次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第5話 Apart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
 それは強烈な「思い」だった。
 だが、それは彼女の物ではない。一方的に押しつけられる物に近い。
 少女の心のから産まれた物ではないのに、少女の心がそう感じたように、少女の心に響いてくる。
 そして、脳裏に情景を描き出されれていく。脳が何かによって浸食されるような感覚に、少女は不快感と拒絶感を覚え、その感覚が、頭痛を引き起こす。


「――ッッッ!?…ッ!?…ッッ!!!」」
「!?ちょ、ちょっとどうしたのよっ!?」


 先ほどまで、彼女と話をしていたティアナが心配そうに少女の肩を揺さぶり、正気を確かめる。
 だけど、少女は喘ぐしか出来ない。目を固く閉じて、頭を抱えて、歯を食いしばっていた。
 少女の閉じた視界に、見えない筈の何かの光景が見えた。
 それは、雪が積もった場所だ。そして、そこに驚いた顔の女の人が見える。
 その女の人を見ていると、心が憎しみに染まっていく。嫌い、憎い、殺したい、壊したい…繰り返される不快な単語に、少女は拒絶するように頭を振り乱した。


「――――ッッッッ!!!!!」


 声が出れば、喉が潰れんばかりの咆哮を上げていただろう。ただ、喘ぎながら、少女は苦しみに身を震わせる事しか出来なかった。




Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第5話「暗転 -Apart-」




 驚愕で、声が出なかった。何かの冗談であるならば、どれだけ良かった事か。
 だが、高町なのはの目の前に存在する少女は、確かにそこにいる。
 うるさく鳴り響く鼓動の音が、自分が生きている、という事をわからせる。


「…驚いてる?そうだよね。いきなり、貴方のクローンです、って言われればね?でもね、わかるでしょう?この顔が、この声が、この姿が!全部証明してるでしょっ!!」


 それは狂喜。狂気する程の歓喜に少女は身を震わせながら叫んだ。これを笑わずにして、何を笑え、という程までに、叫んだ後に彼女は笑う。
 その笑う様に、なのはが覚える感情は戸惑いの感情だけだ。理解が出来ない者がそこにいる。理解を拒みたい者がそこにいる。思わず、一歩、後ずさる。
 だが、逃げられない。なのはには、護らなければならない者がいるのだから。彼女を護る為に、逃げるわけにはいかない。


「…ヴィヴィオはどこ」
「…さぁ?」


 なのはの問いに、少女は薄ら笑う。なのはを嘲笑うかのように、ただ、感情を凍えさせるような笑みで。それに、なのはは呑まれそうになる。目の前にいる彼女が、あまりにも寒く、冷たく、暗く…それに飲み込まれてしまいそうで。
 自分を奮い立たせる為に、強く手を握った。握った手の先には、長年の相棒、インテリジェントデバイス「レイジングハート」を握りしめて。


「…ヴィヴィオを、返して」
「嫌だ、と言ったら?」
「…何が目的なの?貴方は、一体」
「…私の目的、か」


 なのはの問いに、少女は恍惚とした笑みを浮かべた。愉快、という感情に歯止めがかからなくなり、それが表情に表れていく。ただ、愉快と少女は笑う。狂気すら混ぜ込み、ただ、少女は笑う。
 そして、抑制が壊れたようにその少女は片手で顔を覆い隠しながら笑い出した。


「私の目的はね!オリジナルであるお前を越える事!!お前を倒せば私はパパにもっと愛して貰える!!だから…」


 一瞬の間をおいて、少女がなのはと同じように手に「アクゼリュスハート」を握る。
 そして、濃桃色の魔力光が迸るのと同時に、少女の手には、銀色の槍が握られ、その身に纏う衣装が漆黒のバリアジャケットへと変化する。
 狂気に見開いた目で、なのはを見据えて。


「ここで、倒れろッ!!」
「ッ!レイジングハートッ!!」


 なのはも応戦する意志を見せ、その手に杖が現れる。少女の持つ、銀色の槍と似た金色の杖を握りしめ、少女と同じく、その身に纏う衣装を純白のバリアジャケットへと変化させ、少女を警戒するように見る。
 交錯する視線。互いに、互いの存在を認識し…。


「…一応、名乗っておくよ。私は…アネモネ。覚えておいてね。今日、貴方を負かすから!!」
「…っ!!」
「ヴィヴィオだっけ?あの子を助けたかったら…私に勝ってみなよ。ただ、全力でさぁっ!!」


 もはや、それは避けられぬ激突。少なくとも、アネモネと名乗った彼女が産まれたその瞬間から、それは定められていたのだろう。故に、これは必然。


「アクセル!」
「スマッシュ!」
「「シューターッ!!」


 互いに初手を繰り出し、その戦いは開幕を告げた…。




++++++




 その開幕を、当事者である彼女の他にもう一人の人物が見ていた。
 それは、病院にいる、もう一人の「高町なのは」に連なる者。脳を侵される不快感と拒絶感に苦しみ、喘ぎながらそれを見ていた。
 正確には、自らの意志ではあなく、見せられた物だったのだが、それでも、この少女は見ていた。


「…っ…」
「大丈夫!?」


 荒く息を吐きながら、胸を押さえる少女をティアナは支える。何か体調が悪くなったのかもしれない。気が動転していて、ナースコールを押すのを忘れていた。それを思い出し、ナースコールのボタンを押そうとしたティアナの手を、少女が押しとどめた。


「えっ!?」
「…っ…!」
「押すな、って?でも、アンタ…」
「っ…!…っ!!」


 心配するティアナに、その少女は訴えるように唇を動かし続ける。だが、少女は焦っているのもあり、ティアナは彼女が何を伝えたいのかをさっぱり理解する事が出来ない。
 何度か、少女がティアナに向けて意志を伝えようとしたが、何か、意を決したように手についていた点滴を無理矢理外した。
 その突然の行動にティアナは目を見開き、その行動を抑えようとする。


「ちょっ!?何してるのよアンタッ!!」


 少女を掴もうと、ティアナが手を伸ばした瞬間、少女の身体がその手を弾き、そのまま後ろへと飛び退くように跳ねる。その動きにティアナは思わず、目を見開く。
 ティアナが驚愕に硬直している間に、少女は申し訳なさそうな表情を浮かべ、軽く頭を下げてから病室を飛び出した。


「待ちなさいッ!!」


 ティアナが叫び、少女を追おうと病室を出た時、既に彼女は曲がり角を曲がり、どこかへと走り去っていく。彼女のさっきの動き、そして、もしも、彼女が「なのは」と同等の魔力を持っているなら容易に逃走を許す可能性がある。それに、思わずティアナは舌打ちをする。
 それを追う為に走りだそうとしたとき、ティアナの所持していた通信用デバイスから着信を知らせる振動。それに苛つきながらも、走り出しながら通信用デバイスを操作して、通信に出る。


『もしもし!ティアナ!スバルだけど!』
「スバル!?今忙しい!後に…」
『後になんか出来ないよっ!なのはさんが大変なんだっ!!』
「…っ!?なのはさんが!?どういう事!?」


 道中、入院患者や看護師に奇異の目で見られたり、咎められたりもしたが、それでもティアナは走る。通信用デバイスから聞こえてくる親友から告げられた事態に、どうしてこうも最近は面倒な事ばかり重なるのか、と悪態を吐きながらも。


『ヴィヴィオが誘拐されたんだ!それで犯人の所に一人で…!一人で行かないとヴィヴィオを殺すって脅されて…』
「ヴィヴィオがッ!?」
『どうしようティアナ、私、もう、頭真っ白で!』
「落ち着きなさいスバル!いいから状況は!他に何かわからないの!?」


 舌打ちをしたいが、舌打ちする時間すら惜しい。困惑した声を挙げる友人に怒鳴りつけるように問いかけを叩き付ける。それから、僅かな間を置いて。


『場所しか書いてない!』
「どこっ!?」
『えと、8年前、なのはさんが撃墜された場所…って』
「…ちょっと待ちなさい。それ、本当に?」


 スバルからもたらされた情報に、ティアナは思わず足を止めてしまった。その脳裏にはある可能性が浮かび上がってくる。
 どうして、こうも面倒な事が重なるのか?だが、重なるのは…それが、全て、繋がっているのだとしたら?
 ヴィヴィオの誘拐による、なのはの誘導。保護していたなのはのクローンの逃亡。
 そして、指定された呼び出しの地。それは、なのはのクローンが産まれる要因になった地と言っても良い。そこに呼び出されたなのはに呼応するかのように逃亡したクローン。
 そして、過ぎったのは最悪の考え。なのはを誘い出した相手が、もしも、ジーク・インプレッサが産み出した例の「No.208」のクローンだったら?
 考えすぎかもしれない。だが、可能性がゼロな訳ではない。むしろ、そうなるのが自然とさえ思える。もし、もしもそうなのだとしたら…。


「最悪じゃないのっ!!」


 現状の状況に、苛立ちを隠し切れずティアナは叫ぶのであった。
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