて。


「…フェイトちゃん…ヴィヴィオの事…お願い、出来るかな?」
「なのは…」
「…本当は、私がなんとかしたいけど…この身体じゃ、無理だろうし…」
「勿論だよ。任せて。なのは。私がヴィヴィオを助けるから」

 なのはは、自分の手を握りしめながら呟いた。自身でわかっているのだ。この身体で戦い抜ける訳が無いと。
 故に、娘を取り戻す事を、ただ、親友である彼女に託す事しか出来ない。
 フェイトにとっても、それは望む所であった。ヴィヴィオは必ず助け出し、この一連の事件の裏に隠れているジーク・インプレッサを逮捕する。それが、彼女の現在の望みなのだから。
 フェイトの問いに、なのはは安心したように微笑んで、頷いた。


「…そういえば、フェイトちゃん。この子…」
「…どうかした?」
「名前は?」


 そこで、フェイトは思わずハタ、とした。そして、大いにオロオロと慌てだした。
 ごたごたが続いていた所為もあったのだろう。この少女の名をどうするかなど、考えていなかった。
 それに、なのはは思わず、やや呆れたような目を親友へと向けるのであった。その視線を受けて、ぐぅの音も出ず、意気消沈したかのようにフェイトが肩を落とした。


「…忙しかったの?」
「だ、大分…」


 そのフェイトの返答に、呆れたようになのはは溜息を吐いた。まったく何やってるんだか、と言わんばかりだ。
 だが、なのはには言われたくないなぁ、とフェイトはそう思っていた。無茶をするのはお互い様の筈だ。何故、自分だけ悪いように言われなくてはならないのだろう? と不公平さを感じるフェイトであった。
 一方、当の本人である少女は、また、首を傾げてフェイトとなのはを見ていた。


「んー…でも、名前が無いとやっぱり不便じゃないかな?」
「やっぱり…そうだよね」
「うん…。ねぇ? 貴方の名前の事なんだけど、どうしたい?」


 とりあえず、少女に名前を付けなければ話は進まない、と結論に至ったなのはとフェイトは、少女に問いかける事にした。だが、少女はいまいちわかっていないのか、首を捻っている。
 暫し、なのはが悩むような視線を少女に向ける。どれだけ経っただろうか、なのはは少女の顔をのぞき込むようにして。


「貴方の名前、私が付けて良い?」


 なのはの問いに、少女はやや驚いたように目を見開かせて、小さく頷いた。
 それに、なのはは頭の中から、彼女に合うだろう名前を探し始める。ふと、浮かんだのはある1つの花の名前であった。


「すみれ。すみれ、はどうかな?」


 自身の名が花の名前であるのも関わっていたのだろう。そして、彼女を見ていた不意に浮かんだのが、この花の名前であった。
 花言葉は…よく覚えていなかった。だが、なんとなくこの花の名前は彼女に似合うのではないか、とどこか納得している自分を、なのはは感じていた。
 すみれ、と聞いて、少女は、唇を「す・み・れ」と動かしていく。何度か、ゆっくり、噛み締めるように唇を動かして……静かに、涙を落とした。


「え? えぇ? い、嫌だった!?」


 それを見て思わず、なのはが慌てる。似合ってるかなぁ、と思って付けた名前が実は不評であったとか、本末転倒である。
 それに、今度は逆に少女が慌てだした。涙を零しながら、何度も首を振った。
 それを見て、フェイトは、小さく笑みを零して、なのはの肩を軽く叩いた。


「なのは、違うよ…。嬉しかったんだよ」
「…そう、なの?」
「うん。そうだよね?」


 フェイトの問いかけに、少女は何度も頷きながら、しゃくりを上げていた。
 フェイトの言う通り、嬉しくて、嬉しくて溜まらなかったのだろう。認められないと言われ、死すらも望まれ…それでも、受け入れてくれる人がいて、そして、自分という「証」とも言うべき「名」も貰って…。
 それに、感動を覚えない筈が無い。だからこそ、少女は泣いたのだ。心の底から沸き上がる歓喜と共に。


「…良かったね…すみれ」


 フェイトは、彼女の「名」を呼び、その頭をそっと撫でてあげた。
 「名」を呼ばれ、祝福されるかのように頭を撫でられて…「すみれ」は、本当に嬉しそうに、はにかみながら微笑んだ。

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