次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■朧月の契り 第2章 14
2010/12/15 Wed朧月の契り
 色々と思う所がある。振り返ればそれは確かにキリがない。けれど、悪くはない。むしろ良かった。
 言いたいことがあって、望みがあって、願いがあって。だからこの道を選んだ。
 その最後が、どんな最後になったって構わない。それでも信じたこの道を行けるなら。


「…ねぇ? それを、貴方はどう思うかな?」


 カナデはそう呟き、倒れていた少女を抱き起こした。少女の呼吸が規則正しい寝息なのを確認し、ほぅ、と溜息を吐き出した。
 ここは闇の中。そこは地下室だった。異臭が漂うここは常識ならぬ場所。魔術の鍛錬所、工房と聞こえはいいものの、ここはただの飼育箱であった。現に、きぃきぃ、と響くのは虫の悲鳴だ。まるで呼吸が出来ないかのように虫達は悶え苦しんでいる。


『…ォォォォオオ、…ワシ…ハ…シ…ナヌ……!』


 その中に漏れる悲鳴。怨念に満ちたその声が聞こえる。カナデは視線を下ろせば、そこには虫が転がっている。チッ、とカナデは舌打ちをした。その手に抱えた少女を抱き直し、小さく息を吐き出して。


「転移が間に合った、か」
『キサ、マ…ナニヲ、ナニヲ…シタァ…!』
「ん? 貴方が桜の体から追い出された事かな? なぁに、簡単な事さ。この私が持っている刀は「大典太光世」って言う刀でね? 名前ぐらいは聞いた事があるかな? これは前田家のある女性が病気になった時にその病気を癒したっていう前田家の家宝だよ。まぁ、これには魔を祓うという迷信もあってね。まぁ、つまりはそういうことさ。これは女性を護る太刀であり、魔なる者を祓う力を持つのさ。理解が出来たかな?」


 少女を抱いた手とは逆の手に握っていた刀。それが魔力となって霧散していく。代わりにカナデの手に握られたのは漆黒の西洋剣。柄と柄頭に宝石が埋め込まれた剣。


『ソレハ…マサカ、トウエイ…!? バカナ、アリエヌ、アリエヌアリエヌアリエヌ…!!』
「有り得るからここにあるんだよ。さて、講義はおしまいだね。…じゃ、滅びろ。―――『"高貴なる不死滅の白焔"(ディルンウィン)』!!」


 カナデが投影した魔剣が白焔が吹き出し、爆発するように焔はその闇を食らい尽くすように広がり、そこに居た虫、虫がいた痕跡、その全てが焔の中へと飲み込まれていった。





 * * *





 眼下、見える町並みに視線を送る者がいた。それは赤い外套を纏った男だった。逆立てたように整えた白髪のオールバッグに黒の鎧。明らかに現代に纏うものではない。だがそれを気にした風もなく男は視線の先に移る町並みを見続けている。
 かの者の名はアーチャー。この地、冬木の聖杯戦争に呼び出される7騎の英霊が一人。その中で弓兵の位を戴く彼はその千里眼の瞳を以て戦場となる町並みを見続ける。その瞳にあるのは懐古。そして同時に戸惑い。


「…ふむ。記憶が戻らないというのはなかなかに歯がゆい限りだな」


 ぽつり、と。アーチャーである彼は小さく呟きを零した。思い出せば上空に召喚され、そして屋根を突き破りながらの召喚。かと思えばマスターとの言い合いにより、不毛な争いの先に消費された令呪が一つ。
 …あぁ、思い出すだけで頭が痛い出来事の筈なのにそれを楽しく、懐かしく思えるのは何故なのだろうか、とアーチャーは口元を緩ませた。しかしそれも僅かな時間のみ。すぐに意識は眼下へと向けられる。


「…ふむ。まぁ、思い出せない事は多いにせよ、またこの街に帰ってこられるとは、な」


 そう呟き、少しずつでも良いから昔の事を思い出すのも良いか、と思った矢先だった。
 それは強烈な魔力の発露だった。そう遠くはない。その千里眼の瞳は逃す事無くそれを写していた。それは焔。立ち上る火の光。それが、何故かアーチャーの心を揺さぶった。胸が締め付けられる。あそこには確か■■■の家が…。


「…なん、だ?」


 わからない。だが、このまま放置してはいけない。このままでは駄目だ。このまま見ているだけでは駄目だ、と。アーチャーは屋根を蹴って眼下に見える舘を目指した。火の勢いは留まらない。その中で―――。


「―――」


 誰かが、居た。
 焔の中、その腕に誰かを抱えるようにして立つ女の姿があった。焔の光によって紅の色を帯びる白髪。その身に纏うのは焔よりも紅き外套。色を抜いたような素肌。
 それが燃えさかる屋敷の中から出てきた。腕に抱いた少女は恐らく気を失っているのだろう。動く気配を見せない。それを見ていたアーチャーは言いようもなく、その姿に―――嫌悪と恐怖を感じた。自分でもどうにかなってしまうのではないか、という程の感覚にアーチャーは無意識にその手に弓を構えていた。
 それに気づいたのか、女が顔を上げた。その瞳がアーチャーと絡み合う。相手にも千里眼があるのかどうかは知らない。だが、それに、確かに、彼女は―――。


「…ぐ、ぅっ…!?」


 込み上げる嘔吐感。堪らず弓を魔力へと霧散させ、一歩引く。今、アーチャーの状態は万全。なのにこうも調子を崩されている。おかしい、と。召喚されたばかりにこんな事があって堪るか、と。ならば、その原因は―――。


「…何者だ…奴は…!?」


 そのまま、気がつけば焔に包まれる屋敷の中に女の姿は見られなかった。その腕に抱いていた少女の姿も無い。何がどうなってあの女があの屋敷を焼き、あの少女と共に外に出たのかは知らない。
 けれど、何故だろうか。その姿が、どうにも頭から消えそうにない―――。





 * * *





「…な、何だよ、これ。何なんだよぉ、これぇっ!?」


 時同じくして、燃えさかる屋敷を見て吼えている少年が居た。その少年の名は間桐慎二。今、目前で燃えている屋敷に住まう住人だ。彼はただ目の前の事が信じられない、というように屋敷を見つめている。
間桐慎二は一般人ではない。その身に流れる血は確かに魔術師の血統のものに相違ない。しかし間桐の魔術回路はこの地に根付くのと同時に衰退し、今代の後継者である慎二には魔術回路さえ失われていた。
 そんな慎二は魔術師である事に執着していた。自分は特別な人間なのだと、選ばれた人間なのだと。故に彼はこの聖杯戦争にマスターとして参加した。そしてその従えたサーヴァントに力を与える為に夜の街を徘徊し、屋敷に戻った途端にこれだ。


「燃えてる…おい、どうして僕の屋敷が燃えてるんだよ? 待てよ、燃えるな、そこには間桐の魔術書が残ってるんだぞっ!?」


 慎二は屋敷の中へと飛び込もうとする。が、それを押し度止める影があった。それは地に着くのではないか、という程までに髪を伸ばした女性。マスクによって隠された目元。そして感情を示さない口元。まるでそれは人形じみていて。


「シンジ、手遅れです。諦めてください」
「っ、何言ってるんだよ! ライダー! 燃えてるんだぞ! 間桐の歴史が、間桐の魔術書が、間桐の全てが! あれが無くなったら間桐が潰えるも同然じゃないか!! どう責任取ってくれるんだよ!? あぁっ!?」


 慎二は自身を押し留めた何者かに怒鳴りつけた。今にも食いつかんばかりの勢いでライダーと呼んだ女性に吼えた。慎二の怒りはあからさまに八つ当たりだ。ライダーの言は正しい。いつから放火されたかはわからないが、既に遅すぎる。
 更に、加えて言うならば―――。


「慎二、ここには宝具の使用形跡があります。恐らく敵の襲撃です。警戒を」
「何だって!? じゃあ、敵が潜んでるっていうのか!?」
「わかりません。もしかしたら、工房を狙っての襲撃だったのかもしれませんが…」
「…はぁ!? 何だよ、それ、空き巣を狙ったって事かよ!? ちくしょうっ! 卑怯な真似しやがって!!」


 慎二は怒り狂っている。彼には魔術師として継承される魔術刻印が無い。彼にとって魔術の知識とは屋敷に納められている蔵書他ならない。それが失われたという事実が慎二から平静を奪っていく。思い通りにならない現実に零れるのは都合の良い解釈による相手への罵倒。
 しかし、卑怯とは言うが、そもそもこれは戦争。戦争に卑怯も何もない。勝てば官軍。この戦争には勝てばそれで良いのだ。本当に戦争というものをわかっていないマスターである慎二にライダーは落胆を覚えている。だが、それを決して表情には出さない。
 どれだけ慎二が喚いてただろうか。慎二は悪態も言い疲れたのか、息を正すように肩で息をしている所に―――。


「――なんか、どこでも貴方は貴方なんだね。間抜けというか、いいや、間抜けなんて言葉じゃ片付かない、か」


 声がした。そこには嘲りの色があった。それに慎二はすぐに反応して顔を上げた。そこにはカナデの姿があった。


「お前…! アインツベルンの!!」
「あらご存じで? まぁ、そりゃそうか。桜ちゃんを間者にしてた訳だし?」
「お前が屋敷を燃やしたのか!?」
「あん?」
「お前かって聞いてんだよ!?」
「…そうですよー、って言ったら、どうすんの? 陣地を燃やされたお間抜けさん?」
「っ! ライダー! ぶっ殺せ!! この女をぶっ殺せぇっ!!」
「シンジ、いけません。人が集まってきます」
「それがどうした!! いいからアイツを殺せって言ってるんだよっ!!」


 嘲笑うかのように笑ったカナデに対してシンジが遂にキレた。再び喚きながらライダーをカナデに差し向けようとする。しかし、それにライダーが苦言を零す。神秘の漏洩、あまり過ぎれば自分たちが排除される側になってしまう。
 だが、シンジにはそれがわかっていない。今、彼の脳裏を占めているのはカナデへの殺意だけだ。


「いいから行けって、ライダー!! アイツを殺し―――」
「――ライダー、貴方、残念ね。でも安心しなさい。貴方は私が取りなしてあげますから」
「っ!? シンジ―――ッ!?」
「はぇ―――?」


 不意に、その声はシンジの背後からした。それにライダーが気づき、シンジが振り返るのが遅かった。
 そこに居たのはフードを被った魔女の姿。突如現れた彼女は、その歪なる短剣を振り下ろし、慎二の手に握られていた本に突き刺さった。


"破戒すべき全ての符"(ルールブレイカー)
「は?」


 瞬間、慎二の持っていた本は一瞬にして消え去ってしまった。その一連の流れを慎二はただ呆然と見る事しか出来ない。そして―――。


「坊や。良かったわね。相手がカナデで。私だったら―――死んでたわよ?」


 ――キャスターの笑みを最後に、慎二の意識は暗く深い闇の底へと飲み込まれていった。





 * * *





 慎二へと駆け寄ろうとしたライダーの前に剣が降り注ぐ。それがライダーの足止めとなり、ライダーは慎二に駆け寄る事が出来なかった。故にキャスターが慎二の持つ書に短剣を突き刺し、その書を消滅させる事を防ぐ事が出来なかった。
 キャスターに暗示でもかけられたのか、糸の切れた人形のように崩れ落ちる慎二をライダーはただ静かに見守っていた。それを見終われば、次に視線を向けたのはカナデ。カナデは掌をライダーに向けるようにして構えている。その姿に、ライダーは嘆息。


「…これは貴方のシナリオですか? バーサーカー」
「まぁ、その為に労力は割と使ったけどね。本当、イリヤに召喚されてたのが幸運だった。一番早くに召喚されているから工作し放題。お陰でキャスターも仲間に引き入れられたし――桜も、とりあえずは、ね」


 ふぅ、と。本当に安堵したようにカナデは溜息を吐いた。その視線の先には燃えさかる間桐邸がある。それを見つめるカナデの目には、苦いものがあった。


「…救える、なんて思ってる訳じゃない。ここであった事は消えやしない。…結局、私じゃあの子には何も出来ないんだろうし、ね」





 * * *





「―――……ら…」


 …遠くで、声がする。これは一体誰の声だろう。


「――…くら…」


 誰かが、必死に私を呼んでいるような。でも、あれ? おかしいな。私は死んじゃった筈なのに。そう、あの時、彼女に―――。


「――桜!!」
「ひゃぁっ!? せ、先輩…?」
「桜、大丈夫か? 怪我は無いか? どこか痛む所は無いか? 苦しいところがあったら言え!」
「え? え? あ、あの? え、と?」
「こらこら、シロウ。サクラが混乱してるじゃない。まずは貴方が落ち着きなさい」
「ちょばむっ!?」


 焦ったようにサクラの肩を掴んで問う士郎。それが目の前にいるものだから、桜は目を見開いて困惑を露わにする。何も言えずにただ混乱していると、士郎の脳天にハリセンが叩き落とされる。ハリセンを叩き落としたのは呆れたような表情のイリヤ。
 よく見ればそこは衛宮邸の寝室の一つである事に気づく。そこで桜はもう一度、ここが衛宮邸の寝室だという事を確認した後、思考にふけった。


(…どうして? どうして私、先輩の家に? だって、私は―――)


 何でもない日常だった。いつものように衛宮邸に通い、そして間桐邸に帰る。それが桜の日常だった。そしてまた何も無いまま一日が終わろうとしたその瞬間だった。
 呼び鈴が鳴る。それは珍しい事だった。だから桜も最初こそは呆気取られたものの、来客を迎える為に桜は玄関へと急いだ。慎二は帰ってきた時にはいなかった。恐らくは街にいるのだろう、と思った桜の心は暗く沈んだが、その心を押し隠しながら来客の元へと向かった。


『や、桜。こんばんわ』
『…え? 貴方…カナデ、さ』
『悪いけど、速攻ね? 今なら凜も動けないから、さ。いや、本当に急かした甲斐があったよ。んじゃ、ごめんね?』


 そして、彼女が鳩尾に拳を叩き込んだ。その衝撃に意識が点滅し、そのまま桜は意識を失った。あぁ、ここで死ぬんだ、と、諦めと、どこか救いにも似た気持ちを抱きながら。
 なのに、こうして自分は生きている。何で? どうして? と疑問はただ巡る。


「カナデが貴方をここまで運んできたのよ。…貴方、どうにも放火魔に気絶させられたらしくね。そこを通りかかったカナデが助けたそうよ」
「…放火? …じゃ、ウチは…」
「…桜、その、ショックかもしれないけど…」


 士郎が何かを言っているが、話しかけられている桜にとってはそんな事どうでも良い。家が無くなった。つまりそれは間桐の工房が無くなった、という事であり、同時に間桐の全てが潰えたと言っても過言ではない。
 だが、それを許すはず無い存在がいる筈なのに。なのに、そうだ、さっきから感じていたこの違和感の正体。そっと、胸を撫でて。


「…カナデさんは?」
「え?」
「カナデさんはどこにいるんですか!?」
「カナデなら今頃道場じゃないかしら? 用があるなら行ってきなさい」
「お、おい、イリヤ!?」


 士郎が戸惑った声も、イリヤの士郎をなだめる声も置き去りにして桜は走った。走って、走って、靴を履き替える暇すらも惜しくてただ道場へと走った。そして、ようやく辿り着いた道場の扉を息を整えぬまま開いて。


「…やぁ、調子はどうかな? 桜」


 そこに、彼女が居た。


「…どうして…?」
「ん?」
「どうして…!」


 どうして、と桜は息を荒らげながらもカナデに問う。カナデはそんな桜の姿を見て、ふぅ、と溜息を吐いて。


「…なんて言えばいいのか、いつになってもわからないなぁ、こういう時は」
「…ぇ?」
「…良いんだよ。自己満足だから。貴方がどんな苦しい思いをしてたなんか知らない。それを消したからって、貴方の中からその記憶がなくなる訳じゃない。むしろ、私のやったことはただのお節介だ。何もしなければ何もしないまま、ただこのままの生活が続いたのかも知れない。けど――ごめんね、私、そういうの嫌いだからさ。だから、お節介しちゃった」


 そうして、彼女は困ったように笑った。その笑顔に、何故か彼を幻視した。どうして? と問われても、そうしたいから、と。それ以外に理由は無い。助けたかった。だけど、それは押しつけであって、誰かに救いたり得ない。
 救いとは、その救われた誰かが救いだと感じなければ救いとは言えない。だから、彼女は救えない、という。それをお節介だと言う。それはただの自己満足だ、と。


「…何で…?」
「だから、嫌いだから。あの虫爺のやった事は私にとって許し難い―――」
「だからって!? 私は、貴方にとって――」
「こら。それ以上言ったら、駄目」


 ぴと、と。桜の唇にカナデは指を当てた。


「――今、君がそれを口にしたら君が築き上げてきたもの全てが崩れ落ちる」
「―――」
「あの心配性の事だからね。どうせ聞き耳立ててるでしょうしね?」


 ね? と同意を求めるように桜に言った後、カナデは道場の入り口へと視線を向けた。そこにはきっと、彼がいるのだろう。証拠に何かが慌てて扉の前から離れていく音がしたからだ。
 …今、もしも自分が言おうとしたことを彼女に言っていれば彼に聞かれた可能性もある。それを知って、彼女は止めてくれた。それがどういう意味を持つのか桜にはわかる。だが、だからこそ不可解だ。


「…どうして? って顔してるね?」
「……」
「まぁ、強いてあげるなら、君が衛宮士郎の家族で、それでね、恥ずかしい話なんだけど―――私は、自称、正義の味方だからさ」


 恥ずかしい、とは言いながらも恥ずかしがる事もなく彼女は澄み切った笑顔で言い切った。正しい事の味方。自分を救う事が正しいと、その正しい理由は、自分が衛宮士郎の家族だからで――。


「どんな経緯があったのか、どんな葛藤があったのか、どんなものがそこにあったのかは私にはわからない。でも少なくとも士郎は君の事を家族だと思ってる」
「―――」
「それを知ってるのは、桜でしょ? 私なんかよりも、さ。だからそれは私が壊しちゃいけないものでしょ?」


 ね? と。微笑みかけてくる彼女に、どうしようもなく涙が浮かんだ。ひぅ、としゃくりがあがった。それが涙と嗚咽に変わるのにはそう時間はかからなかった。
 どうしてこの人は、これで自分を救っていないなんて言うことを言うのだろうか。もう、もう十分過ぎる。この人は今まで自分を傷つけてきたものを壊した。けれど、それを壊したことによって壊れていたかもしれない関係を護ってくれた。
 それが、救いにならないなんてどうして言える? 救われたいとずっと願って、でも諦めて、このままでいられれば、と思っていた。だから救いなんて要らない、と思っていた。


「――カナデ、さん?」


 だから、ありがとう、って言わなきゃいけないのに。





「…、…っ! …ご、ふっ…!」





 どうして、その機会を、神様は悉く奪っていくのでしょうか。
 赤い、赤い、アカい、アカい、そのアカイ血が、彼女の口から吐き出されたのを。ただジッと、呆然と見つめる事しか出来なかった。
 それをどこか呆然と見つめていて、何が起きているのかわからないのに、ただ一つ明確に聞こえるのは、鉄の音。鉄の音がするのは何故なのだろう―――?






 
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トラックバック(0)+ +コメント(3)
風邪引いた…orz ≪ BACK ≪ HOME ≫ NEXT ≫ 疲れた…orz
蟲は心臓と一体化しているはずでは?
慎二はこれからどうなるのか楽しみです。
2010/12/16 Thu URL#- [ 編集 ]
『武器を投影する』だけでも、ここまで応用性があるんですね。
あらためて無限の剣製が無茶苦茶な存在だと思いました。
2010/12/16 Thu URLmise#- [ 編集 ]
面白かったのでこれからどうなっていくのか期待しつつ、続きを待ってます。
2011/01/23 Sun URL#- [ 編集 ]

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