次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第1話 Bpart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第1話「追跡 -Bpart-」



 管理世界の中の1つ。そこには鬱蒼と茂る森がある。その森の中に、その洋館は佇んでいた。人の手入れが行き届いていないとわかる惨状。庭は荒れ放題で、周りの自然とほぼ一体化しており、そこに手入れされていた時にはあっただろう美しさは欠片すらもない。
 その洋館の入り口の前、木々に身を隠すようにしながら、二人の人物がいた。
 それは、フェイトとティアナだ。彼女等は魔法で作り上げられたバリアジャケットに身に纏い、息を殺しながら、そっと、屋敷を観察していた。その途中で、ふと、フェイトが口を開いた。


「ジーク・インプレッサ。彼は、魔法狂信者、と知人から聞いてる。その主義から、なのはに対して強烈な信仰心を持っていた。だけど、なのはの撃墜事故を切欠に、プロジェクトFに手を出した事から、自らの信仰心を満たす為の「存在」を作る事にしたのだと思う。彼がなのはに求めていたのは、完璧だから。だから、撃墜という汚点を残したなのはに信仰を見いだせなくなったから、その行動に走ったのではないか、って」
「で。それで、そのジーク・インプレッサの居場所が…ここですか?」
「シャーリーの情報がビンゴ、ならね」


 この古びた洋館は、立ち位置的に別荘だと考えられるのだが、それにしては、手入れが行き届いてはいない。人気の無さがありありと浮かんでいる。本当に、シャーリーの情報が正しかったのだろうか、とティアナは首を傾げてしまう。


「…カモフラージュ、ですかね?」
「わからない。とにかく…行ってみようか」


そう言って、フェイトは手に持った相棒であるインテリジェントデバイス「バルディッシュ」を握り直しながら立ち上がった。それに合わせるように、ティアナも手に持っていた相棒であるインテリジェントデバイス「クロスミラージュ」を構え直し、洋館へと近づいていく。


「正面から行くんですか?」
「いや、裏口を探そう。もしかしたら、何か仕掛けでもあるかもしれない」


 フェイトの言葉に、ティアナは頷いて了解の意を示す。そして、まず、二人は屋敷の正面を避けて、屋敷の裏口へと回った。そこで、裏口の扉を発見した。互いに目を合わせ、無言のコンタクトを取る。
 そうしてから、まず、ティアナが扉の横の壁に張り付き、フェイトが、逆側へと立つ。フェイトが扉の取っ手を取り、ティアナへと視線を向ける。その視線に込められた意味を理解し、ティアナが頷きを返す。
 フェイトが、取っ手を握った手に力を込め、音が響かぬように、そっと、扉を開いた。
 僅かに開いた扉の隙間から、フェイトが中の様子を伺う。見たところ、人のいる気配は感じない。しばし、それを確認してから、フェイトは扉を開き、侵入した。それに続くようにティアナが侵入し、再び、扉が音も無く閉められた。


「…何も、ありませんね」
「罠も…無さそうですけど」


 短いやり取りをかわし、二人は物音を立てぬように屋敷の中へと進んでいく。だがどこまで進んでも、人の気配を感じる事は出来ない。
 留守?それとも…潜んでいるのか。緊張からか、ティアナの額には僅かに、汗が浮かぶ。
 ふと、フェイトの方へと視線を向けると、能面のように無表情なフェイトの姿があった。
 その感情を殺した雰囲気に、焦っているのだろう、とティアナは思う。それだけフェイトにとって、この犯罪者は捕らえたい。仮定の段階ではあるが、自分の親友のクローンを作られている可能性があるから。
 事実だったら、彼女は、どんな顔をするのだろうか。自分の想像力では思い浮かばない。
 そもそも、彼女を産み出し、この事件にも関与している「プロジェクトF」とは、他ならぬ彼女の母が完成させた物なのだから。
 母の罪。それによって産み出される悲劇。それにフェイトがどれだけ心を痛めているか、ティアナには想像がつかない。どれだけの痛みなのか。凡人と言える自分にはわからない。特別な出生をしたわけでも、恵まれた魔力量を持っているわけでもない。ただ肉親の死があった。ただ、それぐらいで。


「ティアナ」
「はい」


 僅かに、気を抜いていたようだった。不意にフェイトに声をかけられて、ティアナはそれがばれぬように返答するのが一杯一杯だった。よく、身体が跳ねたりしなかった物だ、と思う。
 ティアナはフェイトの方へと視線を向けた。そして、そこに広がっていたのは、明らかに、研究室、とも呼ぶべき機材が散乱した部屋だった。
 生体ポッドに、計測機器類、散乱した書類…。間違い無かった。


「…フェイトさん」
「…調べてみよう」


 慎重に、フェイトは部屋の中へと身を滑らせた。それに続くようにティアナも部屋へと入る。生体ポッドの中身は空だ。幾つか並んでいたが、全て空のまま。
 フェイトは床に落ちていた書類を拾い上げ、内容を確認しているようだった。ティアナはそれを横目で確認しつつ、部屋の内部を探っていく。


「No.205…廃棄。No.206…廃棄…」


 フェイトが淡々とした声で書類を読み上げていく。その声に、ティアナは背筋が凍りそうな感覚に襲われていた。激怒、などというレベルではない。言葉に表す事が困難な程、フェイトから異様な怒りの感情が放たれている。直接向けられていないにしても、これは身体を萎縮させてしまう。


「No.207…廃棄。これで、最後…?」


 その呟きを最後に、フェイトが沈黙した。声の代わりに漏れた音は、書類を握りつぶす音。それから、拳を固く握りしめ、身体を震わせる。それに、ティアナは何も言う事が出来なかった。その気配に気圧され、一歩下がった時だ。
 足下にあった書類に気づかず、そのまま、バランスを崩し、壁に手を突いてしまった。その時、何かのボタンのような物を押す。それを見たティアナは思考が真っ白になった。
 これがもし、何か音を出すような物だとしたら。もし、目標の犯人が別室にいて、気づかれてしまう要因になる物だとしたら。その想像に、背筋が凍り付く。

 同時に、ポットの1つが装置から離されて、ポットの中身がアームによって運ばれていく。そして、運ばれた先には、まるで、ゴミを投げ入れるダストシュートのような物が見えた。そして、ポットの中身が開く。
 中身に何も入っていなかった為、何も起きないが、もし、この中に誰かが入っていたのならば?
 その光景を、無言のまま、フェイトとティアナは見つめていた。そして、しばらくしてから、再びポットはアームよって先ほどの位置に戻される。


「フェイトさん…」
「…最後に廃棄されたのが…3日前?それなら…もしかして…」
「フェイトさん!」


 指示を仰ごうと、フェイトの方を見ると、フェイトは手の中にあった資料を見つめながら、小さく呟きを漏らしている。ティアナの声が聞こえていないようだ。もう一度、フェイトに声を届ける為に、彼女の傍によって、彼女の肩を掴みながら彼女の名前を呼ぶ。
 それにようやく、ティアナに呼ばれたのに気づいたのか、フェイトがティアナへと顔を向けて。


「ティアナ、ごめん…。どう思う?」
「ただ、単純に投げ捨てたようにも思えますけど…最後に廃棄されたのが3日前ですか?」
「…もしかしたら、まだ生きてるかも…っ」
「だったら行ってください。私はここの資料を集めます」


 ティアナの返答に、フェイトは顔を上げてティアナを見る。その顔には、不安の色が見え隠れしていた。一人で残して行って大丈夫なのか、どうかと。
 それに、ティアナは小さく溜息を零して、手に持ったクロスミラージュを手の中で一度回転させてからトリガーに指をかけて。
 

「大丈夫ですよ。なのはさんに鍛えられたんですから。そう簡単に音は上げませんよ。それに、もしまだ生きているなら一刻を争いますし、飛行魔法を使えるフェイトさんしか行けないでしょう?」


 だから、行ってください、と無言と告げる。それに、フェイトは僅かに逡巡するかのような表情を浮かべてから、頷いた。そして、先ほど開いた穴があった場所まで移動し、バルディッシュを構える。
 バルディッシュから展開された刃が、床を切り裂き、その穴の入り口を再び露呈させる。そして、意を決したように、その穴の先へと飛び込んで行った。
 それを見送ってから、ティアナは、小さく息を吐いた。クロスミラージュを握り直して。


「さて、今度はしっかりとするわよ。クロスミラージュ」
『Yes』


 相棒の力強い返答にティアナは笑みを浮かべて。そして、先ほどフェイトが確認しなかった書類を手に取り、その内容を眺める。そこにあった内容を見て、ティアナは顔を歪める。


「…これ…全部、なのはさんのクローンなのかしら」


 200。少なくとも、これだけの数のクローンが作られ、そして、その全てが廃棄されているようだ。それも、リンカーコアの有無や、高い基準値によって斬り捨てられていったようだ。明らかに常人の値を越えている基準値。ただ、それを越えなかった為に、勝手に産み出され、勝手に殺された命…。
 これは、フェイトでなくても怒りを覚える。あまりにも、非人道的過ぎる。
 そして、次の資料へと目を通す。そこにあった内容を見て、ティアナは目を見開いた。そこに書き記された情報に、ティアナはただ、息を呑む事しか出来なかった。ティアナの書類を持つ手が、僅かに震える。
 そこに記された情報。それは「No.208」のクローン体についての情報。身体能力を含め、全ての条件をクリア。戦闘育成プログラム、オールコンプリート。保有魔力量、現時点でSランク相当を計測完了。未だ、増量中。現時点での予測魔導師ランク「SS」…。



+++



 闇の底へと向かって、フェイトは落ちていく。その浮遊感に身を任せながら、心の中ではただ、ここに捨てられたのだろう、廃棄されたクローンの子達を思う。
 ある男の勝手な狂信によって、理不尽に産み出され、そして理不尽に殺されてしまったその命。
 もしも、一人でも助けられるなら…。
 その思いを胸に、ただ、闇の底へと降りていく。そして…終着点へ。
 闇の中、狭い壁から広い空間へと変わる。まだ、やや高度がある。すぐさま飛行魔法を行使して、宙へと浮かび、体勢を整えた。


「…うっ…!」


 そこで、思わずフェイトは鼻を手で押さえた。鼻を刺す異臭。それは、腐敗した肉の臭い。それによって、瞳に涙が浮かぶ。あまりにも強烈な臭いと、そうなってしまった子達の慣れ果てがこうなのだ、と思ってしまうと、涙が止められない。
 フェイトは震える手を手を握りしめ、瞳を閉じ、黙祷を捧げる。理不尽の極みの果てに死したのなら、せめて、どうか眠りだけでも安らかに、と願いながら。
 そして死者の眠りを妨げる事への許しを祈り、暗闇の中、魔力で作り上げたスフィアによって周囲を照らす。
 中には、白骨した物もある。腐敗の途中の物もある。思わず、目を覆いたくなるような惨状に、フェイトは歯を食いしばって耐えた。
 その中で、比較的まだ人間の形を残していた少女を見つけた。息があるのかどうか、確認しようと顔をのぞき込む。


「…ぁ…っ…」


 思わず、息が漏れる。そこにあったのは、見慣れた顔。幼いとはいえ、それは、見覚えのある顔。自分にとって、恩人と言え、親友とも呼べる間柄の少女。「高町なのは」の顔が、そこにあった。
 息は、もう無かった。それを確認したフェイトは、その場に崩れ落ちそうだった。
 ただ、才能があっただけで、こんな目に遭う子が生まれてしまわなければならないのか。それが、ただ悔しくて、フェイトは今にも叫び出しそうだった。


 だが、その叫びは響かなかった。僅かに、人の動く気配を感じたからだ。
 まさか、そんな。その思いが、心臓の鼓動を早めていく。そして、フェイトが視線を上げたその先…。



 虚ろな目をしたまま、こちらを確かに見上げてくる「少女」の姿が…そこにあった。



 これが始まり。全ての始まり…。
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