次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■リリカル・クロニクル =世界の終わりに悪魔と竜は戯れる=  第3章 02
2010/10/13 Wedリリカル・クロニクル
「やぁ、元気かね? 高町君」


 休憩室。そこで何をする訳でもなくぼんやりとしていたなのはに声をかけたのは佐山だった。その隣には新庄がいる。新庄の視線はなのはの体に巻かれている包帯に向いているように見えて、なのはは包帯を撫でるように触って。


「まぁ、こんなボロボロですけど、一応元気です」
「…なのはちゃん」
「お説教なら聞きませんよ? 新庄さん」
「お、お説教って…! 自分がどれだけ危ない事したのか…」
「わかってますから、良いって言ってるんですよ」
「―――…はぁ…まったくもぅ…」


 新庄はなのはののらりくらりとした態度に何か言いかけて、肩を脱力するように下げて首を振った。そこには明らかな諦めの色がある。それに対してなのははやや申し訳なさそうな顔をするが、説教はごめんなので謝る事はしない。
 さて、と。言葉を発したのは佐山だ。彼はなのはへと視線を向けて。


「君のお陰で世界は私達に命運を託してくれたようだ」
「そうですか。…あぁ、そういえば境行きはどうだったんですか?」
「あぁ。順調だったよ。8th-Gとの交渉も終えた。…あぁ、それと9th-Gの交渉だが…」
「――私が仲介役として、義父さんを代表代理として交渉を終えてきた」


 凜、と。その声になのはは驚いたように顔を上げた。あ、と間の抜けた声を漏らすなのはが見たのは一人の少女、スーツを身に纏った命刻だった。何故ここに? という疑問が浮かぶも、すぐに納得する。
 命刻はなのはの体へと視線を向ける。そこに巻かれている包帯に少し眉を顰めたが、ふぅ、と息を吐き出し、なのはへと視線を向け直して。


「お疲れ様、と言うべきなのかな。なのは」
「いいえ、自分が好きでやった事ですから。それにしても、随分と動きが速いですね」
「何。早い方が良いだろう。実際、世界の崩壊時刻は私達を待っていてはくれないからな」


 命刻の言葉になのは、佐山、新庄は静かに頷く。この時、既に崩壊時刻とされているクリスマスまで残された時間は確かに少なくなっている。故に、自然と緊張が高まっている。それはUCAT全体にも見られる傾向だ。
 だが、その為の全竜交渉の総決算とも言える世界会議がある。全ての世界が一同に介し、Low-Gの罪を精算し、その上で世界をどのようにしていくのかを決めていく会議。全ての決着…。


「…しかし、それが終われば、どのような結果にしても終わり、なのかぁ」
「そういえば、そうなりますよね」
「そうだな。――む? なかなかこのまロ茶というのはイケるな」
「ふむ。戸田命刻。貴様もその味の良さがわかるか。つまり貴様も新庄君の尻に魅力を感じられるなゴフッ!?」
「ちょっとその煩い口閉じよーかっ! 佐山君!」
「ちょっとやかましいな。黙ってろ、佐山」


 両脇から肘鉄をいれられて佐山の体が僅かに浮く。くぬっ、と佐山の苦悶の声が漏れ、佐山がそのままぐったりと椅子にもたれかかる。その姿を見ていたなのはは、はは、と呆れたような笑いを零す。
 終わり、という言葉になのはは考える。終わらせる為に自分は戦ってきた。別に戦いが好きで戦ってきた訳じゃない。守りたいものがあって、譲れないものがあったからここまで戦ってきた。その終着がもうすぐだ、という現実。


「…僕にしてみれば大体1年、か。短いのか、長いのかよくわからないや。ただ…凄い密度の濃い1年だったなぁ」
「私は2ヶ月ぐらいですけど、新庄さんと同じ思いですよ」
「…私も、色々とあったな。そして多くを知った。知って良かったとも思えるようになった」


 それぞれが思い出すのは、各自が歩んできた道。様々で、色々な事があったのはそれぞれ同じだ。それぞれが抱く過去を思い出しながら、彼等はほぼ同時にほぅ、と息を吐いた。あのさ、と新庄が声を挙げて皆を見て。


「なんかさ。1年前まで、こんなに自分が変わる、なんて思わなかったよ」
「私もだよ。新庄君。本気になれずに燻っていた私が今では遠い過去の事のようだ」
「私も…今のような考え方をするなどとは、夢にも思わないだろうな」
「…色んな事がありましたからね。それぞれ、皆…」
「あぁ。色々な事を知り、思い、願いを抱いた。そして、その決着が付けられる」
「…その事で、1つ良いか?」


 皆がこれから始まるだろう最後に思いを馳せる中、命刻が声を挙げた。そこにはやや戸惑ったような表情が見られたが、ふと、命刻は真っ直ぐに視線を3人へと向けるのであった。





    ●






 ―――それは後に残される年代記。その年代記の最後の手前。世界が1つに纏まったとされる日。全竜交渉の最後の交渉にしてLow-Gの罪を裁く全竜法廷。
 Top-Gという存在が明かされた後に発覚したLow-Gの罪を問い、そして世界の行く末を定める会議。Low-Gの提唱する全概念解放によるプラス概念とマイナス概念の均衡化。Top-Gが提唱するのはプラス概念の消滅によるマイナス概念の対消滅化。
 どちらにも得がある。選ぶのはもはや自分がどのようにしたいか? であろう。そしてこの交渉に参加したものは口を揃えて言う。――世界の決着をつけるなんて言って大袈裟なものを想像するな。あれは、ただの馬鹿だ。そして俺たちも馬鹿だったな、と。





    ●





 尊秋多学院の屋上。そこで白衣のポケットに手を突っ込み立つジェイルが屋上に立った。そこから見える景色は尊秋多学院の年末祭の光景が広がっている。
 行き交う人、楽しげに腕を組み歩くカップルの姿や、友達と集って馬鹿をやっているグループが見える。皆が皆、楽しそうに振る舞っている。当然だろう、祭りなのだから。得てし得て祭りとなれば人は皆、騒ぎ、楽しむものだ。
 その人の流れを見ていたジェイルは不意に気配を感じた。一瞬、身を強ばらせたが、彼は諦めたように息を吐いた。


「…ジェイルさん」


 名を呼ぶ声がする。それはなのはの声だった。なのははやや息を切らせている。ここまで走ってきたのだろう。何故、と問う事はしなかった。何故ならば彼女が息を切らせている原因は自分にあるからだ。


「…良いのかね? 会議に参加しなくて。君は結局、関わる側になったのだろう?」
「…うん。命刻さんに頼まれちゃったから。私も、そう望んだし」


 そう、尊秋多学院の地下に広がる衣笠書庫では、今まさにLow-Gへの質疑応答が行われている最中だ。これから世界の解答を定める為に。佐山達も皆そこにいる。だが、なのはとジェイルはここに居る。


「会議は気にならないのかい?」
「…だって、結果はどうなるかなんとなくわかるし、何にせよ、私には終われば良いよ」
「…受け入れる、と?」
「違うよ。皆で作ってきたんだ。だから…きっと、皆が望んだ形になるよ」


 さぁ、と風がなのはの髪を撫でた。ジェイルの白衣がはためく。冬の風は少々、肌には冷たい。それになのはが思わず両腕をさすって寒さを堪えるように息を吐き出す。その行きは白く、手はややかじかんできた。
 それはジェイルも同じだろう。なのに、彼は何とも無さそうに空を見上げている。ジェイルは言った。自分は昂ぶる事はない、と。涙が出る事ない、と。確かにジェイルが涙を流す様など想像する事はなのはには出来ない。


「…ねぇ。ジェイルさん」
「…何かね?」
「もう、逃がさない。だから答えて」


 すぅ、となのはは自らを落ち着かせるように息を吸った。そして、ジェイルを見て。


「終わったら、貴方はどうするつもりなの?」


 瞬間、空気が凍てついたような錯覚をジェイルは得た。自分は呼吸を止めているかのようだ、とジェイルは思う。あぁ、聞かれてしまったよ、と心は嘆きを止められなくなる。


「…終わったら、とは?」
「…全竜交渉が終わったら、だよ」


 なのはの問いかけの声に、沈黙が降りてきた。言葉を発し終えたなのははジェイルを見上げるように見た。ジェイルは、なのはと視線を合わせようとはしていなかった。ただ真っ直ぐに空を見上げている。吹く風だけが、ただ2人を揺らせて。


「…答えてよ…」
「……」
「…これから、どうするつもりなの?」


 終わった後。全てが終わった後、なのはは海鳴に帰る。家族が待っている。向き合いたい人達がいる。だけどなのははわかっている。―――そこには、彼はいないのだ、と。
 自分は恐らく、かつて自分が居た日常に戻る。そこには前のような生活はない。けれど、そこにあったものは確かに取り戻したいものばかりだからこそ、自分はそこに戻るのだろうとなのはは思っている。
 だがそうなれば…ジェイルとはお別れだ。ジェイルは次元犯罪者。時空管理局からその身を追われているのだから。必然的に、なのはとジェイルが隣に居るのは難しくなる。不可能、と断言しても良い程に。


「…どうするつもりも、帰るよ」
「…帰るんですか?」
「あぁ」
「…それで?」
「…言ったろ? 私は変わらない、と。だから…全てが終わった後、次に会う時は敵かもしれないね? 君は管理局で、私は犯罪者だ」


 はは、と零した笑いが虚しく響いた。空に溶けるように消えていく笑い声はまるで無理をしているかのようで。なのはには嫌でもそう聞こえた。聞こえてしまった。だからなのはは手を伸ばした。ジェイルの手を掴む。
 ジェイルの手が一瞬強ばった。そんな手を、なのはは包むように優しく握る。するとジェイルの強ばった手がゆっくりと力を抜く。なのはの手を握り返すように握って。


「……ジェイルさん」
「……」
「今、自分がどんな顔してるか、わかってる?」
「…さて? どんな顔だい?」
「―――泣きそうだよ?」


 なのはが告げた瞬間だった。ジェイルは目を見開いた。息を止めるように息を大きく吸い、そのままで固まる。なのはの手を握っていた手が更に強く握られ、震え出す。あ、と声が漏れ、あぁ、と伸び、あああ、と伸び出す。
 慟哭だ。それは、紛う事なき慟哭だった。そう、ジェイルは泣いていた。泣いていたのだ。彼は。仮面が崩れるように泣き顔を露わにするジェイルの姿をなのははただ、ジッと見ていた。


「…なのは、君…」
「……何ですか?」
「…君に、出会わなければ良かったのかも知れない」


 なのはの表情が歪んだ。悲痛の表情へと、だ。だが、それはジェイルも同じだった。互いに互いが痛みを得た表情のまま向かい合う。ジェイルはなのはと視線を合わせぬように空を見上げたまま言葉を綴る。


「…君を落とさなければ…君に興味を抱かなければ、恭也に出会わなければ、こんな、思いは抱かなかった…。君さえいなければ……!」


 そこでジェイルは言葉を句切り、歯軋りが明らかに聞こえる程までに歯を噛み締めて。


「―――そんな訳が無いのになぁっ!! なのに、私という存在はそれを許してくれないよなのは君!!」


 ジェイルがなのはの握っていた手を強く握る。離したくない、と言うようにジェイルは泣きながら訴えるように叫んだ。その顔には明らかな悲痛に溢れていて、親とはぐれてしまった子供のような泣き顔に良く似ていて。
 不安げに歪められた眉と、どこへ向ければ良いのかわからない焦点の定まらない瞳。全身が震えているその姿はまるで抗うようにも見えて。なのはは握っていたジェイルの手を両手で包むように握って。


「終わりたくない…。終わりたくないよ、なのは君…。…終われば、私は、また、同じだ…。…何故問いかけたんだい? なのは君…私は、最後まで夢を見たかった。私は…!」
「―――変わりたかったんですよね? 本当は…」


 慟哭するジェイルに対して、なのはは諫めるように優しい口調でジェイルに言った。あ、と呆けたような声を出してジェイルはなのはへとようやく視線を落とした。


「ジェイルさん、貴方には本当しかなかったよ」
「……なのは、君」
「嘘ばっかりで、自分にすら嘘を吐いてた私とは、本当に真逆だ」
「…私、は…」
「それしか知らなかったから? だから、ずっと我慢してたんだよね。ジェイルさんは―――凄く、軋んでるね? 今、凄く」


 ジェイルの手が震える。力を込めすぎている為だ。なのはもそれに抗うように力を込める。両手を絡み合わせ、握り合わせながら力比べをするようになのはとジェイルは向かい合う。


「ジェイルさん、やっぱり、貴方は私と同じだね。私とは真逆だけど…同じだ。私が嘘を吐き続けて嘘でありつづけるように、本当を言い続けて本当を続けていくんだね? ジェイルさんは。嘘も、裏表も、何も無いまま」
「私は、嘘を吐くよ?」
「手段の嘘じゃない。言葉の嘘じゃない。貴方は―――絶対に貴方自身を偽らない。だから、わかる? ジェイルさん。貴方は今、だから軋んでるんだよ?」
「…軋む…私は…軋む…?」


 茫然と。正にそんな表情を浮かべてジェイルはなのはを見た。なのはは微笑む。うん
と頷いて。


「どうして軋むのか、わからない訳、ないよね?」
「…それは、私が私でなくなろうとしているのか?」
「そう。それはどういう意味かわかる?」
「――――」
「泣いて、いいよ。ジェイルさん。貴方は泣けないのかもしれない。でも、泣いてみせなよ。嘘でも、自分を騙して、泣いて、そこから始めよう?」
「…いいのかい?」


 ジェイルは問うた。変わって良いのだろうか? と。自分は変わっていけるのだろうかという不安がある。だがそこには―――諦めていた、叶うことがないと思っていた自分がいる。
 そう、あまりにも諦めて、何もせずに、ただ望んでいただけのものが手元に転がり込んでくる。それに戸惑いを覚えるだろう。それは半ば無償で与えられたものなのだから。自分の力ではなく、そう、それはなのはによってもたらされたもので。


「…私は、さ。嘘つきだから。本当の思いって届けるのが凄く苦手」
「…臆病でもあるからね」
「うん。一人は嫌い。寂しいのは嫌。…わかって、って。ずっとこれからも叫び続ける。でも嫌われるのは嫌だから嘘を吐いていくと思う。ずっと、ずっと。だけど、ジェイルさんは私の嘘の奧を見てくれる。私を、見てくれる」
「…君の思いの行く先には私の夢があるからね。誰よりも傲慢で、誰よりも人らしく、誰よりも我が儘に。自らの望む世界を作っていくから」
「ありがとう。――私は、ジェイルさんが好きだよ」


 それは、花開くかのように。なのはの笑みはそれは愛でるべきだと思われるような笑みだった。ジェイルが目を離せなくなる程までに美しい。それは何故なのか、と問われれば答えは1つ。笑いたいから、となのはが望んでいるからに他ならないからだろう。
 笑いたいと、微笑みたいと彼女は望むのだろう。では何故? その表情は繕う訳でもなく、ただありのままにその姿を曝している。それは…好きという言葉に行き着き、そして答えを得る。


「…はは…」


 それは、掠れたような、そんな小さな笑い声だ。


「…くく…はははっ…」


 目を瞑り、堪えるように固く目に力を寄せて、体を震わせる。


「…君は、私に嘘を教えてくれるのか?」
「教えるよ。生まれてこの方、皆、騙し続けてきた私が教えてあげる。私が貴方に本当の私を出していく喜びを教えて貰ったように。嘘を本当のように思う事で得られる幸せを。―――望んで、ジェイルさん。本心からじゃなくても、いつかそれが本心となれるように。それを幸いにしてあげられるようにしてあげたいよ」
「……なら……ならば、だ。なのは君。私は君の隣にありたい。だが、私はその隣にある事が出来ない存在だと思っているよ。だが私は嘘を吐きたい。私は何があっても――君の隣に居たいのだと」
「うん。なら、私はそれを本当だと思って行動するよ。ジェイルの嘘が本当になるように――ずっと、一緒にいよう。例え本当に引き離されても、私は、貴方を思うよ。そしていつか全ての垣根を砕いてでも貴方の傍にいるよ。私の心がそう望むから。貴方が吐けない嘘を望むなら。私は私に望み、貴方の願いを叶える事を、高町なのはという存在をかけてここに誓うよ」


 うん、となのはは小さく頷いて。


「変えてみせるよ。不変のその時にある貴方を。刹那に流され行く私が、刹那に流されないようになったように。貴方をそこから連れて行く。変わらない、変われないと縛りつける貴方という殻から。存在がなに? 望めない? ――望ませてみせるよ。言ったでしょ? 私は、ジェイルさんの幸せを願える人だよ? ジェイルさんが軋むなら、私はずっと軋ませ続けるよ。その痛みが、私達に忘れさせないよ。私達の幸いの在り方を」


 だから、と言葉を続けようとしたなのはの言葉は止まる。いいや、遮られたのだ。なのはでさえ予想だにしない方法で。なのはには何が起こったのかよくわからない。ただ目の前にはジェイルの顔がある。口は何かに塞がれている。
 え? と思って、理解して、そして時が止まったかのようになのはは動きを止めた。次第にその顔には朱に染まっていき、瞳は見開いた状態で固定される。やだ、となのはは思う。それは否定や、拒絶ではなく、驚きによるもので。


「…ん…」


 身を強く抱き寄せられる。すれば深く、繋がりが求められる。や、と声が漏れそうになって、だがそれすらも呑まれるように吐き出す事が叶わない。ぱたぱたと手が宙に彷徨うに揺れていたが、すぐにその手はジェイルの背に回された。
 もう、なんかいいや、と。なのはは瞳を閉じた。――言葉すらももどかしかった。ただ、もう、これで良い。言葉はいらない。ただ触れ合う事だけでわかれるような、そんな錯覚。あり得る訳がないのに、それがあり得てしまいそうで。


「―――…ぷは…」


 不意に、感覚が離れた。口が酸素を求めて開き、息を吸い込む。それによって自らの唇が塗れているのだとなのはは嫌でも自覚して、ふと、薄く瞳を開いてジェイルを見上げるように見た。
 そして彼の表情を見た。それを見て、なのはは笑った。笑って、はは、と笑い声を零した。そこにあった彼の表情は涙を流しながらも、確かに笑っていたからで。


「…涙の味、だね」
「泣いているからね。私が。…君が泣いていないよ…これじゃ、逆だね」
「だってジェイルさんと私は反対だもん。だけど、これから、きっと変わっていくよ」
「変わったら、反対じゃなくなるよ?」
「そうだね」
「一緒にいる理由はなくなるんじゃないか?」
「そうなってみればわかるよ。でも、なんかなぁ。思うんだよ」
「何をだい?」
「一緒に変われば、結局、私達はもう、1つだから離れても、またなんかまた戻れそうな気がするよ」
「…そうか。確かに、簡単な事だからね」
「わ、ちょ、ジェイルさん、二度目はなし! 待って待ってっ、心の準備ぐらいさせ――」


 ん、と。なのはの声は再び呑まれた。あぁもうっ、と心の中で悪態を吐きながらも手はジェイルの背へと回される。色々と思う事がある。年齢差とか、自分の年齢とか、親にどう説明しようか、などなど。
 だが、結局はどうでもいいや、と思ってしまう。触れる温もりが。湿りを帯びる唇が。それを感じてしまう自分は思考を緩やかにしてしまう。脳が感覚に対して神経を注いでしまうかのように思考が緩慢になる。


(私は、――――私だもんね)


 誰がどう言おうとも、彼が教えてくれた幸いを貫き通そう。それが、どんなに苦しくても、どんなに難しくても、きっと、最後の時まで、自分らしく笑っていられると思うから。





 

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