次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
■■■スポンサーサイト
--/--/-- --スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第2話 Bpart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第2話「不安の夜 -Bpart-」



 泣き腫らした目が少々熱い。それを服の袖で拭いながら、フェイトはそっと息を吐いた。
 その仕草を、ぼんやりとした表情で少女は見上げている。高町なのはのクローンである子。改めてみると、フェイトはなのはと、この子の差異が良くわかるようになった。
 まずは髪。なのはも十分長いが、この子はもっと長い。前髪が目にかかりそうなぐらいだ。
 そして表情。高町なのはは快活で、笑顔が絶えないが、この子は、ほわほわとしているというか、とにかく、快活とは違う。
 違う、というのを感じて、フェイトは思わず、この子に申し訳ない気持ちになった。先ほどまで、自分はこの子に対して、「なのは」に似ているのに、似ていない、という事で怒りを覚えていたのだから。
 それでも、それに対して、自分を恥じたが、今はそれ以上に自分が恥ずかしい。こんなにも、彼女はなのはと違うのに。


「……?」
「…あ、えと…なに?」


 ふと、少女がフェイトの服の袖を引っ張った。フェイトは思考に没頭していたためか、それに反応するのがやや遅れた。
 少女は首を傾げて、フェイトの方を見ている。その表情はどこか心配気な表情だ。眉を寄せ、覗き込むかのようにフェイトの顔を見ている。
 表情に出ていたのだろうか?と、フェイトは思わず自分の頬を引っ張った。軽く痛い。だが、それで目が覚めた。
 自分の頬を引っ張るフェイトを見て、少女は一瞬首を傾げてから、自分もフェイトの真似をして頬を引っ張る。痛かったのか、すぐに手を離して頬をさすっている。


「…ぷっ…あは、あはは…っ!」


 それを見たフェイトは思わず笑ってしまった。可愛い仕草をする物だ、と。心が安らいで行くのを感じる。
 まさか、自分が笑われていると思っていないのか、少女はまた首を傾げている。よく首を傾げる子だ、とフェイトは思う。


「そのまま、首、曲がっちゃうよ?」


 まだ、収まり切らなかった笑いを零しながら、フェイトは少女の両頬をそっと包むように手を伸ばした。軽く撫でてやると、くすぐったそうに少女が身動ぎした。
 そのまま、フェイトは愛おしげに少女を撫でる。そこで、ふと、自分の名前を名乗っていない事に気づいた。


「私、フェイト、って言うんだ。フェイト」
「……」


 フェイトが自らの名を名乗ると、少女は唇を動かす。「フェイト」と。フェイトはそれに頷いて、もう一度「フェイト」と、と自分を指指しながら自分の名前を告げる。
 「フェイト」と、再び唇が動き、そして、ニッコリと笑みを浮かべる。自分の言った事を理解してもらった事が嬉しいのかもしれない。
 その仕草に、フェイトは愛しさを感じずにはいられない。たった、名前を名乗って、彼女がそれを、声は無いけれど呼んで。私がそれを理解してあげただけ。
 それでも、この少女は微笑む。本当に幸せそうに。だからこそ、フェイトも幸せになる。改めて、意志が通じる事の尊さを感じる。


(わかりあう事って、凄い、大事な事なんだね)


 フェイトは、少女を愛おしげに見つめながら、過去の情景に意識を飛ばしていた。それは、高町なのはと共に紡いだ「最初の記憶」。
 頑なに、彼女を拒み、ただ母の為に犯罪を犯し続けていた自分に、必死に語りかけてくれた今の親友。その時、彼女が私の事を「理解」しようとしてくれなかったら、私はどうなっていたのだろう?
 理解しようとしてくれた事が、どれだけの幸せだったんだろう。私は、どれだけ幸せだったんだろう。
 理解してくれようとしてくれた人達が、今の私を支えてくれる。私を信じてくれる人達が、今の私をここに居させてくれる。


(…知ってた筈なのに、わかっていた筈なのに、ね)


 こんなにも幸せだったのに、この子の「不幸」を見るまで、それを忘れていた自分が少し、恥ずかしかった。こんなにも、私は幸せだったんだ、と。
 皮肉な物だ。自分は不幸だと少なからず思っていたが、自分より「不幸」だと思う物を見つけたら、自分は幸福なのだと思ってしまうとは。


「…ありがと」
「…?」
「うぅん。気にしないで」


 思い出させてくれてありがとう。フェイトのその思いを込めた御礼の言葉は、少女には何の事だか理解が出来ない。また、首を傾げている。その仕草を愛らしく思いながら、フェイトは笑みを浮かべて少女の頭を優しく撫でてあげる。
 それに、瞳を閉じて少女は気持ちよさそうに受け入れている。まるで子犬だ、とフェイトは思う。なのはも、頭を撫でてあげたらこんな反応するだろうか?今度試してみよう、とフェイトは思う。
 すると、少女はそのまま、寝息を立てて、眠りに付いてしまった。
 そういえば、まだ体力も完全に回復し切っていなかったか、とフェイトは自分の失敗に内心舌打ちをする。
 あどけなさが残る表情で、眠っている少女の頬を撫でる。くすぐったそうに身動ぎをするので、そっと、フェイトは手を離して布団をかけ直してあげた。


「…行ってくるよ」


 フェイトは、もう一度少女に微笑みかけて、背を向けた。そして、背を向けたフェイトの表情からは笑みは消えていた。あるのは、決意を秘めた表情。
 まだ、この事件は終わっていない。まだ、この子の後に続くクローンが存在している事。この子を産み出し、この子の「姉妹」とも言える子達を虐殺し続けた男がいる。
 その二人をどうにかする事が、今、自分に出来る事なのだから。
 決意を胸に秘め、フェイトは、音を立てぬように、そっと病室を後にするのであった。



+++++



 一方、その頃、第61管理世界「スプールス」にて。
 自然が多く残るこの世界では、自然保護隊員として任に就く局員がいる。その内の一人、白銀の飛竜に跨り、月夜の空を舞う少年は顔を顰めていた。


「…酷い」


 少年-エリオ・モンディアル-の前に広がった光景は、明らかに虐殺としか言いようが無い殺し方をされた獣がいた。第61管理世界「スプールス」は前述の通り、自然が多く残る世界であり、多くの獣達が生息している。
 エリオの目の前で悲惨な亡骸となっている獣は、この「スプールス」の食物連鎖において頂点の位に位置する獣である。武装局員が小隊単位でなければ対応が出来ないと言われているが、滅多に森の奥地から出てこず、エリオもこうして確認したのは指折りで数えられる程だ。
 今回、エリオが異変に気づいたのは、この世界に共に赴任した少女と共に休憩した所、鳥達が急に森から飛び立ったのだ。本来あり得ない行動から、エリオは何かがあったのだと察知し、同僚の少女に他の自然保護隊員に報告を任せてここまでやってきたからだ。
 今、この獣が奥地から出てくる時期では無い。エリオは自分が乗っていた飛竜-フリードリヒ-から降りて、亡骸へと歩み寄っていった。
 そして亡骸に僅かに黙礼をしてから、獣を調べる為に歩み寄った。すると、水が跳ねる音が耳に届く。下には、血の池が広がっていた。そうして、エリオは血の臭いを明確に意識して、思わず、吐き気が腹の底からわき上がってくるのを感じた。


「誰が…こんな酷い事を」


 明らかに、獣同士の戦いで傷付くような怪我ではない。人の手による物。密猟者かもしれない、とエリオの緊張が高まった時だ。フリードが警戒するようにある方向に視線を向けて唸り出す。


「…フリード?」


 エリオがフリードの名を呼ぶ。そこに何かがいるのを理解し、エリオは自らの腕につけた時計を撫でる。それは時計の形を待機形態としている自分の相棒「ストラーダ」がある。それをすぐさま、起動出来るように構える。
 そして、木の葉を踏む音と共に、それは姿を現した。


「へぇ…。竜だ。強いの?その竜。…君もさ…ねぇ?」


 それは、エリオと同年代の子供だった。エリオはその姿を確認して瞳を大きく見開かせた。
 月明かりに照らされてわかった子供の容姿。栗色の髪に、闇夜に溶けるような漆黒の衣を纏う少女。そして、その顔は…。


「なの、はさん?」


 ここに赴任する前に、自らに戦う術を教えてくれた教導官と同じ顔をしている少女がいる。あり得ない、とエリオは思う。自分が知る彼女はもう20程になるか、なっているかぐらいの年の筈だ。自分と同年代な訳が無い。
 エリオが呟いた名に、少女は薄く笑みを浮かべていた表情を、更に笑みの色を濃くした。愉快、そう言わんばかりに。


「へぇ、なぁんだ。「オリジナル」と知り合い?」
「っ!?まさか、君も…!?」
「「君も?」。君も、クローンなんだ。へぇ」


 エリオの驚愕の声に、少女はただ、笑うだけ。エリオは混乱するしか無かった。事態が唐突過ぎる。少女の正体も気になるが、それより、エリオには先に確認しなければならなかった事があった。


「…君が、この子を」
「あぁ、それ?弱かったから、殺しちゃった。あっさり壊れる物だね」


 なんでもないように獣を一瞥して少女が言った。その表情には、本当に何の感慨も浮かんでいない。エリオの感情に「怒り」の色が浮かぶ。命を壊して何も思わないような少女に。そして、自分の「恩人」とも言える人と同じ顔で、そのような態度を取る事が気にくわなかった。


「君を、逮捕する」
「…へぇ。面白いジョークだね。出来ると思ってるの?」
「ストラーダッ!!」
『Set up』


 エリオの宣言に、少女は薄く笑って告げる。明らかに舐めているその様子に、エリオの怒りの色が更に湧く。相棒へと力強く呼びかけ、待機状態を取っていた相棒は、エリオの背丈を超える槍へと変わる。それを握りしめ、構える。


「…だったら、私も行こうか…。『アクゼリュスハート』」
『Get set』


 少女の握った、黒曜石のような宝玉が光を放つ。そして少女の手に形成されたのは、銀色の槍。黒の宝玉をはめ込んだその形状は、エリオが目にした事があるデバイスと酷似していた。


「…レイジングハート・エクセリオン…!?」
「ははは!こっちの方が強いけどねぇっ!!あんな欠陥品が扱ってるような欠陥デバイスなんかと比べるとさぁっ!!逮捕するんだっけ?出来る物なら、してみなよっ!!」


 高らかに少女は笑う。そして、凶悪な笑みを浮かべて、少女が強く踏み込み、エリオへと飛びかかった。
スポンサーサイト
トラックバック(0)+ +コメント(0)
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第3話 Apart ≪ BACK ≪ HOME ≫ NEXT ≫ Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第2話 Apart

管理者にだけ表示を許可する
HOME
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
ブログ内検索
リンク
カテゴリー
最近のコメント

 
 
 
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。