次回キリ番リクエスト30000!! 更新報告:12月15日 朧月の契り 第2章14 日記 を更新。
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■■■創魔の疾風 =A girl creates the world= Act.08
2010/02/01 Mon創魔の疾風
「よっしっ! じゃあさっそく…」
「お待ちください、主はやて」


 シグナムの了承の声を受け、はやてがすぐさま決闘に入ろうとしたが、シグナムに止められ思いっきりズッ転けるはやて。
 シグナムはもちろん、他のヴォルケンリッターも目を丸くしていきなり転んだはやてを見る。恨めしげにシグナムを見ながら起き上がるはやて。


「な、なんやねん、シグナム?」
「いえ。戦う前に主には私達の「騎士甲冑」の作成をお願い出来ないでしょうか?」
「…「騎士甲冑」? 何やのそれ」
「魔法でくみ上げた私達の戦闘衣装です」


 シグナムがはやてに言うと、はやてが沈黙する。
 それを不思議に思ったのか、シグナムが顔を上げると、はやてはなんだか、ショックを受けたように震えていた。
 思わず、怪訝そうな顔をはやてに向けて。


「あの、主。何か?」
「その騎士甲冑って…どんな効果あるの?」
「はぁ? 効果、ですか? 主は騎士甲冑、もしくはバリアジャケットをご存知無いのですか?」
「バリア、ジャケット。甲冑…つまりは防御…」


 ブツブツ、とはやては呟き出す。なんだかその様子に更に怪訝そうな顔を浮かべてシグナムは思わず仲間の方へと視線を向ける。


(私は何かおかしい事を言ったか?)
(特には無い気がしたけど?)


 念話と呼ばれる魔法を使った会話を用いてシグナムが問いかけ。それにシャマルが戸惑ったように返す。
 その瞬間だった。


「しぃぃまったぁぁぁあああああああああっっっ!!!」


 森中を振るわせるようなはやての声が響き渡った。それは心底やってしまった的な叫びであった。
 叫び終わったはやては、がっくし、と膝をついて悔しがる。そんなはやてをシグナム達は目を丸くさせて見つめていた。
 一体、何か自分たちは粗相をしてしまったのだろうか? とも思ったのだが、心当たりがまったくない。一体何があったのだろうか?


「あの、主?」


 戸惑うヴォルケンリッターの代表にシグナムがはやてに問いかける。ブツブツ何かを呟き悔しがるはやては幽鬼のごとく顔を上げて。


「あの、何かあったのですか?」
「忘れてたんや」
「何をですか?」
「防御方法や」


 そう。はやてがここまで悔しがっているのは「魔法による防御方法」を考えつかなかった為であったのだ。
 これまではやてが習得してきた魔法を上げてみよう。
 「身体強化」。これは確かに肉体の能力を底上げ出来るが直接的な防御力への発想には繋がらない。
 「物質強化」。これは「衣服」への使用を行えば可能であったかもしれないが、はやてはそんな事をすっかり忘れていた。
 「魔力光弾」。これは魔力を固めて打ち出す、という物だが。これを防御に転用する事も出来た筈だ。
 他にも奧の手の「魔力暴発攻撃」があるが、どれを取ってもはやての魔法は防御には向いていない。というよりは考えられていなかったのだ。
 今まではやての訓練方法と言えば避ける事を主体としていたが、ふと発想の転換を変えるだけで良かったのだ。なのに、はやてはそれが出来なかったのだ。
 それが悔しくて悔しくてたまらない。それを聞いたシグナム達は一瞬呆気取られた後、質問をしてみた。


「あの、主?」
「…何やねん。シグナム」
「あの、主には師という者がおらっしゃらないのですか?」


 それにはやてがキョトンとした顔をしてから、あぁ、と頷いて。


「うん。いないけど、それがどうかした?」
「…本当におらっしゃらないのですか? ならば、貴方の魔法は…」
「全部独学やけど…それが何か?」
「きょ、教本などは?」
「無い、けど?」


 シグナム達はそれを聞いて更に固まる。驚愕の視線をはやてに向けて、それにはやてが思わず慌てる。何か不味い事言ったのか? と思い、シグナム達に問いかけを投げかけてみる。


「あの、なんかおかしかった?」
「おかしい、と言えばおかしいです。独学で魔法を習得するとは…なるほど。それなら貴方と私達の認識に食い違いがあるわけだ」


 シグナムがふぅ、と息を吐いて納得したかのように呟く。そして同時に目の前にいる少女の底の知れ無さに畏怖すら感じていた。
 この少女は自ら魔法体系を「構築」した。ベルカ式でもなく、ましてやミッドチルダ式でも無い魔法体系の扱い手。それがこの目の前にいる少女だ。
 別にこのような事例が無い訳ではない。魔法文明の発達と共に魔法が生まれてもそれは納得が出来る。


「主。確認して置きますが、貴方以外に「魔法」を扱える物は…?」
「ん? いないいない。私ぐらいやよ。この世界じゃ魔法は「夢物語」やからなぁ」


 魔法が夢物語の世界。魔法無き世界にただ一人魔法の扱い手となった少女「八神はやて」。
 おもしろい。とシグナムは思った。闇の書が選んだ主は確かに才に溢れた物であったが、今度の主とはそれとは話が違う。
 自らで魔法体系を構築するけの孤高の魔法使い。その実力はどの位で、そしてその力は今後どこまで伸びていくのだろうか。その鬼才に仕え、そして、今は決闘を申し込まれている。
 何もかもが、面白い。そう思う。シグナムはフッ、と笑みを作って。


「主。主はいつから魔法をご習得になられたのですか?」
「ふぇ? えーと、2年、ぐらいかな?」


 2年。歴史も何も無い薄い物だ。自らが扱うベルカ式。そして魔法文明が発達した世界で用いられるミッドチルダ式に比べれば足下にも及ばない短い歴史。
 だが、そこに秘められた可能性は無限大。心の底から興味がわき上がる。そして気にもなる。たった2年の歴史でどれだけの実力を有しているのか。


「そうですか…。さて、主。決闘の件ですが、よろしいですか? 私は騎士甲冑さえ構築させていただければすぐにでも構いませんが」
「あー、そうやね。よし、騎士甲冑やな? デザインを考えなあかんな」


 そう言ってはやては頷いたのであった。とりあえず自分の防御手段が無かった事については後回しにしたようであった。シグナムもソレを見て頷くのであった。





+++++





 はやてが騎士甲冑のデザインを考える間、シグナムは自らの愛剣「アームドデバイス」の「レヴァンテイン」を振るっていた。
 高ぶる身体が抑えきれず、剣を振るう事で落ち着かせているのだ。風を裂く音が聞こえ、レヴァンテインが振り抜かれる。
 そこに一人の男が歩み寄ってくる。それはシグナムと同じくヴォルケンリッターの一員であるザフィーラであった。


「シグナム」
「どうした。ザフィーラ」
「いや、やけに楽しそうだと思ってな」
「楽しそう?」


 ふとシグナムが驚いたように呟いた。プログラムでしか無い筈の身の私が、楽しそう?


「あの主の力かもしれんな」
「…そうだな」


 あの少女は人を惹きつける魅力のような物があるのかもしれない。まだ出会ってから短いが、引き込まれるようなイメージがある。
 先ほどの決闘を申し込まれた際もそうだった。不思議と受けたくなるようなそんな感覚に満たされた。
 それはもしかしたらカリスマなのかもしれない、とシグナムは思って。それに、とシグナムが付け加えて。


「独学で生まれた魔法がどのような物なのか。それにただ生まれたわけではない。「闇の書」に選ばれた主が作った魔法体系だ」


 闇の書は自らを扱いこなせる「才」ある者をランダムに選ぶ。少なくとも八神はやてには「才」がある。
 そして、その「才」ある者がどのような力を有しているのか。そう思えば期待が湧く。その様子を見て、ザフィーラがふっ、と笑みを浮かべる。


「期待はずれ、という事はなかろうな」
「おそらくは、な」


 そうであっても、鍛えれば伸びるかもしれない。とシグナムは思う。その時は守護騎士が総出で教育してあげれば良い、と。
 ふと、そこまで思考するとこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。振り向けば、そこにははやて、ヴィータ、シャマルの3人がいた。


「おーい。シグナム、ザフィーラ。ここにいたんか?」
「はい。どうかなさいましたか? 主」
「うん。デザイン決まったから報告にしようと思ってな。とりあえず着て貰えるか?」
「はい、わかりました」


 はやての言葉を聞けば、シグナムはふっ、と笑みを浮かべた。まるで、待ちわびた、と言わんばかりの笑みだった。その笑みにはやてもまた笑みを作る。
 静かに森がざわめいた気がした。それはこれから起こるだろう戦いに対して何か感じ取ったようであった…。



+++++





 風が吹いていた。森の中を静かに揺らす風だ。その中で向かい合うのは2人の人影。
 方や、少女。茶髪の髪を後ろで結び、何が楽しいか、と思う程顔を笑みに歪ませて。纏う服は運動性を考慮した衣服。可愛さなどはまるでない色気の無い服装。
 方や、女性。桃色の髪をポニーテールに結び、ただ静かに愛剣を握り佇んでいた。纏う服ははやてによってデザインされた魔力で組み上げられた戦闘服「騎士甲冑」。彼女の色と合わせてデザインされたその衣服がひらり、と風に舞う。
 それを見守る三つの影。その三つの影のウチ、一番小柄な影がふと声を漏らした。


「どう思う?」
「何が? ヴィータちゃん」


 ヴィータ。そう名乗った騎士の少女の声に、シャマルと名乗った女性の騎士の声が答える。
 もう一人の人物。ザフィーラはただ目を開き、ヴィータに向けただけで留まっている。


「あの主についてだよ。まだガキだろ? それにミッドチルダ式でもねぇ、ましてやベルカ式でもねぇ。しかも教えられたわけでもねぇ。そんな奴が作った魔法ってのがアタシ等の魔法に太刀打ち出来ると思うか?」
「そうねぇ。それは、やってみないとわからない、と行った所かしら」
「そうだな。今は見守るぞ。始まるぞ」


 ヴィータの言葉にシャマルが神妙な顔で返答を返す。ザフィーラも、シャマルの返答に同意するように返してから、2人の視線をはやてとシグナムに向けさせる。
 風が、止まった。ひらり、と木の葉が舞っていた。2人の間に、ひらり、ひらり、と。
その間にはやては半身の態勢に、シグナムはレヴァンテインを構える。


「式、解凍」
「レヴァンテイン」


 呟きの声が漏れる。互いに互いの魔力を放出し、それが2人の間でぶつかり合う。
 同時に、木の葉が地へと落ちた。そして、2人の戦いの幕が切って下ろされた。
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