次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第6話 Apart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
 転送ポートの前に立ち塞がるスバルは、思わず、背筋が震えるが抑えられなかった。


「…何なの、あの子は…」


 スバルの眼前で、こちらに飛行しながら突っ込んでくる少女が見える。彼女の後ろには、耳と目を押さえ、蹲っている現地の局員達の姿がある。
 スバルは距離がまだ遠かった為、目も、耳も無事だ。あの瞬間、少女は圧縮した魔力を解放し、目が眩む程の閃光と轟音を発生させた。
 予め、飛行魔法を行使している魔導師がいる、と知った局員が誘導し、人も、車も止められていた為、交通事故などの被害は発生していない。
 だが、それでも、あの閃光と轟音に視角と聴覚を使えなくされた人がいる。
 その魔法を、ほぼノーチャージで放つ少女。正直言って、その魔法に込められた魔力はあまりにも膨大であり、予めチャージしていなければ考えられない程の魔力量であった。
 一瞬のチャージによる視覚と聴覚を潰す為に使われたその魔法に、スバルは戦慄を覚える。これがもし、攻撃用の砲撃魔法などであったりしたら…。
 そして、少女がこちらに突っ込んでくる。また、同じ魔法を使おうとしているのか、掌に魔力が収束している。


「させるかぁぁっ!!」


 スバルのデバイス、ローラブーツ型デバイス「マッハキャリバー」が彼女の意志に応え、「ウィングロード」を形成する。それはスバルの先天性の特殊技能であり、空中を疾走する為の足場となる。
 形成された少女の道を、マッハキャリバーに込めた魔力を爆発させるようにして疾走。それに、少女の驚愕の表情を浮かべる。
 それを確認しながら、その魔法を食い止め、少女を止めようとする為にスバルは手を伸ばした。



Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第6話「純真 -Apart-」




 浮いた感覚があった。それに、スバルは戸惑った。先ほどまで感じていた踏みしめる感覚が無い。
 それが何故なのか、スバルは理解が出来なかった。だが、腕が引っ張られるような感覚がある。
 そして、その引っ張られる感覚が消え、そのまま、スバルは地の無い空中へと身を投げ出された。


「うわぁぁああっっ!?」


 何が起きたのか。スバルはそれを理解しようと、自らを捕まえた少女の方へと視線を向けた。そこには、何かを投げ飛ばすような体勢の少女がいる。
 スバルは、自分が投げられたと気づき、驚愕する。体格の差は明らかにこちらの方が有利。だが、スバルはこうして投げられている。
 先ほど、スバルが自らを捕らえようと伸ばした手を、少女は魔法をキャンセルし、すぐにスバルの手をかわし、逆に捕らえ、そして足でスバルを浮かし、一本背負いの要領でスバルを投げ飛ばしたのだ。
 驚愕しながらスバルは宙を回る。なんとか体勢を立て直そうとするも、上手く行かない。
 そして、迫るのは地面だ。受け身を取れるか、と思考したその時だ。


「スバルッ!!」


 誰かが、自分の名を呼んだ。そして、それと同時に受け止められる感触。
 自分を空中で抱き留める誰かがそこにいた。スバルはそれが誰なのか確認しようと、視線を背後へと向けた。
 金髪をツインテールにし、黒いバリアジャケットに白いマントを纏っている女性。その手には漆黒の杖が握られている。それは、スバルも良く知る女性だ。


「フェイトさんっ!」
「スバルッ! 無事!?」
「ティアナッ!!」


 スバルを抱き留めたフェイトが、そのままスバルを地面へと下ろすのと同時に、オレンジ色の髪の親友、ティアナが駆けてきた。スバルの胸に、思わず安堵の息が零れる。間に合ったんだ、と。
 そこで、スバルは改めて、少女の姿を見た。すると、少女はフェイトの姿を見て、一瞬怯んだように後ろへと下がる。何か、罰悪そうな顔を浮かべ、すぐに申し訳なさそうな顔に変えて、フェイト達に背を向けるように振り返り、転送ポートの方へと向かう。


「待ってッ!!」


 逃げ出したその少女を追って、フェイトも駆け出す。スバルはやや呆然とするが、ティアナに肩を叩かれ、すぐに気を戻す。それから、ティアナの方へと顔を向けて、あの少女についての情報を求める事にした。


「ティアナ! あの子って…」
「なのはさんのクローンよ」
「…やっぱり。わざわざなのはさんに似てるって言うから、もしかして、とは思ってたけど…」


 ティアナからもたらされた情報に、スバルは自分の中にあった予想が正しかった事を知った。
 そして、何気なく呟いたスバルの一言に、ティアナが顔を俯かせる。そして、歯軋りの音がティアナから聞こえた。それに、スバルはティアナが激怒しているのだと察する。
 これでも、かつて相棒を務めていたのだ。相棒の感情の機敏にはそれなり察する事が出来る。


「とにかく…事情は後で説明するわ。今は追うわよ」
「うん!」


 そして、スバルとティアナはフェイトを追う為に走り出した。逃げた少女とそれを追ったフェイトに追い付く為に、限界まで速度を上げて。





 + + + + +





 スバルとティアナより先に少女を追ったフェイト。彼女は全速力で転送ポートがある角を曲がろうとしてた。
 その瞬間、フェイトは轟音と閃光が発生するのを確認した。耳が突然の轟音に麻痺し、目も僅かに霞み、その場に膝を突く。
 なんとか立ち上がり、転送ポートの方を見る。霞んだ眼では良くわからないが、自分と同じ被害を受けた人達が倒れ、耳を抑えながら蹲っているように見えた。
 そして、その更に先にトランスポーターを起動させようとしている少女らしき姿を確認した。それを見たフェイトが叫んだ。


「待ってッ!!」
「っ…!?」
「逃げないでっ!! 私の話を聞いて!! 私も貴方の話を聞くからっ!!」


 まだ、どこか耳が遠く、自分が言っている事も定かではない。彼女に届け、とただ、願いを込めてフェイトは叫ぶ。それに、少女が振り返るのがわかった。眩んだ目では詳しく見えないが、逃げる様子は無さそうだ。
 フェイトは、気を落ち着かせて、彼女に対して、ある魔法を行使した。


《念話は、わかるかな?》
「…っ…?」


 それは、念話魔法。病院内、という事もあったので、病院に居る時には少女に対して使えなかった魔法。今なら、彼女に対して使える。これなら声が出なくても、言葉を理解出来るなら意志を疎通出来る筈だ。
 少女は、突然脳に響いた声に驚くも、すぐに納得したように頷いて。


《…わかる》
《…うん。良かった。…じゃあ、聞くけどどうしてこんな事をしたの?》


 念話を通して、初めて彼女の「明確な言葉」を聞けた喜びがあったが、今はそれを感じている場合ではない。フェイトの問いかけに、少女は僅かに、戸惑ったような顔をしてから、俯いて。


《…呼んでる》
《…呼んでる?》
《わかんない。でも、呼んでる。見える。聞こえる。私じゃない、私。でも、私。でも、私じゃない。でも、わからない。わからないのに、でも呼んでる。だから、行かなきゃ》


 必死の表情で、少女はフェイトに訴えた。それに、フェイトは思案するように表情を歪めた。一体、何が呼んでいるというのだろうか? 彼女の単語から情報を読み取り、そして、推測する。


(この子は…「No.208」の子とリンクしてる…?)


 此処に来る前にティアナとした話をフェイトは思い出していた。
 ティアナが推測した通り、彼女は精神的リンクが繋がっている可能性がある。精神リンクは、感情や情報をリンクを繋いでいる者へと送る事が可能である。だが、それが見られるのは本来、使い魔と、その主という関係にしか見られない筈だ。
 しかし、推測だけで良いならば、彼女達は非常に近しい存在だ。何らかの繋がりが生じても何らおかしく無いのかもしれない。
 そして、何より彼女等は「プロジェクトF」によって産み出された。自分が本来、オリジナルが持っていなかった魔力を持って生まれたように、彼女等もまた、何らかの能力を得て産まれたのかもしれない。


《だから、行くの?》
《…知りたい。何も、わからないから…だから…フェイト…お願い…止めないで…》


 やや回復してきた目が、少女の表情を見る。泣きそうな顔をしながら、少女はフェイトに念話で訴えていた。
 それに、フェイトは心が痛んだ。この子は、何もわからなくて不安だった。いきなり捨てられて、なにもわからない、そんな状態にいて、彼女はどれだけ心を不安に落としたのだろうか。
 そんな少女が、震えながら、自分に訴えている。知りたい、と。行かなければいけない、と。知らなければ、不安に押しつぶされてしまいそうだったのだろう。
 どれだけ、それは恐ろしい事だろうか。そこで、ふと、フェイトはわき上がった疑問を少女に問いかけた。


《…どうして、この人達を傷つけなかったの? 貴方なら魔法で倒す事も出来たでしょう?》
《…痛いのは、駄目…だから、駄目、と、思った…から…》


 あぁ…。こんなにも、この子は優しい。ただ、わからないから、不安で、それで、こうするしか無かった。声が無いから、伝える術が無かったから。だから、不安に怯えながらも、こうしてここまで来たのだろう。
 決して褒められた行為でも、許される行為でもない。だが、彼女は決して、誰かを傷付けようとしなかった。全て、視界と耳を使えなくしただけだ。それも、一時的な物だ。だから良いというわけでは無いが、少なくとも、悪意は無い。追い詰められた際の過剰防衛とも言える。
 だから、フェイトは思う。人を傷付けようとしなかったこの子を信じてみよう、と、心の底からそう思った。


「…なら、行こう」
「…っ…!?」
「私が、連れて行ってあげる」
「……」
「だから…迷惑かけた人達に謝ろうね?」


 念話ではなく、自らの声で伝える。その方が気持ちを伝えやすいと、そう思ったから。
 フェイトの言葉に、少女は頷いた。そして、抑えきれなかった感情が彼女の瞳から涙を零した。
 何度も、声が出ぬ唇を動かし「ごめんなさい」と。しゃくりを上げ、涙を何度も拭いながら。
 そんな少女を、フェイトは優しく抱いて、その頭を撫でるのであった…。
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