次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■鏡月の調べ 序章「願いは誰が為に」
2010/11/01 Mon朧月の契り
 ――この願いは、果たして誰が為に。




 
 * * *





 彼女が願ったのは誰でもない他人の為に。
 彼が願ったのも誰でもない他人の為にだ。
 彼らはよく似ている。あぁ、似ているのも当然だ。
 子は親の背を見て育つものであり、同一の起源を持つ者同士、惹かれ合うのもまた事実。
 だから彼女の行動原理は彼の模倣に過ぎない。…ただ、彼とは異なるのはただ一つ。
 彼は、その理想を受け継いだとき、あまりにもその姿が幸せそうだったから憧れた。
 彼女は、その理想の果ての姿を見て、あまりにもその姿が苦しそうだったから願う。
 救いを。あぁ、救いを。
 誰も救えない。いいや、それでも誰かを救ってみせる。/彼は救えない。いいや、それでも諦める事だけはない。
 余りにも似ていて、だけど決定的に違う。彼は多くの救済を願い、彼女はただ一人の救済を願う。
 その果てに彼らは死した。だが、その選択に後悔はない。結果、間違ってはいなかった。それを信じた事は間違いではない。間違いではなかったのだから。
 …もしも、を願うのは罪だろうか。観測者でしかない私がこんな事を望むのは。
 …あぁ、どうか。この二人が幸せであってくれれば、と願う私は。
 これは致命的なバグ。けれど、願う。何故ならばそれは、きっと間違っていない――。





 * * *





 ―――その夢を見ていたのはいつの頃からだろう。
 いいや、いつから、なんてのは間違い。それは生まれた時からずっと見ていた夢。なんだかとても辛くて、悲しくて、でも、とても大事な夢。
 争いの夢だった。何の意味もわからずに殺し合いをさせられて、その中でようやく闘う為の答えを得て、そして闘ってきた。その果てに私は勝者となって、願いを叶えて消える。これでようやく全てが終わった、と消滅を受け入れる為の眠りについた。
 そう。それが私の終わりだった。/そこから、また始まるんだ。さぁ、目覚めだ。


「…んぁ…」


 目を覚ませば、体に違和感。その手足は小さい。/それは気のせいだ。
 記憶がダブる。自分は消滅した筈。/私は生きている。
 私は、衛宮 奏/いいや、私は―――。


「…気持ち悪い」


 吐き気が襲ってくるも、それを口元で抑える事によって抑える。気づけば、そこは揺れている。車の中にいるのだと理解して体を起こす。自分は後部座席で眠っていたようで。
 運転席には一人の男が座っている。見慣れた姿だ。白髪の髪に浅黒い肌のその人は。


「…兄さん?」


 …兄さん? 違う、彼は、アーチャー?/いいや、兄さんだ。


「何だ、目を覚ましたのか。奏。もう少し寝てても良いんだぞ? 冬木まではもうちょっとかかる」
「…んー、いい。変な夢見てたから」
「――そうか。どんな夢だ?」
「…戦争の夢。私が人殺しをした夢…兄さんの事、アーチャーって呼んでたり…」
「それは、奇怪な夢だな。――だが、夢は夢だ。忘れてしまえ」
「ん、そうする」


 ぽふん、と再び車の後部座席に横になって天井を見上げる。そして瞳を閉じる。夢の内容はだんだんと擦れていく。ただ…ただ、それは酷く悲しい夢で…。


 ――どうか、忘れないで。

 ――私は地獄から生まれた。その意味を、どうか…。


 遠く響く声は、誰の声? 軽く頭痛がして、だけどそれも消える。あぁ、やっぱり…。


「…気持ち悪い」
「…だから寝ろ、と言っているだろう」
「うぇー…早く着いてよ…」


 気持ち悪いから、こんな夢を見たに決まってる。そうだ。そうなんだ。私が人を殺すなんてあり得ない。ましてや兄さんが人殺しなんてする訳ない。そうだ。変な夢。それで終わり。夢は所詮夢だもの。





 * * *





 身に纏ったのは真新しい制服。まだ着慣れない感じに違和感を感じながらも、胸は他のどきどきでいっぱい。服の着心地に違和感を感じてしまうのもそれが余計に絡んでいるのかもしれない。
 だって今日は何事も始まりな肝心な日だ。息を吸って、吐く。大丈夫、落ち着いてやれば何事だって上手くいく。そう、いつも言われているじゃないか。いつだって出来る自分を想像しろ、そうすれば上手くいく、って。


「はい、それじゃあ新しいお友達を紹介するよー! 月宮奏さーん!」


 呼ばれる声がする。それに深呼吸をもう一度、私は足を踏み入れた。





「初めまして。月宮 奏と言います。転校してきたばっかりですが、良ければ仲良くしてください!」





 * * *





 私は月宮 奏。
 平凡、というのには、ちょっと家族構成やら出生が複雑だけど、特に変哲もない小学生。
 特技は料理、洗濯、掃除…というか家事全般? 趣味は…家事全般? うん、まぁどっちにしろ家事が好き。
 身長はちょうど真ん中ぐらいで、勉強もそこそこ、どっちかといえば算数が得意、って所。体育は大好きだよ。
 家族は、義理のお兄さんが一人。私はどうも孤児だったらしく、ちっちゃい頃にお兄さんの家に引き取られて、今の形。
 お父さん、と呼ぶにはお兄さんは年行ってないのでお兄ちゃん、でも結局はお父さんみたいな人、というのが私の家族。名前は月宮 士郎。
 簡単に自己紹介すると私ってこんな感じの子供。兄の影響で料理などに凝る所があるけど、まぁ、ちょっと変わった趣味かな? どうなんだろ。
 そんな私は兄の仕事の都合上で今日から冬木市と言う街に引っ越してきた訳でして。何でも兄は様々な仕事に手をつけていたみたいだけど、今回の仕事を一本に絞って働くそうな。
 まぁ、そうすれば兄といれる時間が少しは延びるのが嬉しい所。私は基本一人だったから。料理などが趣味になったのも、そういう家庭環境があったからかなぁ、と思ったり。


 これは、そんな私がとある事件に巻き込まれて、その事件を解決していくのと、私の、私も知らない私の事を知っていくお話…。





 鏡月の調べ =The wished utopia there. =




 世界は、繋がっていく―――。




 
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うぅむ…これは確かに…。 ≪ BACK ≪ HOME ≫ NEXT ≫ とりあえず一段落したぞー!

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