次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第7話 Bpart
2010/02/21 SunOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第7話「悲劇、再び -Bpart-」







「あはははッ! 勝ったッ!! 勝ったぁッ!! パパッ!! 勝ったっ!! 私勝ったよっ!! あは、あははは、あはははははっ!!」


 空の上、地に落ちた高町なのはを見て、アネモネは狂い笑っていた。狂喜の感情が、彼女に腹の底から笑いをもたらす。止められなくて、抑えきれなくて、ただ、彼女は無邪気に笑い続けた。
 その瞳から、涙がこぼれる程まで彼女は笑った。ただ、狂ったように。全てが愉快にも思えた。世界の全てが愉快に見えた。


「最っ高!! 最高だよッ!! これで、私は証明したッ!!」


 オリジナルに勝っていると、これで彼女は証明出来た。事実、相性の悪さがあったとはいえ、高町なのはがブラスターまで使用して墜ちたのは事実。だから、少女は勝利に酔っていた。故に、ただ、ただ笑っていた。
 その眼下、雪を潰す音が響いた。アネモネが何かと思い、下へと視線を向けると、そこには、立ち上がろうとしている高町なのはの姿だった。


「…が…ふっ…こふっ…!」
『Master!?』
「…だ、だいじょう、ぶ…まだ、たたか、えるよ…」


 アネモネの直射砲の魔力ダメージからか、墜落した際の衝撃か。なのはは、内蔵を痛めたのか、口元を抑え、血を吐き出した。
 しかし、その吐き出した鮮血を飲み下し、なのはは立ち上がろうとする。
 負けるわけにはいかない。まだ、ヴィヴィオを助けていないのだから。だから、ヴィヴィオを助けるまで、倒れるわけにはいかない。
 その不屈の魂だけが、彼女を立たせた。だが、彼女はもはや、戦える身体ではない。
 アネモネの砲撃によって受けたダメージ、そして、ブラスターの使用によって負担を強いた身体に負った上に、墜落したのだ。そのダメージは計り知れない。
 それに対して、アネモネは興が冷めたように笑みを消し、アクゼリュスハートをなのはへと向けた。


「…しついこなぁ…もう、負けたんだから…」


 アクゼリュスハートの穂先に濃桃色の魔力光が溜まっていく。それは先ほど、なのはに対して放った物と同じ砲撃魔法だ。だが、チャージの時間は短縮している。今の高町なのはにはこれで十分だろう、と判断して。
 ただ、早く目の前で、足掻く姿が鬱陶しかった。


「這い蹲ってろ!!」


 そして、なのはへと向けて、その砲撃魔法は放たれた。
 なのはは、それを見つめて、歯を噛み締め、悔しさと絶望に瞳を閉じた。脳裏には、愛娘の姿が浮かぶ。捕らわれた彼女を思い、涙すら湧いてきた。


(…ごめん、ヴィヴィオ…)


 もはや、折れてしまった心は立ち上がれない。なのはは、力を失いその場に膝を突き、迫り来る敗北の運命を受け入れた。
 …だが、自分の敗北を告げる砲撃は、自らに当たる事は無かった。どれだけ待っても、その衝撃が来る事が無い。
 疑問のまま、なのはは瞳を開いた。開いた瞳の先、その瞳に映った光景…。


 最初に見えたのは、白桃色の魔力光だった。それがミッドチルダ式の魔法陣を描き、アネモネの放った濃桃色の砲撃魔法に抗うように展開されていた。
 それを展開し、なのはを護るように立ちふさがるのは、一人の少女だ。
 身に纏っているのは、病院で患者が纏う薄着の服。そして、長く伸びた栗色の髪。苦悶に歪めた表情。そこで、なのはは目を見開く。


「…あ…?」


 そこで、アネモネから放たれた砲撃も止まる。アネモネもまた、呆然としながらなのはを護る為に防御魔法を展開したその少女を見た。
 世界には、自分と同じ顔を持つ人間が3人いるという話だ。そして…今、この場には「同じ顔」を持つ者達が集った。
 高町なのはと、その高町なのはのクローンとして産み出されたアネモネと、もう一人の、クローンの少女と。


「…お前…まさか…No.207…?」
「……」


 アネモネが、口元を抑えながら呆然と番号を呟いた。その瞳には、明らかな動揺の色が溢れている。それに、No.207と呼ばれた少女は訳のわからない、と言った顔のまま、アネモネを見つめていた。
 しばし、呆然としていたアネモネだが、その表情をすぐさま変えた。
 その表情は、憎悪の色を秘めていた。それは、高町なのはに向けていた憎悪を越える程のドス黒い憎悪。その憎悪の感情を向けられ、少女が驚きに目を見開き、身を竦めた。


「…何で…欠陥品が…捨てられた欠陥品が……生きてるのッ!?」
「っ…!?」
「死んでろよッ!? 何のこのこ生き残ってるの!? パパに捨てられた癖に!! 欠陥品の癖に!! 息をしている価値も無い癖に何息してるのっ!? 訳わかんない!? 何で!? 何で生きてるの欠陥品!? 捨てられた欠陥品が何でッ!?」


 自らの生の否定。根本的な存在に関わる物を否定され、少女が身を震わせた。
 それは、恐怖だ。恐怖によって震えた身体が、歯の根を合わせず、不快な音を鳴らす。自分の身を抱くように少女が自分の身体に手を回した。
 なのはは、その光景に呆然としていた。一体何がどうなっているのか、さっぱりわからない。ただ、酷い、としか思えなかった。ただ呆然とした頭が、漠然と、そうとしか思えなかった。


「お前ぇぇええええええええっっっ!!!!」
「ッ!?」


 ふと、怒りを秘めた咆哮が響き渡った。空色の魔力で作り上げた道を走りながらアネモネへと突撃したのは、少女と同行していたスバルだ。先ほどまで呆然としていたが、今の彼女は激怒していた。
 アネモネが少女へと向けた暴言は認められる物ではない。欠陥品だから死ね、と。生きている価値は無い、と否定する彼女に対して、スバルは怒りを隠さずにその拳を向けた。その拳をアネモネは咄嗟にシールドを張り、スバルの突撃を制止させる。


「チッ…!? お前は…スバル・ナカジマかッ!!」
「欠陥品だから死ねとか、生きる価値が無いとか!! 命はそんな物じゃないだろぉッッ!!」


 アネモネが、予めジーク・インプレッサに与えていられた知識から、その突撃してきたスバルの正体を看破する。
 スバルは、明らかな怒りを込めてアネモネへと叫びながら、彼女のデバイス、リボルバーナックルを嵌めた手で彼女のシールドを突き破ろうとするが、ビクともしない。


「クッ…!?」
「うるさい…ッ! お前に何が分かるッ!!」


 アネモネがスバルに対して叫ぶのと同時に、アネモネがシールドをブレイクし、爆風を巻き起こす。その爆風に呑まれて、スバルは踏みとどまろうとしたが、爆風の威力が高すぎて吹き飛ばされてしまう。
 そこで追撃をかけようと、アネモネがアクゼリュスハートを構えようとした所を、オレンジ色の魔力弾がそれを牽制する。
 そこで、アネモネはオレンジ色の髪の、銃型デバイスを構え、なのはの傍でなのはを庇うように立つ少女の姿を見た。
 ティアナ・ランスター。アネモネはティアナの事も知識から知っていた。彼女からすればさほどの脅威ではないが、高町なのはを倒した後でかなり消耗している。
 退くべきか、と一瞬考えるが、そのティアナの傍で震える少女を見て、明確な殺意が湧いた。


「…そこの欠陥品!!」
「…っ…!?」
「次にその顔見せてみろ…殺してやる。だから、私に殺す手間を省かせる前に、自分で死んでおけ。生きる価値も無いゴミが」


 ありったけの悪意と殺意を地で震える少女に叩き付けて、アネモネは転送魔法の術式を起動させた。当面の目標は果たした。これ以上の長居は無用だ。早く、パパの顔を見に行きたい。あんな欠陥品を見たからか、気分が凄く悪い。苛々とした感情が、思わず、アネモネに舌打ちという行動を取らせた。


「待ちなさいッ!!」


 下の方から、ティアナの制止をかけるが、アネモネはまったくの無視だ。ティアナは妨害をしようと魔力弾を放つが、アネモネの障壁によって遮られてしまう。
 そのまま、アネモネはティアナの妨害に歯牙をかける事無く、転送の魔法を完了させた。そして、彼女の姿が転送の光と共に消えていく。
 アネモネが消えたその地。ただ、後に残ったのは、4人だけである。しばし、沈黙の間を置いてから、ティアナが気持ちを切り替えるように息を吐き出し、クロスミラージュを待機状態へと戻し、なのはへと向き直った。


「なのはさんっ!ご無事ですか!?」
「ティ、アナ…どうして…ここに…?」
「そんなの後にしてください!今はそれよりも早く病院へッ!! スバルッ!! トランスポーター!! 早くッ!!」
「わ、わかったッ!!」


 ティアナは、なのはの怪我の具合を見て、思わず眉を歪めた。明らかに内蔵を痛めているだろう。立っているのだって辛い筈だ。そんななのはを支えるように手を貸しつつ、スバルに向けて叫ぶ。
 先ほど、アネモネのシールドにビクともしなかった事に悔しさを感じていたのか、拳を固く握りしめていたスバルは、ティアナの怒声とも取れるその声にすぐさま反応する。
 そして、ティアナは、視線を共に連れてきた少女へと向けた。
 少女は、未だに身体を抱きしめて、震えていた。何度も肩が上下して、息を呑む音や、鼻を啜る音が聞こえてくる。


 どれだけのショックだっただろうか。どれだけの恐怖であっただろうか。
 こんな物が、彼女の救いになるのだろうか。ここに、連れて来るべきではなかったのではないか?
 だが、それはもはや、後の祭りだ。起きてしまった事は戻らない。


「…大丈夫?」
「…っ…」


 ティアナの問いかけに、少女は身を震わせるのを止めた。一瞬、震えが止まったが、また震え出す。それから、震えた身体を抱きかかえながら少女は立ち上がって、小さく頷いた。
 その様子に、明らかに大丈夫じゃないと思いながらも、何も出来ない。
 その無力感に、ティアナはただ、その少女に背を向ける事しか出来なかった。


 雪が、静かに降り始めた…。この地に満ちた悲しみを埋めるかのように…深々と…。
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