次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第3話 Bpart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第3話「血塗れの月下 -Bpart-」




 撃ち上げられたエリオを、フリードの背に乗るキャロはフリードをエリオの下に回り込むようにして捕まえ、キャロはエリオをその手に掴み、自らの方へと引き寄せようとした。
 だが、エリオの意識は既に失われており、その力を失った身体は酷く重い物と化していた。だが、それでも脅威が目下にいるのだ。危機的な状況は時に人に大いなる力を与える。
 この人を護りたい。その思いが実ったのか、キャロは普段、出せるとは思えない程の力でエリオを抱きかかえる事に成功した。すぐさま、彼の容態を確認するために、キャロはエリオの顔をのぞき込んだ。


「エリオ君!エリオ君っ!!」


 何度呼びかけても、エリオの意識が戻る気配は無い。その様子にキャロは不安に胸が押しつぶされそうだった。
 エリオが一人で飛び出した時、自分も一緒に行っていれば良かった、と後悔が襲ってくる。それが、正しいとは思っていない。二人で飛び出して何になったのだろうか。二人は、この事態を他の自然保護管に連絡しなければならなかったのだから。
 ならば、単独で戦闘力のあるエリオがこの場に向かうのは必然であった。わかっている。キャロにとてそれはわかっている。それでも感情が納得しない。
 口の端から零れる鮮血。意識無く閉じられた瞳と、力無き身体。その全てが恐怖の対象だった。
 彼を死なせない。そのためには、目下にいる「敵」から逃げなければならない。そのために、フリードに離脱の指示を告げようとして、キャロは見た。
 濃桃色の光の翼を広げ、こちらに向かってくる少女の姿を。


「ッ!?フリードッ!?」


 キャロの指示に応え、フリードが翼を羽ばたかせ、離脱を計る。対して、眼下の少女は銀色の槍を振るい、濃桃色の光球を具現させる。合計で10個。全ての光球はフリードに目掛けて放たれる。
 キャロも対抗するように「シューティング・レイ」と「ウィングシューター」を併用発動し、迎撃に当たらせる。だが、相手の光球の威力は自らが産み出した光球を明らかに上回り、自らの光球を打ち砕きながら接近してくる。


「くっ…!!フリードォッ!!」


 だが、ここで墜ちる訳にはいかない。今、この手に抱いている人を死なせるわけにはいかない。これ以上、この少年を傷付かせる事は絶対に許さない。例えどれだけ、絶望的な状況であろうとも諦めるわけにはいかない。
 キャロの必死な思いに応えるように、フリードも大きく翼を羽ばたかせ、自身を狙う光球を避ける。自らの背に乗る主と友を護る為に、ただ、何よりも速く飛ぶように空を舞う。
 既に応援は呼んである。時間さえ稼げればこちらに勝機の芽は潰えてはいない筈だ。ただ、それを信じてキャロとフリードは空を舞う。


 だが、ふと唐突に。執拗にフリードを落とそうとした光球が消えていった。あまりにも唐突なその事態に、キャロは動揺を隠しきれない。額から流れ落ちた汗を拭い、キャロは光球を操っていた少女を見た。


「…なのはさん?」


 先ほど、良く確認していなかった為、キャロは改めて見た少女の姿に驚きを隠せない。同時に、悟る。彼女も、エリオと同じという事を。それを理解したキャロは、先ほど、エリオが感じた物と同様の怒り。その怒りが湧いてくるのを感じた。
 それは、大事な物を穢された時に産まれる感情。ただ、静かにこちらを見つめてくる少女に、その怒りの視線を込めて睨む。
 その少女は、無表情だった。氷のように冷たい視線をキャロ達に向け、そして、銀色の槍の切っ先を向ける。同時に、槍の一部がスライドし、何かを吐き出す。
 それは、先ほど、エリオが使った物と同じ物。カードリッジシステム。1発、2発、3発……。そして計6発のカードリッジが排出され、それに見合うだけの魔力が少女の周囲に発生する。


「…ぁ…」


 その膨大な魔力に、キャロは身を竦ませた。身を、竦ませてしまった。彼女は何人かの高魔力保有者と出会っている。高町なのはを初め、フェイト・T・ハラウオンや八神はやてと言った「Sランク」の魔導師と顔を合わせた事がある。
 だが、その3人を越える程の魔力量を眼前に見せられ、キャロの眼前には「絶望」が広がっていた。
 収束していく光。カードリッジによって装填された魔力だけでなく、周囲の魔力すら貪り、喰い集めていく。地上に浮かびし小型の太陽。そう称すれば良いのだろうか。


『Starlight Breaker』


 それは、「高町なのは」が編み出した最強の1つに数えられる魔法。
 それを「高町なのは」のクローンであるこの少女が身につけていない筈が無かった。そして、その最強の一撃は、容赦無くキャロとフリードに牙を剥いた。

 それに対して、キャロは何も出来なかった。無力なキャロに残されたのは、ただ、意識を失う程の強烈な一瞬の痛み。それ以上の痛みは、無かった。いや、無いわけではないのだろう。
 ただ、感じる事が出来なくなっただけ。キャロとフリードは光に飲み込まれた。




+++++



 自らの手に持ったデバイスから、熱を排気した為に漏れた煙が周囲に散る。それに顔を顰めながら、キャロに対して「スターライトブレイカー」を撃ち込んだ少女は荒く呼吸を続けていた。
 そして、キャロとフリードが飲まれた先、地面に叩き付けられ、倒れ伏す少女と竜の姿が目の前にある。それを見て、少女は苛々とした様子で、歯を強く噛み締めた。
 彼女の目の前に映るのは、少女が少年を庇うように抱き寄せている光景。恐らく、無意識に庇ったのだろう。それを見て、少女は歯を噛み砕く程噛み締めた。


「気に、くわない」


 何故、こうも気にくわないのか、自分にもわからない。気がつけば、使うつもりが無かった最強魔法を放っていた。父はむやみに殺してはいけないと言った。彼等も欠陥があるとはいえ「選ばれた者」の力を持った者達なのだ。例え欠陥品だとしても、いずれ、その力は世界の為に使われなければならない。だから、殺す必要は無い、と。
 その父の戒めがなければ、目の前から消滅させてしまいたいほど、目の前の存在が鬱陶しい。憎たらしい。
 だが、その憎悪に染まった顔色は、すぐに一変した。それは遠距離通信による連絡。それを確認した少女は、明らかに顔色を喜色へと変えた。


『アネモネ』
「…っ!パパッ!!」
『テストは終わったかい?』
「うん!ばっちりだよ!」


 長距離通信による、父の声を聞いた少女は苛々した様子を一転させて、機嫌が良さそうに通信相手の父に元気な声を返す。父の声を聞くだけで、全ての苛々が取り払われるようだった。愛しい声を聞いて、少女はただ、笑う。


『では、帰っておいで。私の可愛いアネモネ』
「うん!」


 そして、少女は、もう地に倒れ伏した少女と少年に興味を示す事は無かった。彼女が求める物がすぐそこにあるのだから。だから、早く帰りたい、父の顔が見たい。その思いから、転送魔法を行使し、少女はその場を後にしていく。
 ただ、残されたのは静寂。その数分後、駆けつけた自然保護管によって、少年と少女が病院へと搬送された事実は、少女は知らない。知っていたとしても、もう、彼等に興味など湧かない。




++++



 ミッドチルダの病院のある病室。そこで、例の高町なのはのクローンである少女が眠っていた。
 だが、眠っていた少女は、何かに急かされるように目を開いた。開いた紫色の瞳が、天井を映す。
 キョトン、と少女は何度か瞬きをして、辺りを見渡した。そうしてから、ぼんやりとした様子で天井を見上げ直して。


「…?」


 何か、怖い夢を見ていたような気がする。そんな事を思いながら、少女はしばし、ぼんやりとし続けた。どんな夢を見ていたのか。思い出そうとしても、夢というのは記憶に残らず、そのまま消えてしまう。
 暫し、少女は何を見たのかを思い出そうとするのだが、やっぱり、思い出す事はない。少女はそのまま、視線を天井ではなく、窓に向けた。
 カーテンに閉ざされた窓は、外の風景を彼女に見せる事は無い。外から照らす太陽がカーテンを淡く光らせている。
 朝と、少女は認識する。軽く身動ぎをして、身体を起こした。ベッドから降りようとして、腕にチューブが付いているのが目に見えた。彼女に栄養を与え続けた点滴だ。それを暫し見つめて、どうすれば良いかわからずに。
 結局、どうする事も出来なくて、少女はそのままベッドへと身を倒した。天井を見上げながら、少女はただ、ぼんやりとするしかない。
 暇。それを持て余した少女は、口を開いた。何かを喋ろうとしているのだが、一向に声が出る気配が無い。どうして出ないのか、と不思議に思うも、どうして不思議に思うのかも不思議になり、不思議が、連鎖し、何もわからない状態になる。


 少女の唇が、名を紡ぐ。「フェイト」と。フェイトに会いたいな、と少女は思った。フェイトなら教えてくれるだろうか。フェイトは今何してるのだろうか。ただ、フェイトに会いたい。
 少女は、だから、昨日出会った金色の髪を持つ女性を待つ事にした。色々聞きたい事がある。知りたい事がある。何を聞こうか、それを何度も繰り返しながら、少女はただ、天井を見上げ続けるのであった。




 彼女は知らない。彼女の待つフェイトは、今、彼女と同じ存在であり、異なる存在によって傷付けられた子の下へと向かった事など。何も知らぬまま、少女はただ、平穏の時に埋もれる。
 何も知らぬ。それは、時に幸福であるという事を、今は…まだ知らぬまま…。
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2012/02/11 Sat # [ 編集 ]

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