次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■創魔の疾風 =A girl creates the world= Act.13
2010/02/10 Wed創魔の疾風
 最初の変化は些細な変化。だが、それは波紋は広がり、いずれ大きな波へと育つかのようにヴォルケンリッターとはやての関係は変わっていく。
 敬うべき主であると同時に、微笑ましく見守る保護者のような関係に。時を重ねるにつれその思いは強まっていく。
 だが、それに比例して彼等には悩みが生まれつつあった。それもまた時を重ねる毎に深く、重くなってゆく…。


「…今のはやてちゃんとの関係は良いことだと思うわ。だけど…私達は…」
「…もしも、はやてが望んだ時は、告げよう」
「…そうだな。そうするしかないもんな」
「あぁ。…出来れば…我等が想像する最悪の未来が訪れなければ良いのだが…」


 夜も深く沈み、傍に寝息を立てる愛し子を置きながら騎士達の密会は進む。
 星の光に照らされた彼等の表情は暗く、周囲の闇のようにそれは深かった。
 はやての傍に置かれた書に皆の視線が集まる。それは自らが守るべき本体であり…今では忌むべきかもしれない物。
 闇の書。本来の役目を果たせぬ書は今はただ、沈黙を続けるのみである…。




+++++





「うーむ…」


 はやては悩んでいた。はやての悩みはザフィーラから指導を受ける防御魔法についてだ。
 どうにも構成が上手く行かず、中途半端な性能しか産み出さない防御魔法。
 攻撃魔法は簡単に思いつく。それははやてにある魔法のイメージがゲームの魔法のイメージと重なったりする為だろう。
 今思えば、バリアなどはやての想像する魔女が使った事はない。結界などはイメージとしてあるが、魔力で盾を作るというのはいまいち想像しにくい。
 うーむ、うーむ、とはやては声を挙げながら悩む。防御の為に必要なもの。盾、結界、鎧…。


「魔力だけで構成する、っていうのがダメなんよなぁ…」


 はやての魔力のイメージは電気だ。粒子のようなものだと認識するザフィーラとはそもそも考え方の在り方が違う。
 粒子を固めるイメージのザフィーラに対して、はやては魔力は電気のイメージだ。電気を固めるというのはイメージしにくい。


「…む? 魔力だけで構成するのがダメなら…――――」





+++++





 もうじき夕食の時間になる。そろそろはやてを呼び戻そうとザフィーラは森の中を詮索していた。
 森の一角、木々達が互いに避けるように産み出された広場にはやてはいた。そのはやては何かを集中するように瞳を閉じていた。
 何かの魔法を行使しているのは魔力の流れからわかるのだが、いまいちはやてが何をしているのかわからずザフィーラは首を傾げる。
 一体何をしているのか、と思い、ザフィーラははやてへと声をかける事にした。


「はやて、何をしている?」
「お、ザフィーラ! 良い所に来た!!」
「む?」
「一発殴って!」


 ……この子はいきなり何を言い出すのだろうか、とザフィーラは思わずはやての顔を生暖かい視線で見てしまった。
 そのザフィーラの視線に気付いていないのか、はやては興奮したように「良いから殴れ」と連呼している。とにかく頭の心配をしてしまったザフィーラに非はないだろう。
 とにかく、何かの成果を試したい事はわかった。ふぅ、と小さく息を吐いてザフィーラははやてを軽く殴ろうとした。勿論寸止めをしてはやてに当てるつもりは無かった。
 だが、ザフィーラの拳ははやてに触れる直前でまるでクッションの様な柔らかい感触に触れ、そのままはやての肌に触れる事はなかった。無理に押そうとすれば流されるように拳が弾かれる。


(…今、何が?)


 ザフィーラが疑問に思っているとはやては両手を挙げて喜びに踊っている。
 一体何なんだ? とザフィーラがはやてを目を凝らして見る。するとはやての足下に目が行った。
 はやてに足下の草がふわりと浮いては地に落ちる、という不可解な動きを繰り返しているのだ。
 まるで風に舞い上がるかのように浮かび、風の浮力を失って落ちるかのように…。


「…風?」
「ふふん、そうやよ、ザフィーラ! これが私の防御魔法やっ!!」


 胸を張り、ふんぞり返りながらはやては笑みを浮かべた。
 試しにザフィーラがはやてに触れようとすると風のクッションがザフィーラの手を押しとどめ、はやての肌に触れようとはさせてはくれない。
 力を抜くと風の流れによってザフィーラの手は流され、弾かれていく。


「面白いな」
「せやろ?」
「思いっきり殴っても大丈夫なのか?」
「とりあえず、理論的には。当たり方とか色々と制限あるけどな」


 常に纏ってなきゃいけないし、とぼやくはやて。だがそれは騎士甲冑とて同じである。


「…しかし、一定の威力があれば抜かれるし、魔法には対応してるのか?」
「あ”」


 はやてが一瞬にして硬直した。思わずザフィーラは額に手を当てた。
 確かに発想・着眼点は面白い。だが実を伴っているかと言われれば少々首を傾げたくなるようなそんな魔法であった。
 だが、とザフィーラは思う。これはベルカの騎士にとっては厄介な魔法だ。近接戦の武器を在る程度の威力は防がれてしまうのだ。


(得た知識を生かす発想は正直言ってずば抜けている…。経験を重ねれば重ねる程、厄介になりそうだな)


 頭を抱えて吠えているはやてを見ながらザフィーラは思わず思う。きっとこの少女は大きくその才能を伸ばしていくだろう、と。


(…見てみたい、か。コイツの行き着く果てに何があるのか。それは自然と興味が湧く)


 何をしでかすのかわからない。未知という言葉が満ちあふれているのがはやてという存在だ。
 それを知りたいとザフィーラは思ってしまった。あぁ、とザフィーラは思う。ならば自分の願いはもう得た。
 この身、朽ち果てるその最後の時まで彼女と共に在ろうと。その成長を見守り、時には背中を押し、成長を妨げる物から守り抜こう、と。
 彼女が闇の書の主というだけではなく、自分自身がそう願うからこそ、はやてを護ろうとザフィーラは静かに決意を固めた。





+++++





「すぱすぱ切れるー、すぱすぱ切れるー」
「………」


 才能の無駄遣い、とシグナムははやての行っている行動に思わずこめかみを押さえていた。
 彼女がまるで楽団の指揮者のように手を振ると、集めた食材がキレイにスライスされていく。
 あぁ、見事な魔法だ。操作性能も発生速度も威力の調節も見事だと言えよう。
 だが…何故それを食材を斬るのに使うのか、とシグナムは疑問に思う。


「いやぁ、だってせっかく作った魔法やし。使わなければ損やろ」
「元々それが目的で編み出した訳では無いでしょう?」
「使えるものは何でも使うべきやと思うけど。あ、シグナム、火出して。ウチ、手離せんから」
「……」


 私はマッチでは無い…とぼやきながら魔法を行使して火を付けるシグナム。その背にはどことなく哀愁が漂っていた。
 その背を見たヴィータは思わずシグナムに同情するのと同時に「利用されやすい魔法覚えてなくて良かった…」と胸を撫で下ろしていた。
 今日の料理は魚の丸焼きと、はやてがスライスして焼き目をつけたステーキ。
 皆で火を囲みながら食事をしているとはやてが小さく呟いた。


「うーん。素材本来の味ってのも良いけど、そろそろ調味料とかが恋しいわ…」
「そうですか?」
「うん。やっぱり薄味やし」


 はやては海鳴を出る際に家にあった調味料を持ち出していたが、胡椒などは保存食を作る際に使い切ってしまい、後はほとんどは即座に狩って、即座に食べる、という生活に切り替えた。
 それは別に苦にはならなかったが、恋しいと言えば恋しい。昔は料理を研究の一環として色々と作っていた事もある。


「そうですねぇ…それじゃ人里の方にでも行きましょうか」
「おぉっ! 異世界の町! 異文化交流やねっ!!」


 外国観光な気分やわっ! とテンションが上がるはやて。それにシャマルは苦笑のような表情を浮かべる。
 あぁ、このテンションで何かトラブルを起こさないと良いけど…とシャマルは思う。
 ふとシャマルがシグナム達に視線を向けると、各々がそれぞれ溜息を吐き出した。
 どうやら皆、思う事は同じらしいと再び彼等は溜息を吐くのであった。


「あ、そうだ。はやてちゃん」
「ん?」
「…貴方に話しておかなきゃならない事があるの」


 シャマルが真剣な表情ではやてを見る。はやてはそのシャマルの表情に何かを感じ取ったのか、神妙な顔でシャマルと向き合う。


「人里に出るのは良いけど…はやてちゃんには守って貰わなきゃ行けない事がたくさんあるの」
「決まり事、って奴やな?」
「えぇ。はやてちゃん。はやてちゃんの住んでいた地球や、ここを含めて次元を隔てて存在する世界を総称して「次元世界」というの。でね? 次元世界にも色々あって、私達のように魔法文明が発達している世界もあれば、地球のように魔法文明が無い世界もある。人がいない世界もあるし、色んな世界があるの」
「うん」
「でね? 魔法文明は次元世界を渡る技術を得る事に成功した。だけど、だからといって世界を好き勝手に移動している訳じゃないの」
「…文明の保護とか…領地の利権争いとかになるかもしれんからか?」


 シャマルの言葉から、自分の中にある知識と照らし合わせてはやては自分なりの答えを口にする。
 シャマルは一瞬驚くものの、はやてならばと納得する。色んな意味で規格外なはやてだからこその納得だろう。
 はやてにそうよ、とシャマルは返してから更に説明を続ける。


「当然、そういった混乱を招かないように「時空管理局」というそれを取り締まる組織が存在しているの。…その時空管理局はね、世界を滅ぼすような危険な物や技術を管理して世界を保護するという活動もしているの」
「…えと、だから例えば魔法文明が無い世界で魔法は使っちゃいけないとか? そんな事してたら時空管理局に捕まる、とか」
「そういう事。そういった世界での魔法の使用は必要最低限以外は控えてね。…それから、これは私達の事情になっちゃうのだけど」
「…あっ、闇の書もそれに入るって事か!?」
「…そうよ。だから私達の正体は隠して欲しいの。…はやてちゃんが主になる前に私達は時空管理局とも敵対した事があるし…あまり事を荒立てたくないから」


 はやては闇の書の事を思い出して声を挙げる。それにシャマルが過去を憂うように表情を歪ませながら口にする。
 今と過去では自分たちの在り方は大きく異なった。血に濡れるような戦いの日々から穏やかな平穏な日々へ。
 だが、罪は消えない。為した事は残り続ける。自分たちが傷付けた者達、亡くさせてしまった命。出来れば、はやてをそれに巻き込みたくなかった。
 はやては闇の書の主である事を拒んでいる。だがそれでもはやては仮の主として、私達に自由という新しい未来をくれた。
 その未来を失いたくないし、はやてには闇の書の罪という枷を与えたくない。それはいずれ人里に行きたいと言い出すかもしれないはやてを予想したヴォルケンリッター達で予め決められていた事だ。


「…そっか。うん。わかった、気をつけるわ」
「…ごめんなさい」
「うぅん。皆に会えんかったらずっと森暮らしやし、全然構わんよっ!!」


 ニッコリとはやては笑ってシグナム達に告げた。
 シグナム達はその笑顔を見て思う。あぁ、失ってはいけない、失いたくはないと。
 積み重ねた罪。今ではそれを悔いる気持ちがある。だが、だがそれでも望みたい。
 この主と、この少女と共に、今暫くはこの時を過ごしていたいと…。


「ありがとう、はやてちゃん」


 シャマルは涙を滲ませてはやてに告げた。心の底から私達の存在を喜んでくれるこの子の事を愛そう。
 この子にだけは、私達の罪の枷を負わせないようにしよう。この子の自由を守ろう。
 そして願えるのならば、その姿を末永くまで見届けていたいと…。
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