次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来= 第1話 Apart
2010/02/10 WedOnly One Flowers
 最初に覚えた物は父の顔だった。父はいつも私に笑顔で話しかけてくれた。ガラスと水を挟んで見える父の姿はいつだって笑っていた。
 そう、いつだって私に笑いかけて、楽しそうで、それが自分にも嬉しかったと感じた。
 そして次に覚えたのは、父の願いの事だ。父は私の持っている「力」を必要とした。よくわからなかったけど、父が喜ぶなら、と、私はまた嬉しくなった。
 時間は過ぎていく。毎日、私は「力」の使い方を覚えていく。1日ごとにそれは異なり、様々な事を私は知った。それが楽しいと感じていた。父の力になれる。新しい事を知れる。だから私はまた嬉しくなった。


―ノイズ…ここで一度記憶が途切れている。


 父は笑わなくなった。笑顔とは違う無表情で私を見ていた。
 それがただ怖かった。何故そんな顔をするのか、どうして笑ってくれないのか。私にはそれが理解出来なくて…。


「…失敗作か。欠陥品…だな」


 失敗作。欠陥品。意味がわからない。だけど、わかったのはもう父は私に何も望んでいないと言う事だけ。
 ガラスと水越しの視線は、もう絡む事は無かった。
 そして全てが闇の底へと沈んだ。落ちていく感覚。私を包んでいた水が流される。同時に私も流されていく。
 ただ、その浮いたとわかる感覚に恐怖を覚えながら私はわかった。
 もう私は誰にも必要とされていない。そして全身が叩き付けられる。それによって痛みが産まれ、痛みは私の世界を暗闇に閉ざした。
 この後の記憶はあまりよく覚えてはいない。ただ怖いのや、痛いのは嫌だと思っていたと思う。
 それからどれだけ経っただろうか。暗闇に閉ざされた世界に光が満ちた。
 目に入ったのは金色の…―――。





 こうして私の物語は始まった…。






Only One Flowers =選び取ったそれぞれの未来=  第1話「追跡 -Apart-」







 暦は…新暦77年。時空管理局本局にて1人の女性が少女を伴って本局の廊下を歩いていた。女性の容姿は長く伸ばした金髪の髪に、時空管理局において「執務官」の職に就いた者が纏う制服を纏っている。
 対してその女性に伴って歩く少女の容姿は黄昏色の髪に、女性と同じ制服を纏っている。


「フェイトさん」
「何かな? ティアナ」


 ふと、黄昏色の髪の少女、ティアナ・ランスターは伴っていた女性、フェイト・T・ハラウオンに対して声をかけた。
 それに対してフェイトは前を向いたまま、歩を止めず答える。それにティアナは特に不満を漏らす事はない。
 それから彼女はやや、間を置いてから。


「…シャーリーさんからの通信、何だったんですか?」
「…気になるかな?」
「えぇ。休憩してた、と思ったら急に立ち上がるんですから」


 憮然とした表情を浮かべながらティアナはフェイトへと言う。
 彼女等が今、本局内の廊下を歩いているのにはある経緯がある。この二人は本局内にある幾つかの休憩所の1つで仕事の疲れを癒していたのだ。
 僅かな時間だが、執務官という多忙な職務に就いている彼女等にとって、その僅かな時間の癒しですらかけがえのない物である。
 特にこの職についておよそ半年、といった期間しかこなしていないティアナにとってはだ。
 根性はある方だと思っていた。だがそれでもこの多忙は辛い。それがティアナ・ランスター執務官補佐の現在の職についての一言感想だ。充実した毎日ではあるが、時たま、苦しくなる時がある。
 それは上司と言えるフェイトにだって言える。何より補佐である自分より明らかに仕事が多いのだから。 だがどうも、彼女と言い、かつての「師」とも言える女性と言い、彼女達は少々、ワーカーホリックの傾向がある。つまり、根からの仕事人間なのである。
 時たま、無理矢理休養させなければ倒れてしまうのではないか、と思う程、顔色が悪い時だってある。
 なので、ティアナはよくフェイトに気を使っていた。その身体を壊さないように。なので、僅かな休憩の時間でも、少しは休んでいて欲しいと思っていた矢先、もう一人の執務官補佐、シャリオ・フィニーノ、通称シャーリーからの通信が入り、そして、何度か言葉を交わしたかと思えば、顔色をすぐさま変えて、フェイトが歩き出した、という訳だ。
 気にするな、というのは無理だろう。それを理解したのか、フェイトは苦笑を浮かべて。


「大分前から…私が追っている事件について情報が入ったってシャーリーがね。私が…執務官候補生の頃から、ずっと追ってる事件について」
「そんな前からですか?」


 ティアナは思わず、驚いた声を漏らした。フェイトが執務官候補生であった頃というと、まだ彼女が12歳ぐらいの時の話だ。
 今から8年前の事件を未だに追っているという。 その事件について語るフェイトの表情は重い。
 ティアナはそのフェイトの表情に見覚えがあった。それは、彼女が自らの「出生」に関わった事件や、その被害者を見る表情と良く似ていたからだ。


「…「プロジェクトF」ですか?」
「…やっぱり、わかっちゃうかな?」
「…何となく、ですけど」
「うん、まぁ、正解なんだけどね。8年前の事だよ。管理局局員が管理局のデータベースにハッキングをしかけて、プロジェクトFに関するデータを強奪した事件…。犯人の素早い犯行に管理局は対処が追い付かず、結果、犯人は逃亡、依然行方不明…」


 事件の詳細を語るフェイトの表情は、重苦しい。ティアナはその表情に顔を僅かに歪めた。彼女の産まれる経緯となった計画「プロジェクトF」。
 正確には「プロジェクトF.A.T.E.」と呼ばれるその計画は、「クローン」に関しての研究であり、記憶の継承など、本人とまったく同じ人間を作る事を目的とした、と言っても良い。
 だが、それは結局完璧では無く、利き手など、僅かな差異が生じる事もある。フェイトは、それによって苦い過去を経験した人間なのである。
 そして、プロジェクトFによって産み出された不幸な人間は、何もフェイトだけではない。ティアナの脳裏には、かつて同僚であった少年の姿が浮かんでいた。フェイトが保護したその少年も、当初は心を荒ませていたという。
 今ではその少年も、明るく振る舞い、妹とも呼べる間柄の少女と自然保護官を勤めていると聞いている。
 だが、もしも、その少年が心荒ませたままだったら、と。そんな考えが浮かんでしまう。そして、少年には差し伸べられた手が、別の誰かには差し伸べられる事が無かったら?
 それは、とても悲しい事だと思う。だからこそ、フェイトはそんな彼等の為に奔走し続ける。その身を削りながらも。


 しばらく歩き続け、フェイトとティアナはシャーリーがいる部屋へと辿り着いた。室内で、シャーリーは一心不乱にコンソールをタイプしていた。
 目まぐるしく移り変わっていく空中に表示されるモニター。そこから情報を抽出し、必要な物を纏めていく作業をシャーリーは行っていた。そのシャーリーの隣に立つように、フェイトは歩み寄った。
 フェイトが隣に立つのと同時に、シャーリーはフェイトと、そしてティアナの存在気づいたのか、二人へと視線を向けて。


「待ってましたよ、お二人とも」
「うん。早速だけど、情報をお願い、シャーリー」
「はい。フェイトさんが追っていた「ジーク・インプレッサ」の目撃情報が現地住民から上がって…そこから近辺調査をしてみたんですけど…」


 シャーリーとフェイトが情報を交換し合う中、ふと、ティアナはそのフェイトが追っているという男のプロフィールを見つけ、それに目を通した。
 プロフィールに共に掲載されていた顔写真。それにティアナは目を向ける。印象はパッ、としない、根暗な印象を与える男。とても、近づきたくないような、そんな印象を与える顔つきだった。
 更に、詳細なプロフィールを追っていく。出生、家族構成、生い立ちなど…。


「…ん?」


 そこで、ティアナはふと、その情報の中で、一際、目を引く写真を拡大した。そこは当時の彼の自室であるようだった。その中を見て、ティアナは思わず目を見開いた。それから、思いっきり表情に嫌悪の色を示した。


「な…なんですか、これ」
「ん?…あぁ、それね…やっぱり知り合いが見たら驚くよね」


 ティアナの嫌悪感が丸出しなその表情に、シャーリーが苦笑を浮かべながら同意をするように頷いた。それに、フェイトもまた、ティアナ以上に嫌悪感を丸出しにした表情を浮かべて。
 ティアナが拡大した、ジーク・インプレッサの自室。そこには当時の「高町なのは」の盗撮とも思わしき写真が所狭し、と貼り付けられていたからであった。


 高町なのは。この3人にとっては、知り合い、などという言葉では片付けられない程、深い交友関係を構築している女性である。特に、フェイトに至っては「親友」という間柄であるのだ。
 そこで、ティアナの脳裏に1つの公式が浮かんだ。今まで得た情報を元に、その結果を導き出す。それを導き出したティアナの表情は、嫌悪感を丸出しにした表情から代わり、青ざめた表情へと変化して。


「…もしかして、フェイトさんがこの男を追っているのって…」
「…そうだよ」


 それは、怒りを含んだ低音の声。普段の彼女とは想像も付かないその様子にティアナは思わず震えた。激怒、というレベルだ。ここまで彼女が怒りを露わにするとは、なかなか無い事である。
 それほどまでに、ティアナが導き出した結果は、フェイトの怒りを誘う物…。


「この男は…なのはのクローンを作ったんだ。恐らく、だけどね」





++++++






 そこは、暗がりの中。その暗がりを照らす光は、空中に浮かぶディスプレイから発光される光のみだ。その淡い光に照らされながら、浮かび上がったのは男の顔だ。
 その男の顔は、時同じくして、別の場所でフェイト達が確認した男と酷似した顔。いや、時が経っていると考えれば、この男は、フェイト達が確認した男なのだろう。
 その男、ジーク・インプレッサは、ただ、ぼんやりと画面を目に映す。そして、恍惚の溜息を吐き出した。


「パパ?」


 ジークの様子に、その暗がりの中に共にいた「何か」が彼を呼ぶ。
 それは、少女の声だ。暗がりの中、ジークに歩み寄っていった為、彼の前に表示されていたモニターの光を受けて浮かび上がったのは、少女の顔。
 栗色の髪に、紫色の瞳。幼さが残るその表情は、ただ、愉快気に歪められている。


「あぁ、なんだい?私のアネモネ…私の可愛い可愛いアネモネ」
「私のデータ、そんなに面白い?」
「あぁ。あぁ、君は最高だよ、アネモネ。ようやく、私の求めていた物が完成したのかもしれない」
「したかもしれない、じゃないよ」


 アネモネ、と呼ばれた少女は嗤う。唇の端と端を吊り上げて、目を細めて、ただ妖美に。
 ジークの腕に、自らの腕を伸ばして、抱きつき、縋るように。そして甘えるようにジークを見上げて。


「私は、完璧だよ。ねぇ、だからパパ。疑わないで?私、パパのお願いならなーんでも聞くよ?全部、全部叶えてあげるから。ねぇ…だから、もっと私を愛して?」
「…あぁ、君は本当に良い子だ、アネモネ。君は最高だ…。なら、パパのお願いを聞いてくれるかい?アネモネ。君をもっと完璧にしよう。君をもっと最高にしよう。そうだ、そうしよう…ね?アネモネ…」
「うん…。パパ」


 ただ、暗がりの中で、二人は笑い合う。僅かな光に照らされて映されたその顔は、明らかな狂気を含んでいるのに、互いに、気づかぬまま…。
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