次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第6話 Bpart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第6話「純真 -Bpart-」



「フェイトさんッ!! 大丈夫ですか!?」


 フェイトが少女を抱きしめ、慰めている所にティアナとスバルが駆けつける。ティアナがフェイトに呼びかけながら、その辺りに耳や目を押さえる人を見て、それからフェイトを見る。
 そして、そこで戸惑うような表情を浮かべる。今、一体どのような状況になっているのか、少し理解が追い付かない。
 ティアナの呼ぶ声に、耳がまだ完全に回復仕切ってないフェイトは、僅かに響いた音に振り向き、そこでようやくティアナとスバルを確認して。


「…ティアナに…スバル…? ごめん。耳がよく聞こえないんだ。念話でお願い出来るかな?」


 僅かに苦笑いを浮かべて返すフェイトに、ティアナは思わず、フェイトの腕に抱かれている子を睨んだ。睨まれた少女は身を竦めたが、すぐに、頭を下げて、俯いた。
 俯いた、とは見えたが、どうやら、それは頭を下げているようだった。少なくとも、謝罪の意志があるのだろう、とティアナは判断し、思わず、溜息を吐く。


《大丈夫なんですか?》
《致命的な物じゃないから大丈夫…。それより、私はこれからこの子となのはの所に向かうよ》
《な、何言ってるんですか!? 耳と目がやられたんでしょう? そんな状態で行ったらっ!?》
《この子と、約束したんだ》


 ティアナの問いかけに、フェイトは問題が無いように返す。そして、正直とんでもない、と思うような事を言い出した。
 今のフェイトは、明らかに目の焦点が合っていないし、念話でなければ会話も出来ない。この状態でフェイトを行かせるのは余りにも危険だ。そう思い、咎めようとしたスバルに、フェイトは腕に抱いた少女の頭を撫でながら、強く言い切った。


《この子は、何もわからないんだ。自分がなんなのか、どうすれば良いのか、どこに行けば良いのか。ただ、呼ばれた場所がある。ただ、そこに行きたいだけなんだ。…だから、行かせてあげたいんだ。じゃないと、この子の不安は埋められない》


 フェイトの脳裏に、過去の記憶が浮かんでいた。それは、あの日、母親であるプレシアに捨てられた時の記憶だ。自らが「アリシア」のクローンだと知り、本当の娘でないと言われ、拒絶された。
 その時、フェイトは全てを見失った。何をすれば良いのかもわからず、ただ、空虚だけが彼女を満たしていた。
 あの時の空虚感を、フェイトは忘れる事が出来ない。自分の名を呼んでくれて、信じてくれる人がいなかったら、立ち上がる事すら出来なかったのではないだろうか、と思う程だ。
 この子は、その時の自分と似ている。ただ、彼女には、誰も信じてくれる人がいない。彼女には…「名前」すらない。何もわからず、何を持っているのかもわからず、本当に、ただ、何も無くて。
 あの時、自分に何も無いと知った時の空虚感を知るフェイトは、この子を支えたいと願う。そして、今、この子が唯一、感じ取れる物の下へ連れて行ってあげたいと願う。
 それが、良い方向に転がるか、悪い方向に転がるかは分からない。だが、このままでは進めない。このままでは、何も変わらないから。


《…フェイト…》
《大丈夫…約束、したからね》


 不安気にフェイトを見る少女を、フェイトは、優しく笑みを浮かべて頭を撫でる。
 それを聞いたティアナとスバルは思わず、顔を俯かせた。フェイトの言っている事は分からないでもない。それに、実際フェイトもそういった経験をしたのだ。自分達より、その事はわかっているのだろう。


 だが、だからといって行かせるわけにはいかない。


《フェイトさん。確かに、言いたい事はわかります。ですけど、賛成出来ません》
《ティアナ…でも、私はどうしてもこの子を》
《だから。私が連れて行きます。フェイトさんはここに残ってください》
「…え?」


 ティアナの言葉にフェイトはよほど驚いたのか、念話ではなく、喉からの声が出てしまった。
 それに、呆れたように鼻を鳴らして、ティアナはフェイトの腕に抱かれている少女に目を向けた。


《…言ってる事わかりますけど、今のフェイトさんじゃ荷が重いでしょう。だったら、私が行きます。フェイトさんはここで休んで、回復してから来てください》
《で、でも、なのはの事もあるし…》
《だからです。今のフェイトさんは、正直足手纏いです。普段のフェイトさんならいざ知れず、目と耳が回復しきってない貴方が行った所で何が出来るんですか》


 それに、とティアナは前置きをするかのように告げてから、フェイトに告げる。


《なのはさんが心配なのは、私もだってそうなんですよ》
《…ティアナ…》
《自分一人で突っ走らないでください。…確かに私が出来る事なんか、たかが知れてるかもしれませんけど…それでも、やる前から諦めたくないですから》


 そう言ってから、ティアナは片膝をついて、少女と視線を合わせる。少女はティアナに僅かに躊躇するような視線を向ける。それに、ティアナは真っ直ぐと少女に視線を向ける。


「フェイトさんは、貴方の魔法で耳と目が使えなくなってる。それはわかるわね?」
「……」


 ティアナの問いかけに、少女は眉を歪めて、それから、小さく頷いた。それは、この少女が自分が何をしてしまったのかを理解しているという事だ。
 それを確認してから、更にティアナは少女への問いかけを続ける。


「ここから先は、危険なの、わかる? 危険が待ってるの。貴方はそこに行きたい。フェイトさんは貴方を連れて行くと言っている。でも、そこに貴方は今のフェイトさんを連れて行って良いの?」
「…っ…」


 その言葉に、少女がフェイトへと見上げるように視線を上げた。フェイトはやや、戸惑ったようにティアナと少女を交互に見ている。
 ティアナは、少女の頬へと手を伸ばした。少女はその手に、僅かに怯えたように身を震わせる。それにティアナは、一度手を止める。それに、少女はしばらくティアナの手を見ていたが、何もされないのに、身体の震えを止めた。
 その震えが止まってから、そっと、ティアナは少女の頬を撫でた。


「駄目よね?」
「…」


 少女は、ティアナの言葉を肯定するように頷く。だが、その表情は明らかに苦しそうだ。行きたくても、行ってはいけない。目の前に、恋い焦がれる物があるのに、そこを諦めろと言われたと思って。


「だから…私と行く?」
「…っ!?」
「アンタの行く先に、私の助けたい人がいる筈。だから、私は行く。アンタも、行きたくて仕様がないんでしょう?」


 ティアナの言葉に、少女は大きく頷く。それに、ティアナは少女の頬を撫でていた手を、頭へと。そして、軽く撫でるように優しく叩く。赤子をあやすように、何度か叩いて。


「じゃあ、行くわよ」
「…っ!」


 少女は再び、大きく頷いて。それから、フェイトを見上げて、そっと、フェイトの手を自分の身体から離した。それに、フェイトが驚いたように少女へと視線を向けて、そして、ティアナへと映した。
 何かを言いかけて、フェイトは唇を閉ざした。本当は自分が行きたいのだろう。だが、わかっているのだ。こんな状態で自分が行っても足手纏いになる可能性が大きいというのは。


《…ティアナ…ごめん》
《謝らないでくださいよ》
《…うん。なのはと…その子をお願い》


 フェイトの念話の返答は、大きく頷く事で返した。そこで、ティアナはスバルへと視線を向けた。そこには、笑みを浮かべるスバルがいる。
 それにティアナはやや呆れたように、だが、それでいて笑みを浮かべて。


「アンタも来る?」
「当然。なのはさんが危ないのに、黙って見てらんないよ」
「やれやれ…。今日休暇だったんでしょう? まったく、ご苦労様だわ」


 軽く手を振ってから、ティアナは軽く手を挙げた。それを見たスバルは、笑みを浮かべてティアナの手と自分の手をタッチさせた。
 パンッ、と良い音が鳴り、互いの顔には笑みが浮かぶ。ここから先、何が待っているかわからない。自分達に何が出来るかわからない。
 それでも、行くと決めた。再び、この二人で。


「……」


 そんな二人を、見上げるのは少女。その視線に気づいたのか、スバルは、少女に視線を向け、手を差し出して。


「私、スバル。スバル・ナカジマだよ」
「……」


 「スバル」。と少女の唇が動く。その仕草に、スバルはやや、不思議そうな顔をして、それから、何かに気づいたような表情をして、ティアナに視線を向けた。
 それに、ティアナは、スバルの考えを理解したのか、やや間を置いてから頷いた。
 スバルも気づいたのだろう。この子が声を出せないという事に。それに、スバルは不憫そうに、少女を見た。


「…行くわよ」
「う、うん」
「……」


 ティアナの言葉に、スバルがやや、少女を気遣うように見ながら応える。少女はティアナの言葉に反応して、表情を険しくさせ、大きく息を吐いている。


《フェイトさん。転送の方、お願い出来ますか?》
《わかったよ》


 ティアナの念話に応えて、フェイトが装置を起動させ、座標を入力する。
 フェイトはあの世界の座標を忘れた事はない。あの事件は、未だに忘れる事が出来ないからだ。
 そしてフェイトの操作が終わるのと同時に、転送の為に発生した光が辺りを照らす。そして、光は、全ての始まりの地へと導いていく……。
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