次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■創魔の疾風 =A girl creates the world= Act.12
2010/02/10 Wed創魔の疾風
 はやてがザフィーラが打ち解け合ってから、はやてはザフィーラの指導の下、シールド魔法を習っていた。
 自己領域へと潜り、構成式を考えていたのだがなかなか上手くいかない。
 形を作るだけなのは簡単だ。だが、はやてのシールドは確かに形成されるのだが…。


「強度がいまいちだな」
「あぁ…そうかぁ…」


 ザフィーラがはやての形成したシールドに軽く拳を打ち付けながら眉を寄せた。
 はやてはザフィーラの言葉を聞いて落胆したように溜息を零した。
 はやての形成するシールドははやてのイメージ不足なのか、強度が不十分なのである。
 それこそ、普通のミッドチルダ式と比べれば標準に限りなく近いが、それでも脆い。
 ベルカ式の盾のエキスパートであるザフィーラから見ればはやての盾は甘いと言わざるを得ない。


「…はやて。お前は魔力をどのように捉えている?」
「え? んーと…電気、みたいな感じかな?」
「なるほどな。それが原因か」


 ザフィーラははやての言葉を聞いて納得したように頷いた。
 はやては元々「自分の中に流れるもの」として魔力を認識している。それは間違ってはいない。はやての認識としては流れる物、つまりは電気のような物として認識してもおかしくは無いのだ。
 だが、実際に魔力というの粒子の塊と言っても良い。実際ザフィーラもそう認識している。ザフィーラはその部分を改めてはやてに説明する。
 はやてのふんふん、と頷きながらザフィーラの話を聞いていた。ザフィーラの話に納得したのか、再び瞳を閉じて自己領域の中へと意識を飛ばす。
 「魔力」は無数の粒である。それは電気のように流れるものではなく、血液の中を流れる粒のイメージに変換する。
 その粒をゆっくりと手から放出させ、想定する空間に認識させ、更にそこに粒子を密集させ……。


「はやて。それだと空間に固定してしまっているぞ?」
「え? あっ、しもうたっ!?」


 ぎゃおーっ!? とはやては目を見開いて、自分の形成したシールドを見る。
 はやての術式を示す六芒星の魔法陣が宙に浮かび、固定されている。動かそうとしてもその場で固定されており、動かす事が出来ない。
 ザフィーラは思わず溜息を吐いた。いろいろな意味で教え甲斐のある子供だと思う。
 それからはやてに教える事、数時間ほど。自主訓練に移ったはやての姿を眺めながらザフィーラは考えていた。
 はやては魔力をどうしても「流体」として認識してしまう。「粒」として認識しているザフィーラはそれを結集させるというイメージで済むのだが、はやての場合、それがなかなか上手く行かない。
 ヘタに固定してしまえば空間をも固定してしまい、空間遮断になってしまう。
 それはそれで使えるのだが、汎用性は失われるだろう。魔法は本来、汎用性を持たせ、様々な状況に対応する必要があるのだから。


「ふむ…どうした物かな?」


 これからどう教えて行けば良いのか? とザフィーラが考えていると、背後の方で自分を見つめる視線を感じてザフィーラは振り向いた。
 サッ、と一瞬見えた影は木の後ろに隠れた。その影が誰なのか思い至りザフィーラは溜息を吐いた。


「…話があるなら出てくれば良いだろ。シグナム、ヴィータ、シャマル」


 ザフィーラの声に木の影に隠れたシグナム、ヴィータ、シャマルが罰悪そうな顔をしながら顔を出した。
 ザフィーラは彼等の気持ちが分からないでも無いので、その行いを咎める事は無い。逆の立場であった事も考えられるのだから。


「…どうしたんだ? お前は」
「何がだ? シグナム」
「主への態度だ。…お前があのように接するなど、正直想像がつかなかった」


 シグナムの言葉はシャマルとヴィータも同じようで、小さく頷いていた。
 確かにな、とザフィーラはシグナムの言葉に頷きを返し同意する。それは自分も否定はしない、と。


「…なぁ、シグナム」
「…何だ?」
「俺達は最早、戦うだけの存在ではいられないのだ」
「……」
「俺達に望まれているのは個性だ。はやては俺達を道具としてではなく、個人として受け入れ、そうある事を望んでいる」
「…そうだな」


 闇の書は完成させない、ヴォルケンリッター達の皆にやりたい事がみつかるように、と願った彼女が普通の主と違う事はシグナムとてわかっている。
 だが、今まで築き上げてきた常識がいとも容易く覆されたとはいえ、それを受け入れる事とはまた別の問題だ。だからこそシグナムは惑う。比較的受け入れていたヴィータとシャマルでさえだ。


「釣りだったか。なかなかあれは面白いものだったぞ?」
「…お前があのような叫びを挙げるとは思わなかった」
「はやてに言われたのでな。それが釣り上げる魚への礼のようなものだとな」


 クックック、と喉を鳴らせながら楽しそうに告げるザフィーラ。やはりその光景にシグナム達は違和感を覚えざるを得ない。


「シグナム。お前ははやてと戦ったな」
「…あぁ」
「主だとか関係無く、はやてだから、鍛えてやろうと思わないか?」


 ザフィーラの言葉にシグナムは思わず考え込む。
 はやての見せた才能の一端。それは確かにシグナムも興味を抱いたものだ。
 闇の書が選んだ才に間違いは無い。だが、その才が何処まで行くのか見たい、と思うのは彼女が闇の書の主だからか?


「…わからん」
「闇の書は既に判断基準に過ぎん。俺達は俺達という目ではやてを見て、選んでいかなければいけないのだろうよ。闇の書の騎士だから、という理由は既に意味を為さないのだからな」


 それは既に主であるはやてによって放棄されている。それに傲るならば、それは怠慢とも取れる。
 自分では選べない。だからこそ与えられた役目をこなせば良いだけ。それははやての望むものではない。


「…私達が、どうするのか、か」
「俺ははやてと共にあると決めた。あの子が闇の書の主、というのもある。だが、はやてだからこそ護りたいと思った。俺が、俺達が、俺達らしくある事を認めてくれたあの子の為にな」


 ザフィーラの視線がはやての方へと向く。先ほどからシールドを形成しようとしているのか、うねうねと魔力の塊を動かしているはやてが見える。
 何をやっているのかと溜息を吐くザフィーラの視線はとても優しげなものだ。シグナム達はそのザフィーラの視線を見て、改めてはやてを見つめた。
 上手くシールドが形成されない為か、ふて腐れた子供のように眉を寄せて頭を掻きむしって声を荒らげている。


「なぁ、シグナム。こうして思えるだけで、恵まれた主だと思わないか?」
「…あぁ」
「平和だろう? 俺の口から、こんな言葉が出ること自体あり得ないだろう?」
「そうだな…あぁ。確かにそうだ」


 盾の守護獣の名は伊達では無い。それは主を護るために存在し、常に主の周囲に気を張っていなければいけなかった。
 故に彼は今のような寡黙な性格となったのかもしれない。だが、彼は本来、情に厚い事をシグナムは知っている。
 だからこそ、だからこそそのザフィーラがそのありのままであれる事が、ただそれだけで幸福なのだとも言える。


「難しい事はわかんねぇけどよ…ていうか、あれか? 難しく考えるな、って事か?」


 はやての姿を見つめていたヴィータは後頭部を手で掻きながら、眉を寄せて呟いた。
 ヴォルケンリッターの中で最も幼い姿をしたヴィータ。その内心もまた、心優しい少女である事をヴォルケンリッターの皆は知っている。
 だが、それが表に出ることは数少ない。戦う為の存在に優しさなど不要なだけだ。だからこそヴィータはこのように普段から尖ったような態度を取っているのだ。
 もしも、そのように尖る必要が無いのだとしたら? ヴィータは想像しようとして…その姿がどんな姿なのか想像が付かなかった。
 それだけあり得ないような事なのだ。そんな事を考える必要など今までは必要されなかったのだから。


「そうだな。お前は考えるな、ただ感じれば良い」
「んだよそりゃ、私が馬鹿みたいに聞こえるぞ…?」
「そうは言ってない。だが理屈で言うよりもお前は肌で感じた方が良いだろう? いや、もう感じているのだろう? 一風変わっただけの主でないという事は」


 ザフィーラの言葉にヴィータは眉を寄せる。それから不服そうに瞳を閉じてそっぽを向く。
 どうやら図星を当てられたようだ。その反応にザフィーラは軽く笑みを浮かべて、小さく喉を鳴らした。


「…平和なんて、私達には縁遠い言葉だったものね」
「…あぁ。そうだな。だから戸惑うのは当然だろう。俺達にはそんなもの、経験した記憶が無いのだから」
「だからこそ、それが幸福なのかしら」


 シャマルは段々とザフィーラの言いたい事を理解してきた。
 自分たちには今、余裕がある。それこそこうして感情を露わにして話す事が出来るように。
 ただのプログラムでしか無かった自分達。だが、今はただのプログラムとは言えない。それは1人として独立した個性だ。
 こうして考える事が出来る事そのものが、長き時を戦乱と血と罪に染めてきた自分達にとってかけがえの無い幸福なのだと。


「…好きなように、生きるか」


 はやては言った。したい事は無いのかと。自分達はそれに答えられなかった。
 だが、はやては答えても良いという。いつでも待ってると、自由にしていいのだと。
 それは苦痛でもある。慣れない事はシグナム達に戸惑いを与えたのは事実だ。だが、それでも…。


「やはり、それは幸福な事なんだろうな」


 ザフィーラが感慨深げに瞳を閉じて頷いた。それは彼等に今、許される平和。
 シグナムが、シャマルが、ヴィータがその言葉を自分なりに噛み締める。
 理屈でも良い。感情でも良い。そして、自分が幸運の下にいるという事をわかれば良い。それを許してくれる少女がいてくれるという事を理解すれば良い。


「はやては主にはなれん。主は指し示し導く者だ。だが、あの子はその全てを投げ出した」
「私達に丸投げしたわね。好きにしなさい、って」
「そうだな…」
「…本当変な奴なんだな」


 変な奴。そう、それが彼等にとってのはやてだ。目の前に強大な力があるというのに自分のプライドか何か知らないが、それを拒んだ変わり者。
 自分達は本来、付き従う筈の者なのに、付き従うな、と好きなように生きろと役割を放棄した変わり者。
 だが、その変化がシグナム達にとって、幸運と言わずとして何と言うのだろうか?


「あれ? 何話してんの? 皆」
「…何。お前は変わっているな、という話だ」
「そうね…。ちょっと普通じゃないわよねぇ」
「そうだな。変人だ変人」


 ザフィーラがいつものように、シャマルが控えめに、ヴィータがハッキリと、はやてを変人扱いする。
 目を丸くしたはやてだが、すぐにぞんざいな扱いに憤慨し、抗議の声を挙げるが誰も取り合わない。
 唯一、何も言わなかったシグナムにはやては縋るような視線を向けた。


「シグナム!! 皆が酷い事言うわ!! ここは将としてビシッ、と言ってやらんかっ!!」
「…残念ながら、私も同意見です」
「な、なんやとーっ!? 皆して変人扱いしおって!!」
「いや、事実でしょう?」


 敬語こそ抜けきらないが、はやてに対してシグナムは遠慮も無くはやてに告げた。
 それにはやてが全身で抗議を表しているが、その仕草をヴォルケンリッターの皆は楽しげに見つめるのであった。
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