次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第2話 Apart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
 金色は、私を抱きしめて、冷たいのか、温かいのかわからない雫を落としながら泣いていた。涙。初めて見る物の筈なのに、私はそれを知っていた。何も、知らないのに、知っている自分がいて。
 「父」は、もういない。もう、私を見てくれない。だから、どうでも良かった世界に、少しだけ興味が向けられた。この金色の髪を持つ人は、どうして、泣いているんだろう?私はどうして、「涙」を知っているのだろう?そして、それは正しい事なのか?
 問う前に、その暖かさの所為か、私は、重たくなった瞼に抗わず、目を閉じた。
 目を閉じた事によって、なお感じられる暖かさに抱かれながら…私は、また、眠りについた…。



Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第2話「不安の夜 -Apart-」




 ミッドチルダの時刻は既に夜を示し、空には双月が煌めいている。
 そのミッドチルダの一画に存在する時空管理局の医療施設。簡単に言うならば病院だ。そこに、フェイトはいた。
 フェイトは、ベッドの上で眠る少女の手を、そっと握り直した。先ほど、何気なく握った手を、少女はなかなか、離そうとしない。まるで、何かを繋ぎ止めるかのように。
 だから、フェイトはその手を離せなかった。繋いだ手から感じられる温もりは、確かに彼女の命を感じさせる。生きているという事実。それが、フェイトにとっては嬉しい事ではあった。
 だが、それでもフェイトの表情は晴れない。生きている事に安堵すると同時に、救えなかった子が、少なくとも200人はいる。自我、という物があったかすらもわからないような、そんな子供を、条件に満たさなかったという基準の下に斬り捨てられ続けた。
 それを思えば、それを為した犯人への怒りが浮かび出る。犠牲となった子達への悲しみが浮かび出る。怒りと悲しみが混ぜ合わさった感情。それが、浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返しによって、フェイトに疲労の色を醸し出させた。


「…なのは」


 フェイトは誰かの名前を呼ぶ。それは、彼女の親友の名。目の前の彼女の名前ではない。だが、関係がないわけではない。この、今目の前にいる子は、親友の「クローン」なのだから。
 年は、およそ10歳程。思わず、出会った当時の彼女の思い出してしまう。それほどまでにソックリだからだ。ソックリなのは当然の事だ。わかっていた。わかっていたのに…。
 それでも、いざ、その人物と向かい合うと、フェイトは複雑な気持ちに襲われる。親友をこんな形に利用された事。親友に対しての申し訳なさ。この全ての原因が、母親にあるという事。この少女が自分と良く似た境遇だと言う事。
 様々な考えが、巡り、巡り、そして繰り返される。 その堂々巡りに、フェイトは更なる疲労を強いられる。肉体的にも、精神的にも、フェイトは限界であった。


「…ティアナとシャーリーに、悪い事しちゃったかな」


 フェイトが、この少女をジーク・インプレッサの研究所から保護し、引き上げた後の事だ。結局、ジーク・インプレッサの姿は確認出来なかった。だが、ティアナが集めた書類の中に、どうやら「完成体」のクローンが出来上がっていたとの書類があった。
 目的を達成した。だから、あの研究所に価値はなくなった。だから、放置した。犯罪者としては3流以下だ。証拠が残れば逮捕は免れない。だからこそ、現場というのは普通、消し去る筈の物だが、それがジーク・インプレッサには無かった。
 挑発と思われても仕様がない。だが、彼にはそれだけの自信があるのだろう。
 逮捕出来るなら、してみろ、と。彼がそう思っていても不思議ではない。もし、ティアナからの情報が、真実であるならば。
 予測魔導師ランク「SS」。フェイトが所持しているのは「S+」だ。たった、一段階ランクが違うだけだが、このランク差は、無いようで高い。
 そもそも、ランク「AAA」や「S」の領域にたどり着ける魔導師達は、魔導師全体のわずかしか存在していない。そして、あまりにもランク差が離れすぎれば、低ランクの魔導師に勝ち目など存在しない。それが、魔導師達の一般常識だ。
 更に恐ろしいのは、その魔力量は、未だ、成長途中にあるという。現時点でどうなっているか、知る由は無いが、Sランク以上の魔力の保有しているのは明らかである。
 そして、戦う為に教育され続け、その全ての行程をクリアしている。潜在能力の高さは、疑えない。確実に、並の魔導師では勝てないだろう。

 現在、ティアナとシャーリーは情報を整理しつつ、ジーク・インプレッサの足取りを追っている。フェイトも手伝おうとしたのだが、このベッドの上で眠る少女も気になったし、疲れも溜まっていたのも二人にバレていたので、半ば、強制的にこの病室で少女のお見舞いをしている、という訳だ。
 だから、少し申し訳なく思ってしまう。本来、自分が抱えた事件だ。1から10、全部自分で出来るとは思ってはいないが、出来る事はしなければならない。そして、今、私は出来る事をしているのだろうか?
 そこまで思考を巡らせて、フェイトは自嘲の笑みを浮かべて、首を振った。


「…相当、参ってるな」


 自分は、働き過ぎだ、というのはなんとなく理解している。だが、ジッとしていては、心がざわめくのだ。そして、知らず知らずの内に仕事へと向かっている。それは、まるで追われるような感覚に近い。
 助けなければ、嘘になる。救いたいという思いを裏切りたくない。だから、ジッとしてられない。
 助けたいと思うのに、届かない手が憎くて、立ち止まる自分が嫌で、僅かな時間すらも、自らに休む事は許されない。やらなければ駄目だ。やらなくてはいけないのだ。そんな思いがフェイトを蝕む。


「…最近は、収まったかと思ったけど。私って、やっぱりネガティブなのかな」


 自分の性格の傾向として、やはり、後ろ向きな面がある。それで、今のように何度も悩む事がある。もう、数えられない程、悩んで、迷って、それでも続けてきた。
 そっと、フェイトは瞳を閉じて自分に囁きかける。大丈夫、と。大丈夫だ、と。今は信じてやるしか出来ない。それが、自分に出来る事だと信じて。


 その時、ふと、小さな身動ぎの音がフェイトの耳に聞こえた。自分ではない。つまり、それは自分が動いた音ではない。そして、今この病室において、動作の音を示せる者と言えば…。
 フェイトが手を握っていた少女が、ゆっくりと目を開いた。開いた瞳は、出会った当初と同じく、虚ろに力無く。その虚ろな瞳は、フェイトを映し、ぼんやりとフェイトを見つめる。
 フェイトは、一瞬震えた。水面に水滴を落とし、波紋を立てるように心にざわめきが広がっていく。
 それは、歓喜だったのか。それは、怒りだったのか。それは、悲哀だったのか。判別出来ない程、感情が入り乱れた。
 「彼女」と同じ顔をしているのに、こんなにも、力無く虚ろな表情をしていて、それに何を覚えたのだろうか。
 わからない、わからない。グチャグチャになってしまった感情に制御が付かない。
 その間にも、少女は力無く、虚ろな瞳のままこちらを見上げている。何か言わなければ、何か言わなければいけない、とフェイトは思う。だが、震えた身体は自らの言う事を聞かない。


 ただ泣き崩れたかった。歓喜なのか、悲哀なのか、憎悪なのか、もう訳がわからない感情を持て余して、ただ、涙を零す事しか出来なかった。嬉しかった。悲しかった。憎かった。全部、全部溢れ出して、抑えきれなくて…。
 嗚咽を漏らしそうにもなった。この少女が目覚めて「嬉しかった」。だけど、この少女がこんなにも「彼女」と違う姿で、なのに、同じ顔なのが凄く「憎い」。だけど、それはこの少女が原因じゃないから「悲しく」て。どうしようもならない感情の波が、フェイトを蝕む。

 何を言えば良いのか、もうわからない。頭が真っ白だ。何も考えられないまま、フェイトはただ、身を震わせて、漏れそうな嗚咽を噛み殺した。ぽたり、と握った手に、涙が落ちていく。
 何か言わなければいけないのに。そう思うのに、言うことを聞かない。それが悔しくて、悲しくてたまらない。やらなければならないのに、この子に、言ってあげたい事がたくさんあるというのに。
 だが、嗚咽を噛み殺すのが精一杯で、何も言えない。情けない、その一言に心が染まりかける。


 そんなフェイトの頬を、撫でるように触れる手があった。それは、フェイトが握っていた筈の少女の物だった。フェイトが握っていた手は、フェイトの手から離れ、そっと、フェイトの頬に触れる。
 驚いた表情で、フェイトは少女の顔を見た。そこには、虚ろな瞳のまま、見上げる少女がいた。だが、先ほどの表情とは違う。それは、悲しみの色を宿した表情。フェイトの頬に触れた手が、優しく涙の後を拭う。
 そして、少女が力無い動作で、首を振った。悲しげな表情のままで、何度も、何度も力無い動作だが、しっかりと首を振る。それを、フェイトは呆然と見ていたが、ふと、ある事に気づいた。
 少女の唇は、動いている。だが、そこからは声が出てこないという事に。その時、金槌で頭を殴られたような衝撃がフェイトの身体に駆け抜けた。


「声、が…?」


 声が出ない。つまり、この子は喋る事が出来ない。言葉が喋れないという事は、なかなか相手に思いを伝えにくい物だ。人とのコミュニケーションの多くを占めるのは「言葉」という物だからだ。
 だが、この少女には、それが無かった。声が、無かった。


(…まさか、「それ」だけなの?)


 検査の結果で、彼女が健康体なのは聞いていた。リンカーコアの有無も、正確な魔力量こそ測定はしていないが、存在は確認されていた。
 そこまでは特に問題が無かった。だから、この子が捨てられた原因がハッキリとしていなかったが、まさか、「声が出ない」という理由だけで、捨てられたのだとしたら…。
 いや、そんな仮定は今はどうでも良い。今、重要なのは、自分の頬を撫でて、涙を拭いながら、首を振り、必死に何かを伝えようとする少女。


「何?何を、言いたいの?」


 フェイトの問いかけに、少女は唇の動きを、何度も、何度も繰り返す。フェイトはそこから何を言おうとしているのかを読み取ろうとする。少女の唇は動く。だが、フェイトはわからない。理解しようとしているのに、こうも分かり合えない。
 言葉が無い、という距離が、非常にもどかしかった。


「ごめんね。もう1回、最初から…ゆっくりお願い」


 フェイトの何度目かの要求かにわからないお願いにも、少女は苦にしたわけでもなく、必死に唇を動かし続ける。最初の唇の動きから、それは「あ」と発音する物だと言う事がわかった。

「…「あ」?…「さ」…いや…「た」…「だ」?」


 「だ」で合っているかどうかを問うフェイトに、少女は頷いた。次に少女の唇の動きが示した音は「い」の発音の音。「だ」に続き、「い」に続く言葉。次に、「お」の発音を示す唇の動きが来た。


「…お?…と?」


 フェイトが、一通りの発音を聞いていくが、少女は首を振った。そして、もう一度、「だ」から「い」へ。そして「い」と「お」へと唇の動きを示す。明らかに「だ」から「い」へ行く速さではなかった。つまり、三文字目は2つの文字がくっつく物であると。フェイトはそう解釈して、言葉を探す。


「…だ…い…じょ…」


 次に、少女が動かした唇は「う」を示し、一度、唇を閉じてから、再び「う」と発音を示す唇の動きを。それを見て、フェイトは目を大きく見開いた。そして、少女がもう一度、最初から、唇を動かした。
 「だ」から始まり、「い」へ。そして「じょ」へ。次に「う」で、最後に「ぶ」が来て。
 それを繋げて…「だいじょうぶ」と少女は、先ほどから呟き続けていたのだと、ようやく理解して。フェイトは、涙を零しながらも、微笑んだ。


「うん…「だいじょうぶ」、だよ。「だいじょうぶ」だよ…!」


 少女は、フェイトのその言葉に、満面の笑みを浮かべるのであった…。
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