次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第8話 Apart
2010/02/21 SunOnly One Flowers
 望んだ事だけ得られるなんて事は、あり得ない。この世界は理不尽に、全てを与える。
 それを、押しつけと思おうが、どう思おうが、世界は常に私達に与え続ける。
 
 誰かの悲しみも。誰かの憎しみも。全て、私達には与えられる。


 それが、望もうと、望まないと、どちらにしても…。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第8話「存在価値 -Apart-」




 高町なのはが撃墜された。その事件から……3日の時が経過していた。
 ミッドチルダの病院の1つ。そこで、フェイトは病院の廊下の窓から見える空に視線を向けていた。
 空を見上げるその瞳には、明らかな憂いの色が見えた。憂いを帯びた瞳は、空に流れる雲を追い続け、ただ、何をするわけでもなく…ただ、フェイトは雲を眺めていた。
 その雲を眺めているフェイトの傍に歩み寄って来たのは、ティアナだった。


「フェイトさん」


 ティアナの呼びかけに反応し、フェイトはティアナの方へと顔を向けた。


「ティアナ…」
「…あの、その…」
「大丈夫だよ。なのはも、あの子も、死んだわけじゃない。だから、大丈夫だよ」


 安心させるように言葉を並べていくフェイト。だが、その表情は、安心を覚える表情とは程遠い、影の見える表情を浮かべた。
 ティアナは、フェイトのその表情を見て顔を歪めた。心の奥から、じわり、とにじみ出してくる感情に歯止めがかからない。

 ティアナは、なのはがアネモネによって撃墜された後日の事を思い返していた。
 あの後、ティアナとスバルはなのはと少女を連れ、ミッドチルダに帰還し、すぐさまなのはを病院へと搬送させた。
 その時、転送ポートで待機していたフェイトも一緒に付いてきたのだが、その時の彼女の狼狽振りは見るに堪えない物であった。親友の名を泣き叫び、その安否を伺うその姿に、スバルもティアナも、そして、あの少女もショックを受けざるを得なかった。
 病院に搬送されたなのはは、命に別状は無い、と診断を受けた。だが、身体に受けたダメージが酷い上に、更に悪い事が重なってしまっていた。
 その悪い事とは何か? それは1年前のJ・S事件の後遺症だ。
 1年前。管理局を揺るがせた「J・S事件」。その渦中において、なのはは後遺症を患う程の負担を身体に強いた。それによって、魔力量の低下と言った症状も患っていたのだ。
 「J・S事件」後。一度は良好に回復を見せたが、それでも、未だ燻りを見せていた後遺症が今回のダメージによって、再び悪化したと、医者に告げられた。
 今、なのははまだ眠っている。魔力ダメージによる負担からの疲労だと言われているが、いつ、目を覚ますかわからない。だが、近々、目は覚ますだろう、と医者からは言われている。
 更に、悪い事が起きたのはなのはだけでは無い。ティアナとスバルと共に、なのはの下へと向かった少女も、あれから塞ぎ込んでいるのだ。
 病室で、何かから身を隠すように布団にくるまり、いつも震えている。怯えているかのように。
 だが…それも仕方ないだろう。自らのルーツを求め、それに縋り、向かった先に待っていたのは、自身の存在そのものの否定であったのだから。
 それから、フェイトは執務の合間を縫い、なのはと、その少女と、エリオとキャロの見舞いに走った。
 ティアナも同行した時もあるが、正直、息が苦しく、辛かった。


 まさか、こんな事になるなんて。


 その一言で今回の事件は埋め尽くされてしまった。
 なのはの撃墜の後から分かった事だが、エリオとキャロを襲撃したのもまた、あのなのはのクローンである「アネモネ」の犯行である事が、エリオのストラーダとキャロのケリュケイオンを解析した技術部の報告から分かっている。
 全てが、1つに繋がる。過去より長く続く事件が、最悪の形で明るみに出て、災いを呼び起こした。
 それを8年前から追い続けてきたフェイトの心境はどのような物なのか。正直、ティアナには想像が付かない。故に、慰めの言葉も、励ましの言葉も出かけては、心の中に仕舞われてしまう。


「…ん?」


 そこで、ティアナはふと気づく。何かの気配を感じ、振り返ると、廊下の角からこちらを伺う、あの少女の姿を見た。その少女は、ティアナに気づかれた事で、軽く、身を竦ませたが、すぐに、ティアナとフェイトの方へと寄ってきた。
 それに、目を丸くしたのはフェイトとティアナだ。今まで塞ぎ込んで、ベッドの中で布団にくるまりながら外界を拒絶していたこの子が、こうして外に出てきているのだから。


「どうしたの?」


 フェイトが、笑みを浮かべて問いかける。それに、少女が俯いた。
 しばらく、何かを告げようと唇を動かす仕草が見えたが、まだ、意を決しきれて無いのか、こちらになかなか伝えようとしてこない。フェイトはそんな少女に歩み寄り、その頭をそっと撫でた。


「念話、使える所に行く?」
「……」


 ここは病院内。念話の使用は控えるようにするように言われている。だが、病院内全てで使えないわけではなく、一応、使えるような場所はある。そこにフェイトは行こうか、と誘う。
 それに、少女は無言で小さく頷いた。それを見たフェイトが、少女に手を差し伸べると、少女はその手に、自らの小さな手を重ねた。
 それから、少女は自分とフェイトが繋がっている手を見てから、ティアナの方へと視線を向ける。暫し、何かを考え込むように俯いていたが、顔を上げて、ティアナの方へと手を差し伸べた。


「…私も?」
「…」


 ティアナが少し、戸惑うように問いかけると、少女は小さく頷いた。ティアナは、どうするか迷ったが、無下に断る理由も無いので、その手をそっと握った。
 それから、3人は歩き出す。両手を繋がれ、少女は歩いていく。その表情には、やや暗い色が見られた。フェイトもティアナも、心配そうに見るが、彼女の意志が伝わって来ない以上、どうすれば良いかもわからない。
 しばらく歩き、病院内にある庭についた。そこには植木など、自然も置かれ、憩いの場ともなっている。そこにあったベンチに、少女を挟むようにフェイトとティアナは座った。


「ここなら、もう念話を使っても大丈夫だよ?」


 フェイトが少女の肩に手を置きながら言う。それに、少女がフェイトの方を見上げ、それから、また俯く。唇が震え、少女が、それを抑えるように強く噛んだ。
 そして、フェイトとティアナに向けて、少女が念話の回線を繋げた。


『…私は、生きてちゃ、駄目なの…?』


 暗い、感情を秘めた声に、フェイトとティアナも表情を凍り付かせた。更に、少女は二人に意志を届ける為に念話で語り続ける。


『失敗作ってなに、私って…何なの…わからないの…私は、生きてちゃ、駄目な物なの?』
「…そんな、そんな事無い! 貴方は生きていて良いの!! 死ななきゃいけないなんてそんな事無い!!」


 フェイトが少女の肩を掴み、自分に振り向かせながら叫ぶように言う。その様子の必死さに、少女は目を見開いている。フェイトは、悲しそうな顔を浮かべて少女を見ていた。
 ティアナも、また、悲痛な表情を浮かべ、二人を見ていた。恐らく、悩んでいたのだろう。この少女は。想像するには難しく無い。だが、不安が的中した、という事は、フェイトにも、ティアナにもショックを与える物だった。


「生きていて良いの! 貴方は産まれた! 生きてる! 死ななきゃいけない事なんて何も無い!! 貴方は何も悪くない!!」


 ただ、フェイトは叫んだ。少女に、死を受け入れる事などして欲しく無かったからだ。
 ただ、理不尽に産み出され、そして、理不尽に捨てられ、その生すらも否定されたら、彼女は、余りにも不憫過ぎる。そんな事を、許して良いなんて事は絶対にあり得ない。
 その思いを込めて、フェイトは叫びながら少女に訴えた。それを聞いて、少女はやや、間を置いてから、問いかけた。


『……ねぇ…じゃあ…失敗作って…何?』
「…っ…それ…は」
『…知ってるの? …なら、教えて…知りたいの』


 少女は思う。自分が否定されたのは、自分が失敗作だから。だけど、自分がどうして失敗作なのかわからない。故に、彼女は問いかけたのだ。
 問われたフェイトは、思わず言い淀む。言える訳がない。「クローン」である事や「戦う為に産み出された」などと、言える訳がない。
 それを言えば、彼女はどう思うだろうか? 自身の存在を、どう思うのか。自身を、否定して仕舞わないだろうか。
 だが、言わなければ、彼女は一生、このまま苦しみ続ける。否定された事に怯え、恐怖し、それに震え続ける。きっと、知るまで、それは終わらない。
 それは、停滞だ。停滞は何も産み出さない。フェイトとてわかっている。言わなければいけない事だと。だが、それは今なのか、わからない。
 停滞はいつか、終わらせなければならない。だが、それが今なのか、彼女には判断が付かない故に、苦悩する。
 誤魔化せば良いのか、それとも、真実を伝えれば良いのか。選ばなければならない現実の選択肢に、フェイトは苦悶の表情を浮かべる。
 そんなフェイトに、ティアナは声をかけた。


「言ってあげるべきじゃないですか?」
「ティアナ!?」
「…少なくとも、彼女は狙われる立場です。だったら、自分の立場は知っておいた方が良いと思います。前みたいに、飛び出されたりなんかしたらそれこそ、取り返しが付かなくなるんじゃないんですか?」


 ジーク・インプレッサ側のクローンであるアネモネは、明らかに、この少女に対して殺意を抱いている。自殺しろと強要するまでに。故に、その存在を知られれば狙われる可能性がある。
 それを知らずに、この少女を放置する事は出来ないのではないか、とティアナは考える。
 事実、一度飛び出した前例がある。一度ある事は二度ある。もう一度、この少女が飛び出して来た時…次に、彼女が狙われないとは限らない。
 ならば、知って貰った方が良いと、ティアナは考える。知れば、少なくともそれを回避する事だって可能な筈だ。知らなければ…何も知らない彼女は、求め、喘ぎ、苦しみ、そしてその果てに、間違いを犯す可能性だって否定仕切れない。


「…ねぇ」
「……」


 ティアナの呼びかけに、少女はティアナの方へと顔を向けた。その視線向けられた視線にティアナは真っ向から視線を合わせる。少女も、真っ直ぐとその視線を受ける。互いに見つめ合って。


「これから、アンタが知りたい事は、凄く、辛くて、苦しくて、聞かなきゃ良かったって思う物だと思う」
「……」
「でも、いつか、貴方は知らなきゃいけない。それが今なのか、もっと後なのか、私達にはわからない。でも、少なくとも、私は、今、知った方が良いと思う。知って、納得して、それで…考えなさい。…アンタは、自分の身は自分で守らなきゃいけないんだから」


 アネモネは、なのはを凌駕するだけの力を所持している。現在、事件の担当に当たっているのはティアナとフェイト。だが、ヘタに武装局員を動かせば、逆に足手纏いになる可能性がある。
 かといって、アネモネと戦い合えると言えば、少なくともAは最低ライン。その上でなければ、確実に堕とされる。だが、高ランクの魔導師はそうそうに動かせれる物ではない。
 もしも、フェイトとティアナがアネモネに敗北した場合、彼女を護る者は、限りなく少ない。故に、彼女は自らの身は、自らで守らなければならない。


 フェイトは、何も言えなかった。ティアナの言っている事は正しい。だが、不安が残る。
 この少女が、自らに与えられた業に耐えられるのか。ただ、それだけが不安で、フェイトは少女を見続けた。


「どうする? 聞くの?」


 ティアナの問いかけ。そして…その問いかけに、少女は、ゆっくりと、頷いた。


『教えて…私…知りたい』
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